劇場公開日 1953年3月26日

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雨月物語のレビュー・感想・評価

全27件中、21~27件目を表示

5.0映画の枠を超えて、日本美術の粋といえます

2019年8月27日
Androidアプリから投稿

凄まじい傑作を観て、しばらく呆然としました
総毛立つ思いとはこのことです

怪談、つまり今風に表現すればホラー映画
それではあまりにも安っぽく、この本作を侮辱しているように感じます
単に物語が怖かったからだけで総毛立ったのではありません

美術、衣装、メイク、ヘア、照明、撮影
もちろんのこと出演者の演技、監督の演出
これらのものが渾然一体となって日本の美意識が隅々までフィルムの中に焼き付けられています

これこそ美術品です
映画の枠を超えて、日本美術の粋といえます
京都国立博物館の国宝展で観ることができる最高峰の日本の美術品に比肩するものです
日本の映画芸術の最高の才能と最高の美意識と教養がなし得た偉業です
日本映画の最高到達点のひとつです

夜霧たなびく湖水を渡るシーンの幽玄の光景
朽木屋敷の夕闇の中次々に燭台が灯る美しさ
若狭姫の能面のように整った容貌がいつしか不気味さをたたえる陰影
何もかも鳥肌がたつ程の芸術です

田中絹代の言葉の美しさ
気高く気品のある立ち振舞い、所作
決して美女ではないが最高の理想の女性の姿
そこには微かなエロシズムすらあるのです
驚嘆するばかりです

極めて日本的なドメスティックなようで、実は世界のあらゆる国や民族に普遍性を持つ物語と美意識であり共有できるものなのです

これ程のものは世界でも希有のものです
疑いもなく世界の映画芸術の最高峰の一角を占める作品です

本作のそれらの驚くべき凄さが本作を観て総毛立つ思いにさせたのです
このような超絶的な作品は残念ながら二度と撮ることは叶わないでしょう

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あき240

3.5人間の愚かしさと戦争の不毛さ

2019年8月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

知的

日本の古典で怪異話で有名な雨月物語の中の

代表的な短編をいくつか一つの話にして脚色した物語。

京マチ子映画祭で観て来ました。

京マチ子さんが、時には少女の様に恥じらい
時には般若のように怒りに狂って男を追い詰める。
変幻自在の豹変ぶりに目を奪われます。

で、月に8回程映画館に通う中途半端な映画好きとしては

京マチ子さんの演技も見ものでしたが
絡みは一切ないものの、
対照的な名も無い庶民の妻を演じた
田中絹代さんも、
貧しいながらも、本物の幸せを追い求める誠実な役柄で

京マチ子さんの役と遂になる見事な存在感でした。

お話自体は溝口健二監督らしく
人間の愚かしさと戦争の不毛さを描いていますが

それだけでなく、昨年観た「近松物語」と同じ様に

白黒ながらもその陰影の美しさ〜
着物の柄の見事さで身分が伝わるほど違いが判る見事さ〜

@もう一度観るなら?
「こういう映画は映画館で集中して観ないと〜〜」

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星のナターシャ

3.04kデジタルリマスター版なので、70年以上経った今も音質もクリ...

2019年8月18日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

4kデジタルリマスター版なので、70年以上経った今も音質もクリアだし映像も言うことはなし。
お話自体は耳なし芳一と牡丹灯籠を足してわったような感じで日本独特の怪談ものが当時は受けたのかな?と思います。

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ちゆう

4.0モノクロの美しい映像が物語の妖しさを引き立てる。三人三様の女の哀し...

2018年1月6日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

モノクロの美しい映像が物語の妖しさを引き立てる。三人三様の女の哀しみが見事に描かれていた。田中絹代の演技が特に素晴らしかった。

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tsumumiki

3.0背筋が凍る、、

2015年5月3日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

怖い

幸せ

京マチ子の幽霊が正体を現し始めるシーンは本当に恐ろしい。観ていて背筋が寒くなり、後ろに何かいないか振り返ってしまった。
「八つ墓村」で小川真由美が豹変するシーン、作品名は分からないが小鳥をむさぼっているところを人に見られ化け猫の正体を見破られた女が「見ぃたぁなぁ~」と叫ぶシーンに並ぶ恐ろしさである。
魔性の女ではなく、魔性そのものを体現するこの女優の正体は一体何なのだろう。近日中に観る予定の「羅生門」でもそこに注目してみよう。

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佐分 利信

5.0人間の愚かさと欲望の深さを描いた傑作

2015年2月7日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

怖い

知的

戦国時代の場を借りて、弱い人間の愚かさと欲望の深さを描いた傑作。 今、観ても古さを全く感じさせない内容。全編にわたって白黒画面も美しい(撮影…宮川一夫)し、音楽も良かった(「七人の侍」の早坂文雄)。
亡霊の美女である京マチ子の登場していた場面は大人でも恐怖感を覚えるほど迫力あるものでした。
欠点の見つからなかった映画で、溝口監督に脱帽でした。

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chakurobee