丑三つの村のレビュー・感想・評価
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皆様方よ。さようならでございますよ。
『徴兵試験で甲種合格して名誉挽回だ!』って我が亡父もよく言っていた。我が亡父は甲種に落ちている。理由は片耳が難聴だったかららしいが、真意は分からない。しかし、かなりのトラウマが彼には残ったと聞く。
『夜這いしたけりゃ。ちゃんと働いてからにしいゃ』夜這いとは婚礼としての儀式の様に言われる事もあるが、正に男系社会の根幹であり、それが閉鎖された村社会に於いては獣以下の行為だったのだろう。
日本に於けるインセストワールドとはこう言うものなのだろう。ホラー映画ではない。リアルなフィクションで描く大日本帝國のネガティブカルチャー。
外国に於ける銃乱射事件と基本的に違うのは、殺人に全て動機があると言う事。決して許されるものでは無いが、殺人を楽しんでいる訳では無い。
さて、村社会を、描いた日本映画に『楢山節考』があった。
その映画がベネチアを取れるなら、この映画も同等以上に評価されるべきだと感じるが。
田中登監督は正にピンク映画、成人向け映画の人。
【”負の暗示”幼い頃は村一番の秀才と謳われた青年が結核により一人前の男として認められず、女達に馬鹿にされた事で復讐を果たすエロティック・ホラー。】
ー ご存じの通り、今作は1938年に岡山の寒村で起きた”津山30人殺し事件”が基になっている。-
■昭和13年。村一番の秀才と評判の犬丸継男(古尾谷雅人)は早く国のために戦いたいと思っていたが、兵役検査で結核と診断される。
村の中で、常習化していた”夜這い”で、継男と次々に関係を持って行く夫の有る女たち。
だが、病気を知った村人たちはそれまでの態度を一変させ、継男に冷たくあたり、幼馴染みで思いを寄せていたやすよ(田中美佐子)は、継男と付きあっていたことが原因で離縁されてしまう。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・私が、”津山30人殺し事件”を知ったのは、女性漫画家山岸凉子氏の「負の暗示」を読んだ時である。
ご存じの通り、山岸凉子氏は大作「日出処の天子」や、古代神話をモチーフにした諸作品や古代エジプトを舞台にした諸作品で有名な少女漫画の大家である。
だが、その一方、物凄く怖いトラウマ級の作品も多数発表している。
・この作品と、山岸氏の「負の暗示」との決定的な違いは、この作品では犬丸継男が小さな村の中で、多少成績が良かったためにちやほやされ、増長していく所がキチンと描かれていない。起承転結の“起”の描き方が薄いのである。
更に、彼が村人たちに馬鹿にされ、心を屈託させていく様の描写が、物凄いのである。
・その一方この作品では、エロティックなシーンが序盤からドンドン描かれている。これは、私の推量なのだが、この作品の制作をした奥山和由氏の存在があると思う。
氏は、当時ヒットメーカーであったが、その独断振り、客を呼ぶためには手段を選ばない手法により松竹の専務取締役の座を追われている。
氏が上記の様な傾向を露わにしたのは「RANPO」だったと記憶する。
・この作品は確かに大量殺人を犯した継男を演じた若き古尾谷雅人氏の演技は買う。だが、実際には序盤で継男と関係を持った数名の女達は彼の異常さを事前に察し、凶行の前に村を逃げ出しているのである。
この作品は、ラストの残虐シーンのみ力を入れて描かれ、継雄が何故にあのような凶行に走ったのかが、キチンと描かれていないのである。
<可なり、キビシイ事を書いたが、若き古尾谷雅人氏の演技で評点は3.0とする。(だって、あの役は流石にやりたくないでしょう。)
本当の”津山30人殺し事件”の怖さを体験したければ、山岸凉子氏の「負の暗示」を読むことをお勧めする。怖さは今作の十倍以上であるからである。>
■個人的、山岸凉子氏の恐ろしき作品ベスト3
1.「蛭子」
2.「夜叉御前」
3.「鬼来迎」
どれも、トラウマ級の怖さですよ。
丑三つの俳諧者、蝋燭はちまきの村に今、何思う。(またポエマーになってるし・笑)継やん、かわいそう(´;ω;`)
前回の『ナインイレヴン』を観るためにアマプラで無料トライアルを始めたプラス松竹。
その中で「なんか面白そうなんないかなー」と思い、あれこれ探してみて、こちらをチョイスです。
またもや実話ベースです。しかも空前絶後の三十人殺し事件。(津山事件)
本当に不謹慎の極みなんですよね。いえいえ、そんな作品を楽しみたいと思う私がですよ。
しかも主演の古尾谷雅人さんといえば、自ら命断たれた俳優さんじゃないですか。
何だか、かなり血塗られた作品のようです。
調べてみると、欧米でも上映があったそうです。
その時のタイトルが、これまたクールです。
『Village of doom』(『運命の村』or『破滅の村』or『凶運の村』)
またまくらが長くなりそうです。さっさとレビュー行きますね。
結核を患った主人公・継男(継やん)を演ずる古尾谷さん、まさに本物の病人のようにやつれ細った体躯でした。リアル感ぱねぇです。
まるで定規みたいに体が薄っぺらいの。
そして本作、R-18の指定に違わず、生々しいエロ描写のオンパレードなんですよね。地上波では絶対に放映できないやつです。
ギャグシーンですら
「オカンええか!オカンええか!」→「なんやそれは!」→「お父ちゃんのマネや!」(笑)
「な~んや、もう出たん。えらい早い鉄砲撃ちやなぁ(笑)」ですよ(笑)
そして女優さんがB地区全開の体当たり演技じゃないですか。
ビジュアル的に全然(*´Д`)ハァハァしなかったんですが。←言い方!
今日的に置き換えると、綾瀬はるかや橋本環奈あたりが演ずると、絶対に(*´Д`)ハァハァするんですが。←こら!
本作だと、田中美佐子が環奈ちゃんっぽいポジションです。
はるかさんに「うちのお父ちゃん…しばらく家あけてるから。夜ヒマやったら遊びにおいで。女ひとりの夜って…長すぎるんよ♡」とか言われた日にゃ!(*´Д`)ハァハァ←だから!
そんな継やん、叡智の最中の切なそうな表情がかわいいの(*´Д`)ハァハァ
“泥の付いたピン札”の、ぶっきらぼうなトラック運転手の時とは大違いです( *`н´* )ムッ
その古尾谷さん演ずる継やんですが、本当にかわいそうなんですよ。
屈託のない笑顔で、村のみなさんに挨拶して回るようなええ子やったんですよ。
お国のために命奉げる兵隊さんになりたいって、純粋にそれだけを願ってた子やったんですよ。
何の罪もないのに肺病に冒されて、村八分の目に遭うなんて、そんなー(´•̥ ω •̥` )なんですよ。
幼馴染(恋人?)の田中美佐子まで結婚して去ってしまうんですよ。
おばやん(おばあちゃん?)以外に唯一、構ってくれていた大場久美子からもきつく拒まれるようになるんですよ。
精を出していた(文字通り)←おい! 夜這い相手の五月みどりから「もともと、嫌いなんよ」とか、池波志乃からも「もう来んといて!」って惨めにあしらわれる始末なんですよ。
どないしたらええんや!継やんの明日はどっちだ!なんですよ!
徐々に正気を失っていく継やん。山奥で猟銃撃ちの訓練に汗水流したり。
とうとう「犬丸継男の戦場」なんて物騒な村の地図を作って、虐殺シミュレーションまでやらかす始末。
継やん、あの頃の笑顔はどないしたんや!
「自分が戦地で鉄砲持って戦えんもんやさかい、このクソ田舎で鉄砲ふりまわして憂さ晴らししてるだけやないいか!このごくつぶし!」とまでなじられるんですよ。
石橋蓮司からは「へのけもん(意味不明)の!てなえぼう(意味不明)の!このびょーき持ちのくせからして!二度と来るな!びょーきが移るわ!」「人の嫁はんに、夜這いかけるしか能のないやつや言うとるんや!」ですよ!あんまりだ!意味はわからないけれど、あんまりだ!(´•̥ ω •̥` )
それに対して継やん「昼間も来たことある!」って(笑)
村中からつまはじきですよ。ひどい目に遭うんですよ。特にムラの実力者こと、勇造(夏木勲さん)!おまえのことだ!
ムラ社会こわい。えげつない。
そりゃあ誰だって正気だって失いますよ!って話ですよ。継やん、かわいそう…(´•̥ ω •̥` )
継やん、とうとうブチ切れです。
頭と胸に懐中電灯を灯して「こりゃやっぱり鬼やな!」と不吉な笑みを漏らします。
山の斜面から、早朝の村を俯瞰で見降ろす継やん。
「まぁ皆さま方よ、今に見ておれでございますよ」「戦場へ行きます。鬼になります」の言葉を胸中に秘め。
鬼と化した継やん、まずは村の電線をカットして村中を停電させます。
軍服に身を包み、ポン刀とドスを携え、散弾銃を手に、いざ決行の刻。最初の犠牲者は、なんとおばやん。躊躇なく振り下ろした斧で惨殺。
返り血に染まった継やん「おばやん、俺を夜叉にしてくれ!俺を鬼にしてくれ!」「犬丸継男君、バンザーイ!バンザーイ!」継やん、もはや正気の沙汰ではありません。完全な殺戮マシーンと化します。
「クソババァ!夜這いに来たでぇ!」ポン刀と銃で村人たちを容赦なく屠っていきます。
大場久美子まで凶弾とドスの餌食になってしまいます。「結婚おめでとうさん」バキューン!グサッ!
継やんに肩入れしているとは言え、ここでカタルシスを感じる私、間違いなく外道です。
「起きんかい!皆殺しにしたる!」バキューン!グサッ!女子供まで容赦なしです。バキューン!グサッ!
もはや田中美佐子の説得も耳に届かず「まだ三軒残っとる!鬼のどこが悪い!」と吠えます。
散弾銃で頭吹き飛ばすとか、結構グロいシーンも挟んで。バキューン!グサッ!
勇造の命乞いにザマぁです。なのにこいつ生き残るんですよね。こいつこそ屠っておいてほしかったのに。
映画とはいえ、そういうこと思う私が鬼です。ご遺族の方々も今だご存命かもしれないのに。
映画化で、かなり脚色があるとは思うのですが、私は継やんが哀れで哀れでたまりませんでした。
Wikipediaによると、だいたい実話を再現したお話のようです。
史実では、犯人の都井睦雄(リアル氏名)は21歳の時にこの事件を起こし、事件直後に自害したようです。
「皆さま方よ、さようならでございますよ」最後の最後。継やん、自らの頭を吹き飛ばすシーンまでは描かれていなかったの。ムラの被害者の方々よりも、継やんのご冥福を祈りたい私って…やっぱり鬼だ。
素晴らしい
以前DVDで見たのだが、初めてスクリーンで見た。色あせたボロボロのフィルムで味わい深かった。
盛大に殺害しまくっていて最高だった。準備の武装場面もたっぷり描かれていてよかった。
田中美佐子の胸がたいへん可愛らしかった。大場久美子が憎たらしかった。石橋蓮司もよかった。
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