異人たちとの夏のレビュー・感想・評価
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小さいけど、本当に小さいけど、そこには確かに幸せがあった。
主人公がやつれてしまったのは桂に取り憑かれていたからで、それを助けるために父母がやってきたんではないだろうか?
牡丹燈籠にならなかったのは父母のお陰だと思いました。
あの小さなアパートにはお金や科学では買えない幸せがあったんだよね。
わたしも子供の頃思い出して、胸が熱くありました。うちの死んだ親父も主人公の父親みたいで...
とってもよかった
公開当時に映画館で見て、その後もレンタルで2回くらいは見ていて大好で、追悼でHuluに上がっていたので見た。最後に見たのは20代の時でそれから主演に風間杜夫の年齢をはるかに追い越して見たら、ずっとあまり好きではなかった名取裕子とのやり取りや場面にぐっと来た。鶴太郎と秋吉久美子の粋な感じはずっと一貫してすごくいい。永島敏行もなんだこいつと思っていたのだけど、改めて見ると分からなくもないし、あんなに支持してもらえたら心強い。半面、風間杜夫の思いあがった感じが鼻につく。バブルの真っただ中な感じもよくて、とても面白かった。そんな風には描かれてはいないけど、景気の良さが随所に滲み出していてこの時期にお金を好きに使える立場だったらさぞ楽しかっただろうな。
(追記)
永島敏行がお化けの名取裕子を横蹴りで倒す場面がすごい。咄嗟の判断であんな勇敢な行動ができるような男でありたい。名取裕子は自分がお化けのくせに両親と会うのを妨げようとして厚かましいのだけど、最初に風間杜夫の部屋を訪ねた時は切実な思いがあっただろうし、それには一体何が原因だったのか、よほどの事情があったのだろう。気の毒に思う。
観終わってしみじみする珍しいホラー映画??
数々の名作を世に送り出した大林宣彦監督、謹んでご冥福をお祈りいたします。
尾道三部作他、若手俳優たちを多く発掘したことも映画界に残された大きな足跡だと思っています。懐かしのチャールズブロンソン『マンダム』のCMも大林監督だったんですね?Wikiで調べて初めて知りました。
※全く関係ありませんが、友達に「顎になんかついてるよ!」って言って顎を触った瞬間「う〜んマンダム!」っていうのが流行りましたねー。
原作の山田太一さんは『ふぞろいの林檎たち』をまず思い浮かべ、自分自身、同世代の主人公たちと学生時代、就活、社会人を同じように過ごさせてもらい、なんて我々の思いを代弁してくれるんだろうって感心したこと思い出しました。
映画の本題ですが「DESTINY 鎌倉物語」のようなファンタジックな物語かと思いきや、分類的にはホラー映画になんでしょうね?!幼い頃に死別した息子を悪い幽霊(怨霊)から救うために両親が当時のままの姿で現れます。当時にはできなかったキャッチボールや色々な会話、今半のすき焼きを食べながら消えてしまうシーンは、もう涙なしでは観られません。
大好きな映画『蒲田行進曲』の銀ちゃん役の風間杜夫さん、やはり少し臭めの演技、いい感じでした。
ほっこり心温まるとてもいい映画なんじゃないでしょうか。あまり話題にならなかったのがちょっと残念です。
【セピア色の”すき焼きのシーン”は何度観ても、涙が込み上げてくる作品。親とは”どのような状況”でも子供が心配なのだ・・。】
ー 大林宣彦監督、素晴らしき多くの作品を届けて頂き、本当に有難うございました。ご冥福をお祈りいたします。-
作品の内容は、人口に膾炙しているので、敢えて記さない。
<鑑賞当時の感想>
・”親子の関係”とはどのような状況でも永遠に繋がり続けるという事。
・山田太一さんの小説自体が素晴らしいのだが、その作品の”独特の世界観”を崩さずに映像化した大林監督の力量と市川森一の脚本の凄さ。
ー書いているだけでも、凄い布陣である。-
■想い出のちょっと恥ずかしいシーン
・名取裕子さん演じる妖しくも哀しき女ケイ(凄い、色気であった・・・)と原田とのベッドシーン。初見時は学生で、TVで友人と観ていたので、かなり気まずくもドキドキしながら観たなあ。
■白眉のシーン
・浅草の誰もいないお盆の時の道路で、原田(風間杜夫)と鯔背な寿司屋職人の父(片岡鶴太郎)とのキャッチボールのシーン。そして、二人が交わす会話。
・今半別館の二階で、三人がすき焼きの鍋を囲んでの会話の素晴らしさ。
特に、原田の父の台詞に涙が滲む。
”こいつは12で両親を失って・・・・、良く頑張った・・。”
・原田の両親(母は、秋吉久美子・・そりゃ、美しいですよ。)が後ろの襖窓から夕陽が差してくる中、徐々に姿が消えていくシーン。そして、暗くなった間に独りで座り込む原田の背中・・。
ー個人的に邦画の名シーンの一つだと思っている。-
<初見時から数十年振りに観ると、ケイの本当の姿が露わになるシーンなどは正直厳しいものがあるが、それでもこの作品は私にとっては忘れ難き名作なのである。>
牡丹灯籠
緑色のアイスの皿
"ホラー二本立て“になってしまったのは残念(笑)
どうもおかしい構成だと思ったら、Cape Godさんのお調べでは「亡き両親が悪霊《KEI》に取りつかれた息子を正気に戻すために現れた」というのが物語の骨格なのだそうだ。
それならば、ラストシーンで、雑草の更地でアイスの皿が再登場するのだが、名取裕子に向けてどこからかあの皿が投げつけられるとか、の演出が加わっていたならもうちょっと違ったかも。
そんなわけで作りは「?」だったけれど、
すき焼きの場では不覚にも声を出して泣いてしまった。
大人になっても、子ども時代にも、僕らはさまざまな幽霊に脅かされ苦しめられてるよね・・・
でも「お前を誇りに思うよ」とあの世から聞こえる声が
疲れた心にこんなにも嬉しい。
うんと泣いて、元気になった映画でした。
最後に自分だけ取り残されるような感覚
1980年代の作品とあって、ぎりぎりの昭和感がいい雰囲気。
かといって、異次元すぎる訳ではなく、妙にリアリティがある。
後半はところどころ飛ばして見たものの、最後のオチは王道ながらおどろおどろしい部分があり◎笑
主人公の両親と、同じマンションの女との絡みは
どちらも中毒のようにハマっていく様子が生々しかった。
昔の記憶と恋愛関係、、
ふむふむ。まるで目の前の辛い現実から逃れるためにでてきた幻影のように、しつこく頭から離れない。
一度快楽を味わったが最後、現実世界に戻ってこれなくなる。
主人公が過去に固執して凝り固まった考えから、それらが具現化してでてきた幽霊のような、、
考え出すとなかなか深い意味合いがあるように思う。
ただ見終わった後は、なんだかとってもスッキリ!
なんなんだ、、
かなり昔の作品ですが、時代を超えてオススメしたいですね。
久しぶりに前のめりで物語の世界観に引き込まれました。
一言で言うと、前向きに生きていくことの大切さを教えてくれる作品です。
死んだ両親とほのぼのとした時を過ごす。映画らしい素敵な設定ですね。...
ラストに、えっ?
時空を超えた作りや亡くなった人間が幽霊として出てくるので、大林作品の王道と言えるものでした。
父親役の鶴ちゃんと母親役の秋吉久美子が、昭和30年代のおおらかな日本社会を象徴しています。いつからこんなにギスギスした日本になってしまったんでしょうか。いくら戻りたくても戻ることができない良き時代。
特にその時代を知る方が鑑賞すると、熱いものが込み上げてくるかもしれません。それは主人公がその世代の日本人のメンタリティーのメタファーとして描かれているから。作品が上映された時代は、家族という概念が変わり始めた頃でした。時代が急激に変わり過ぎたんですね。
そして、主人公が経験する中年という壁。現在の自己を否定し、生まれ変わることを求める年齢にフォーカスしています。
「さびしんぼう」でも描かれた同世代として対面する母親との微妙な関係性も通過儀礼のひとつ。男性(大林監督)の初恋はきっと母親なのでしょう。淀川先生も、そんなこと言ってたなあ。
両親という死者との再会によって生きる喜びを取り戻す主人公。逆に死者である「ケイ」という恋人によって、あの世へ連れて行かれそうにもなる。どちらにしても、生きる目的を無くした主人公が、生を意識した瞬間です。とにかく、「生きるのだ」。とにかく、「生まれ変わるのだ」。
賛否両論あるラストですが、もう少しなんとかなったら日本映画史に残る名作になったのではないでしょうか。でも、大林監督らしいと言えばらしいので、これで良かったかな?
ホラー映画なのに、こんなに心温まる映画って最高ですね!
この作品の主人公は原田英雄と言い、最近離婚したばかりの売れっ子TVドラマの脚本家だ。
そして、或る年のお盆の季節に彼は、不思議な体験をしたと言う夏物語なのだ。
これは、一応ホラー映画に属する作品なのだろうが、ホラー映画と言うよりは、むしろファンタジー映画と呼んだ方が近いような作品だ。
それ故、普段は、ホラー映画を観る事はない私でも、この映画だけは、例外的に好きな映画として、何度となく飽きる事も無く、繰り返し観賞する事が出来ているのだ。
私は臆病な性格な為か、それとも子供の頃に幽霊を見た経験が有るせいか、理由は今ではハッキリとは解らないが、ホラー映画は普段は観ないのだ。
こんな、ホラー映画嫌いの私が、この作品を初めて観たその時のきっかけは何かと言えば、この作品の監督が、私の大好きな、大林宣彦さんである事に加えて、物語の原作を尊敬する山田太一さんが執筆している事だ。
そして、キャスティングも、好きな俳優さんが偶然揃っていて、この映画は、自分の為に創られた作品ではないのか?と錯覚を起こしてしまう程にお気に入りの作品なのだ。
そして、何度も何度も観ているくせに、これを観る度に、総て分かっているのに、号泣してしまう。
今日も、このレビューを書く為に、再度、見直すと、また、決まって同じ処で、泣き出す始末で、自分自身でも、呆れ果てているが、涙が勝手に出て来てしまうのだ。
仏教では、本当かどうかは解らないが、亡くなった人の魂がこの世に残した家族に会う為に、年に1度だけ帰って来るシーズンがお盆だと信じられている。
そして、人々は、帰省して、墓参りをして、先祖供養を行う習慣が今でも有る訳だ。
私は、この映画を、お盆なので観ているけれど、墓参りには行っていない、親不孝者の私である。それ故に、この映画の原田と自分を重ね合わせて観てしまうから、涙が止まらなくなるのかもしれない。
この作品の終盤、ちょっぴり死霊が、原田の前に変幻した姿を現にするのだが、そのKEIと言う原田と同じマンションの住人だったと言う女性の亡霊のCGが決まらないのが、当時の邦画の技術なのか、予算の問題で巧く綺麗にみせる事が出来なかったのか、心残りの点も有るには、あるのだ。原田の特殊メイクも今一つ巧くないのは残念だ。
しかし、40歳で離婚して、子供との関係も巧く築いてくる事が出来なかった、原田の元に、原田の亡き両親が会いにやって来ると言うお話は、やはり、ホ-ムドラマを多数書き続けて来た、山田作品ならではの、最高の人情話になっている点こそが、本作の素晴らしさなのだと思う。
最近の医学研究の発表では、ホラー映画を観ると他のジャンルの作品を観るよりも、消費カロリーが多い事から、ホラー映画は、ダイエット向きだと言う統計がアメリカでは出たらしい。美容と健康の為に、これからホラー映画を観る事を習慣にするのも良いらしい!
と言う事で、8月のお盆のシーズンのお薦め映画としてこの作品を推薦したい!
現代版怪談だが、見所は染み入ってくる家族愛の演出の良さ
総合:80点
ストーリー: 65
キャスト: 85
演出: 80
ビジュアル: 65
音楽: 70
最初は何故急に両親が現れたのかわからなかった。怪談の現代版なのかと思ってみていた。だが幼い時に両親を亡くし、今また離婚したばかりの孤独な中年男に染み入る家族の愛情が、見ているうちにだんだんとしかしはっきりと感じられるようになる。特に片岡・秋吉の両親役二人の出演者の演技に加えて、このあたりの演出は流石に人の交流を多く描いてきた大林監督のうまさが出ている。だんだんとその愛情に癒されていく風間杜夫の変化が良くわかる。それでも風間杜夫が衰えていくのは、体力の消耗以上に彼が家族の愛情を必要としているからなんだろうと思っていた。
そんな家族との触れ合いの描写がとても素晴らしいと思った反面、物語にはいくつか疑問があって当初は腑に落ちなかった。あんなに息子を愛しているように見える両親は、現世に生きて衰弱していく息子と一緒に、黄泉の国に旅立つつもりだったのだろうか。それとも一時の交流のためだけに現れたのだろうか。
実は映画を見た後に解説を聞いたり調べたりしてようやくわかったのだが、両親は息子を守るために出現したということだ。憑りついた他の幽霊が弱った息子を連れて行かないように、彼に心の平穏を与えて現世に残れるようにしていたのだ。だから彼は踏みとどまることが出来た、ということらしい。
それならば納得できるのだが、最後の最後に彼を救ったのは両親ではなかったわけだし、物語はわかりにくい。だからそこらあたりが響いて、脚本にはあまり高得点を付けなかった。
それでも両親との触れ合いがとても良かったし、それだから最後に彼はまた自分と自分の家族について冷静に見つめ、それまで全く登場しなかった子供に、父親として普通に接することも出来た。またぎりぎりに追いつめられた名取裕子が突然に風間を訪ねる部分も良かった。最初はこんな変な奴いないよと思ったが、彼女は本当に最後の勇気を振り絞って、藁をもつかむ思いで最後の救いを求めに行ったのだ。だからあんなにぎこちなかったのだと納得だし、その演技もあとで見直してみるとたいしたものだった。最後に近い名取裕子との修羅場の場面は映像の技術もたいしたことないしちょっとがっかりだが、欠点を上回る情緒豊かな場面があって、最終的にはいい映画だったと言えた。
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