異人たちとの夏のレビュー・感想・評価
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山田太一と大林宣彦の融合
2024の再映画化にからんで知った。
山田太一さんのドラマを最近よく見ていたので、小説のほうはどんなものかと読んでみた。
私はつげ義春的な、主人公が作家(作者の投影)ものが好きだ。山田太一さん自身とも思われるような主人公とその目線がドキュメンタリー的な面白みを掻き立てられる。彼女が正体を明かすシーンがクリシェというか、それまでの具体的でリアルな描写から急にありきたりな表現となって残念だったので、そこを映画版でどう表現されているかに注目した。
映画版は大林監督の実験的な変てこな演出が控えめでまっとうな演出だった。
問題のシーンはうまく映像化されていて、女性が原作よりも美しいイメージで撮られていて、そこはすごく大林さんらしいブラッシュアップ良かった。
結論としては、原作の山田さん自身の経験や目線がにじみ出た様なキャラクターや印象的なセリフと、大林さんのちょっと違和感のある変なカメラワーク(缶ビールや、すきやきの中身に寄っていくなど )や初期の実験フィルム的な手作り感のあるSF演出を楽しみながら全体としては大衆向け娯楽作品としてバランスも取れていて非常に完成度の高い(特殊メイクも良い出来)一本であると感じた。
久しぶりにエンディングが「終」の文字でスパッと終わるタイプなもの逆に新鮮であった。エンドロールが無いのでアマプラのおすすめで余韻が邪魔されることもなかった。
充実した親子の時間の優しさに感動!
アンドリュー・ヘイ監督の『異人たち』を観た後、レビューを書いたところ 複数の方から本作を推薦いただき、鑑賞しました。 風間杜夫演じる主人公英雄と、片岡鶴太郎・秋吉久美子演じる両親との 懐かしく、優しく、あたたかい時間が、12歳でお別れした英雄にとっては 何ものにも代えがたく充実しており、ずっと通うようになってしまい、 英雄本人も気づかないうちに、体調を著しく崩してしまいます。 しかしながら、その濃密な時間を亡き両親と何度も過ごしたいとの英雄の気持ちも 痛いほどよく伝わり、本サイトのレビュワーの皆さんが推奨している理由が とてもよく理解できました。 この点は、アンドリュー・ヘイ監督の『異人たち』とは大きな差異があると感じます。 『異人たち』は、どちらかというと両親との時間もさることながら 主人公アダム(アンドリュー・スコット)とハリー(ポール・メスカル)の時間が 圧倒的に濃密に描かれていることから、この視点がアンドリュー・ヘイ監督ならでは の切り口なのであろうと思いました。 本作では、英雄の相手は女性である桂(ケイ:名取裕子)であり、男女関係に発展していく 様が描かれていますが、桂がどうなっているかの描かれ方も含め、これはこれで良かったと感じました。 私も『異人たち』の視点/切り口よりも、大林宣彦監督による本作の方が 胸に突き刺さりました。できれば劇場で観たかったですね。 劇場鑑賞だと感動も桁違いな気がします。 1988年の作品ということで、その時代感はありますが、 物語の本質は色あせず、素晴らしい感動をおぼえました。 俳優陣の演技にも感銘を受けました。 ※高橋幸宏さんの出演もうれしかったです 本当に観てよかったです。 推奨いただいた皆様へ感謝申し上げます。
ノスタルジーに浸る幸せな時間
家族との時間が、必ずしも幸せだったとは限らない人もいるだろう。けれど、誰もが、どんなにささやかでも、自分が大切にされた記憶のカケラは持っていると思う。そのノスタルジーを呼び起こし、浸りこむ幸せを思い出させてくれる映画だ。 自分にとって、この映画で一番響いてきたのは、手作りアイスクリームだった。 買ってもらったものではなく、一緒に手作りしたものというのは、記憶の深さが違う。 いつのまにか、映画の中の部屋は、母の実家と重なり、暑かった日差し、緑の匂い、そして井戸水の流れが思い出され、自然と涙がこぼれた。 初めてこの映画を観た20代の頃と違い、自分はもう還暦間近。思いは、鶴太郎や秋吉久美子の方により籠る。 子どもたちはそれぞれ独立し、元気にやっているのだけれど、いつまでたっても、子どもはやっぱり子ども。風間杜夫が、息子たちに重なって見えてしまうのも年をとったせいだろう。 やっぱり自分は大林宣彦の映画が大好きだということを再確認。 明日から公開のリメイク版は、どんな味わいなのか、そちらも楽しみにしたい。
秋吉久美子と名取裕子の姿を観るだけでも価値あり
今週末4月19日から公開されるアンドリュー・ヘイ監督の「異人たち」。同作は山田太一原作の「異人たちとの夏」を原作にしているものですが、既に1988年に大林宣彦監督が映画化しており、同じ原作を持つ2本の映画の相違点はどのようなものなのか確かめるため、本作をU-NEXTで鑑賞しました。 1988年と言えばバブル真っ盛りの時代でしたが、主人公の原田英雄(風間杜夫)は妻と離婚し、子供も妻側が育てることに。30年前、12歳の時に両親を交通事故で亡くした原田は、正真正銘の一人ぼっちになってしまう。さらに仕事でも思い通りに行かなくなり孤独感に苛まれる。そんな中、同じマンションの3階に住む妙齢の女性である藤野桂(名取裕子)が原田の部屋を訪れ、「一緒に飲もう」と誘う。しかし嫌々病に陥った原田は断る。 そんなやり取りがあった後、実家があった浅草に行くと、なんと30年前に亡くなったはずの父親(片岡鶴太郎)に出会う。父親に誘われるままに実家に行ってみると、母親(秋吉久美子)の姿も。あまりの懐かしさに、実家に通い詰める原田。一度は断った桂の誘いにも乗るようになり、2人は男女の関係になっていくが、桂は自分の胸は見ないで欲しいと言う。やがて原田はやつれ始め、周囲の人は心配する。 要するに両親も桂もこの世のものではなく、そんな「異人たち」と過ごした「夏の物語」なのですが、実家で両親と団欒するシーンは、中々泣けました。幸いにして私の両親はいまだ健在ですが、原田と同じ境遇であれば、自分の健康を削ってでも両親に会いたいと思うのは自然ですし、しかも両親ともに自分があの世の存在であることを知って息子に会っているというところも切なすぎるお話でした。 桂の方は、原田が誘いを断った日に自殺したことになっていた訳ですが、こちらはちょっと微妙な気も。何せ同じマンションで自殺を図った訳で、そのことを原田が知らないというのは不自然極まりないところ。この辺りはもう一工夫あっても良かったように思いました。 また、終盤になり原田の体調がどんどん悪化していき、顔が怪物のようになってしまいますが、このメイクが安っぽい感じで、こちらももう少し上手にやって欲しかったなと思わないでもありませんでした。 とはいえ、主演の風間杜夫以下、30年以上前の若かりし頃の姿を観ることができ、中々感激しました。特に母親役の秋吉久美子と、恋人役の名取裕子は、超絶に美しく、色気溢れる姿で登場し、この2人を観られただけでも本作を観た甲斐がありました。また片岡鶴太郎は、本作での演技が評価されて、それまでのコメディアン路線から役者路線に転換していくきっかけになったそうです。ボクシングからヨガをやるようになった鶴ちゃんですが、昔のふっくらした感じの姿に、懐かしさを覚えました。 そんな訳で、「異人たち」の”予習”で鑑賞した本作の評価は、★4とします。 舞台をイギリスに移し、桂役を男性に替えたという同作が楽しみです。
飛ぶ夢をしばらく見ない
なんと!もうすぐ上映されるLGBTっぽい異人たちが、異人たちとの夏の再映画化だとか。 その昔、飛ぶ夢をしばらく見ないを観て衝撃を受けて山田太一の小説を読みまくった。 TVで観てた不揃いのりんごや男たちの旅路は苦手だ。正攻法すぎて若い私には拒否反応のが強かった。 だから飛ぶ夢を観た時、こういうお話も書くんだと衝撃だった。その頃は珍しかったと思う不思議ファンタジー。 生涯の一作の一つになった。ただし、今観たらそれほどでもないかもしれない。でも当時の私にはこの世ではないような話にすごく引き込まれた。 出だしの暗い画面。何が起こってるんだろ?ざわざわする感じ。 異人たちとの夏はTVで観た記憶がある。 これも不思議でさらに山田太一のファンになった。 今回こちらは観ることができたので見直した。 歳をとった私には全てが懐かしかった。 そうそう。なぜか母親ってノースリーブ着てたんだよね。 作った!アイスクリーム。 家から離れたら多分消えちゃう。でも覚悟の上だったんだよね。 名取裕子と関わることで異世界への扉が開いて会いに来れた。 でも取り憑かれるのを阻止するため、その扉を閉じた? 私は子供たちの心の故郷みたいな親になれているかな? このお話で山田太一は何が書きたかったんだろう? 大林さんや市川さんは? すごく贅沢な一作であると思う。
さよなら、お父さん、お母さん 僕は生きていきます
名取裕◯さんの3年下級生の方と仕事を3年前にした。曰く。
スゲ~美人だそうだ。可愛いじゃなくて綺麗だそうだ。
閑話休題
母親に性的な衝動を持ちそうになるのは、僕の好みではない。母親が若い時の頃なんか知りたくもない。勿論、父親も。温故知新って、その対象が浅草。今でも(2024年)同じだ。それが、関東地方なのかなぁ?浅草も悪い場所ではないが、歴史が浅いのが物足りない。
O mio babbino caro / プッチーニ:私のお父さん マリア・カラス
場面に合っている。
「妙なものを見たが、どうかしていた。余り、入れ込まないで下さい」
「さよなら、お父さん、お母さん ケイ。僕は生きていきます」
つくづく思うのは、この当時がもう既に「異人たちにとっての夏」まだ、ワードプロセッサが鎮座まします物で、ブラウン管のテレビはまだ4×3の時代。コンピューターもMSDOSがドすを聞かせていた。
僕は親父と母親を連れて、函館の青函連絡船の最終を見に出かけたり、母親を美空ひばりさんのコンサートへ連れて行こうといていた(実現できなかったその代わりマイク・タイソンの試合)。明らかに異人たちの夏で、もうすぐ、僕も異人になる。
大昔のあの夏
大昔に見て好きだった映画。松竹公式で流れていたので何十年ぶりに再見。自分が大人になって見るといろいろと見えてなかったものが見えたりする。昔昔見た時とはまた違った味わいがあった。秋吉久美子と片岡鶴太郎の両親が素晴らしい。二人が消えていく時の切なさは凄く印象に残っていたシーンだ。オチは個人的にはあまり好きで無い。時代的にはエクソシストとかの影響ありのオチなのかなぁ、、
正直名取優子絡みのシーンは無くても良かったと思っていた。昔昔から。そこの印象は変わらず。
ところで、レビューというのは感想の事だと思うのだが、自分で作ったあらすじを書く人が多い。それもなかなかの長文で。
なんであらすじ書くのかよくわからない。
と、映画には全く関係ない話
久しぶりに観ました
昔、どこかのシネマのスクリーンで観たのか地上波で観たのか忘れてしまいました。35年も経ってから主人公の亡くなった両親が現世に現れた理由を知りました。
そういう事だったのか!
主人公はある日ふと自分が育った浅草に行ってみたくなりますがその時から両親に誘導されていたんですね。
ふと何処かに行ってみたくなる時は自分の考えでは無いのかもしれません。
名取裕子さん演じるケイにはどんな苦悩があったのでしょうね。真夜中に訪ねて来た時に原田は彼女の話を聞いてやる気持ちの余裕が無かったから追い返してしまったけどコレって原田が自己愛を持っていなかったからです。自己を愛せない者に他者を愛せる筈が無いのです。
両親と再会してから愛とは何か?自己を愛する、他者を愛する事を取り戻したんですね。
すき焼き食べて〜
食べないでよそってくれるお母さん。照れてるのか卵かき混ぜてるお父さん。食べてほしいのにね。 アイスとビールときゅうり。お母さんのよく似合う花柄のワンピース、よそゆきの浴衣。大きな花の髪飾り。 秋吉久美子も鶴太郎も言葉のリズムがいい。 親を亡くした人なら言ってほしいことをストレートに言ってくれる。がんばったね、誇りに思うよ。てらいがない。湿っぽくない。 日暮れとともに薄れていくお父さんお母さん。外から差し込む光の移り変わり。黄昏。 再会も、お父さんだよ!とかはなくて、「親に苗字聞くやつあるか」と自然な流れで受け入れていく。お母さんの艶かしさにちょっとドキッとしながら。タクシーでご機嫌に再現する。 少し前の、観光客で溢れていないお盆の浅草。遠く聞こえる金魚売り、寄席、うなぎやの八目の串、今半。 急にホラーになってこのでたらめさが良いなと思った。 ケイはかわいそうだけど、そんなこと言われてもというものだ。大林宣彦でベッドシーンあるの意外だった。 助けてくれる仕事仲間いいやつ。 蓋をしていた両親の愛情を思い出し、息子との関係も結び直す。説明が多いようにみえて、肝心なところはさらりと表現している。「それはおじいちゃんとおばあちゃんだよ」と初めて紹介する。 環八のあのマンションまだあるのかな。 ビールは常にロング缶。 市川森一ってワイドショーのコメンテーターのイメージしかなかったので初めて作品に触れた。
郷愁・・・タイムスリップのファンタジー・ロマン
妻と離婚して古びたビルに住むシナリオライターの原田(風間杜夫)は、 ある日の夕刻トンネルをくぐると魔界のように子供の頃を過ごした 浅草界隈の小路に出る。 小路の奥に原田が12歳まで暮らした生家があり、暖簾をくぐると懐かしい 死に別れた両親が30年前と同じ姿で暮らしていた。 言いようもない嬉しさと喜び。 原田は父親(今の自分と同年齢の40代の片岡鶴太郎)と もう少し若い美しい母親(秋吉久美子)にビールを注がれている。 「立派になったねー、シナリオライターかい?」 「暑いだろ、ランニングにおなりよ!!」 パタパタと団扇で仰ぐ母は痒いところに手が届くほど優しい。 慣れた手つきで縁側に張ったロープにワイシャツを干す。 暖簾をくぐると日に焼けた畳の6畳間、 卓袱台に縁側に小さな庭、 何もかもが懐かしい。 べらんめい口調の寿司職人の父親の片岡鶴太郎。 すぐ店を辞める我儘な夫に文句ひとつ言わず付いていく 艶っぽい秋吉久美子。 2人の醸し出す雰囲気は途轍もなく和やかで優しい。 そんな雰囲気に抗えず何度も何度も足を運ぶうちに 原田は健康を損ねて行く。 そして並行して廃墟のようなマンションの3階に住む妖艶な女 (名取優子)が、突然ノックしてくる。 「開けたシャンパンが飲み切れなくて・・・」 美しく魅力的な女と恋仲になる原田。 その女もどこか訳あり風である。 「胸に大きなケロイドがあるの、だから見ちゃダメ」 12歳のとき交通事故で死別した両親に会う。 幽霊とビールを飲むのですから怪談ですよね。 でも片岡鶴太郎の父親と秋吉久美子の母親の優しさ。 多分原田は祖父母や叔父との生活で、何処か無理をして来て、 笑いたいときに笑えず、泣きたいときに泣けなかったんだと思う。 泣くことも笑うことも封印してきた男には地のまま、 素のままでいられる、なんとも心地よい両親との時間。 失った幸せな時間を取り戻している。 画質は荒いです。 名取裕子とのCG映像も今の技術を思うと とても見えにくいし、なんとも粗雑ですが、 それを補って余りある詩情と情感。 秋吉久美子の美しさとあどけなさ悪意のない笑顔、 本当に秋吉の最高傑作。 母親役の素晴らしさでは「とんび」の常盤貴子と双璧です。 お母さんってこんなに唯一無二の存在。 母の無い子はそれだけで悲しい・・・。 アンドリュー・スコット監督でリメイクされて「異人たち」の題名で この春公開されるそうです。 死んだ父親をジェイミー・ベルが母親をクレア・フォイが 演じるそうです。 ジェイミー・ベルと片岡鶴太郎がすこしも結びつかないけれど、 ベルが大好きなのでとても楽しみです。 原作が脚本家の山田太一なのにこの映画の脚本は市川森一、 なのも不思議ですね。 監督は大林宣彦さん。 今から35年も前の1988年作品。 この作品が30年の時を経てイギリス人監督アンドリュー・ヘイの 心に届くなんて。 山田太一さんが生きていたらどんなにお喜びだったでしょうね。 この映画の一番の魅力は、40代の息子が、自分と同じ位の40代の 父親と同じ時代に出会う。 この軌跡が、なんの不自然さも感じさせない不思議に、 あるのでしょうね。
山田太一さんを偲んで
TVドラマ『ふぞろいの林檎たち』で有名な脚本家の山田太一さん
11月29日に老衰のため神奈川県川崎市の施設にて89歳で他界
過去数回鑑賞
原作は『飛ぶ夢をしばらく見ない』の山田太一
監督は『HOUSE』『転校生』『時をかける少女』『理由』『海辺の映画館 キネマの玉手箱』の大林宣彦
脚本は『長崎ぶらぶら節』の市川森一
あらすじ
40歳の売れっ子脚本家・原田英雄が主人公
浅草出身
バツイチ
マンションで一人暮らし
彼が12歳のとき自転車に2人乗りしていた両親がトラックに撥ねられ亡くなった
地元にちょくちょく顔を出していたがある日寄席で父親そっくりの男を見かけた
男に誘われ男の自宅にお邪魔した
そこには母そっくりの女がいた
12歳の頃の英雄の両親そのものだった
それ以来何度も浅草の両親の家を訪問した
また同時期に同じマンションの住人の女・藤野桂と親しくなりやがて肉体関係の仲に発展しガールフレンドになった
それ以来なぜかどんどん老けていく英雄
日に日に衰弱し死にかけていた
都会的
現代的(公開当時またはテレビ初登場の頃は)
ノスタルジー
ファンタジー
そしてホラー
なぜかプッチーニ
日本アカデミー賞最優秀脚本賞
父親役の片岡鶴太郎が日本アカデミー賞最優秀助演男優賞
海外でも高く評価された
この作品の異人とは外国人の古い呼び名ではなく幽霊のこと
両親も藤野桂も幽霊という種明かし
なぜか幸せな気分になれる映画
年齢を重ねてみるとますます好きになる
大林宣彦監督作品で一番好き
邦画ファンで大林宣彦監督といえばまず思いつく作品はこれではないだろうけど
大林宣彦作品で『異人たちの夏』が1番観た回数が多いかな
両親役の片岡鶴太郎と秋吉久美子の雰囲気がとても良いのだ
手拭いで汗を拭いてくれるお母さん
なぜかラジコンカーにハマっているお母さん
笑うお母さん怒るお母さん
腕のいい寿司職人だが飽きっぽく店を転々とするお父さん
花札を教えるお父さん
40の息子とキャッチボールをするお父さん
すき焼き屋での両親との別れは何度観てもジンと来る
たまらない
英雄「いかないでくれ」
うっすらと消えそうになる両親
英雄「ありがとう」
房子「さようなら」
英吉「あばよ」
消えてしまう両親
いま観ても二つ目のクライマックスである正体を現す藤野桂のシーンはそれほどしょぼいと感じない
当時としてはかなり頑張った方
ラストは英雄が間宮と共に英雄の両親の家があった浅草で線香をあげるシーン
すでに更地になっていて再開発でビルが建つという
両親の墓はなぜか愛知県にある
悪霊の桂にもありがとうと感謝する英雄
ホラー混じりもなぜかホッとする名作
おすすめです
一度でも良いから映画館で観たいな
配役
TVドラマのシナリオライターの原田英雄に風間杜夫
英雄の父でいなせな寿司職人の原田英吉に片岡鶴太郎
英雄の母の原田房子に秋吉久美子
英雄が住む同じマンションの3階の住人の藤野桂に名取裕子
英雄の友人でTVドラマのプロデューサーの間宮一郎に永島敏行
英雄の元妻の今村綾子に入江若葉
TVドラマのキャストで主演俳優に竹内力
TVドラマのキャストで医師役に峰岸徹
地下鉄公団職員に栩野幸知
浅草の客引き1に草薙良一
浅草の客引き2に小形雄二
奇術師に北見マキ
落語家に桂米丸
落語家に柳家さん吉
タクシー運転手にベンガル
番組台本読み現場のキャスト・スタッフに高橋幸宏
番組台本読み現場のキャスト・スタッフに松田洋治
番組台本読み現場のキャスト・スタッフに時本和也
番組台本読み現場のキャスト・スタッフに高城淳一
番組台本読み現場のキャスト・スタッフに石丸謙二郎
台本の漢字が読めない若手俳優の川田淳子に川田あつ子
川田のマネージャーに明日香尚
打ち合わせをするTV局の男に加島潤
歯科医に笹野高史
八つ目うなぎ屋の親爺に本多猪四郎
今半の仲居に角替和枝
今半の下足番に原一平
英雄のマンションの管理人に奥村公延
英雄の息子の原田重樹に林泰文
現代浅草奇譚‼️
わが敬愛する大林信彦監督作の中でも「青春デンデケデケデケ」と並んで、最も好きな作品です‼️中年シナリオライターの原田はある日、幼い頃住んでいた浅草に出かけ、死んだはずの両親に出会う‼️原田が小さい頃に死んだ両親は、なぜか死んだ時の年齢のままだった‼️原田は懐かしさのあまり、たびたび両親の元へ通い、交流を持つようになる‼️一方、原田は同じマンションに住む桂という女性と愛し合うようになるが、彼女は幽霊だった・・・「牡丹燈籠」を思わせる物語に、古き良き下町情緒と人情、親子愛、恋愛(ちょっと情念)をブレンドした名作ですね‼️もうホント全編に大林監督の器の大きさというか、優しさが満ち溢れています‼️冒頭の原田が制作したTVドラマ‼️竹内力さんが出産に立ち会うドラマなんですが、これがまず観る者の心を癒してくれる‼️そしておそらく映画が描いた最高のユーレイ、片岡鶴太郎の父と秋吉久美子の母‼️父子がキャッチボールするシーンなんて名場面すぎる‼️並んで親子がすき焼き鍋を囲みながら別れるシーンなんて、涙が出ない人がいるのでしょうか❓そして妖艶な美しさの名取裕子さんの桂‼️前部を隠しながらの風間杜夫さんとのラブシーンも美しすぎて興奮しちゃいます‼️そしてユーレイとなった桂の悲しみと情念が爆発するクライマックスの特撮シーンも、ちょっとしたスペクタクルで見応えアリ‼️全編に流れる音楽も、プッチーニのオペラのアリアが効果的に使われていて、ノスタルジックな昭和の風景と相まって、忘れられない余韻を残してくれる‼️じいんときます‼️好きだなアこういう味‼️
「異人たちとの夏」といえばタイトルは知ってたが見たことはなかった。 見てみて思ったのは異人たちといえば普通は外国人のことだが、この映画では違った。
動画配信で映画「異人たちとの夏」を見た。 1988年製作/108分/日本 原題:The Disincarnates 配給:松竹 風間杜夫 秋吉久美子 片岡鶴太郎 永島敏行 名取裕子 大林宣彦監督といえばオレらの世代は「時をかける少女(1983)」を想像するのかな。 山田太一原作で想像するのは「ふぞろいの林檎たち」だと思う。 「異人たちとの夏」といえばタイトルは知ってたが見たことはなかった。 見てみて思ったのは異人たちといえば普通は外国人のことだが、この映画では違った。 風間杜夫は脚本家。 たまたま行った浅草で自分が子供のころ死んだはずの父(片岡鶴太郎)を見かけた。 父が声をかけてきた。 「うちに来るか?」 行ってみるとこれまた亡くなったはずの母(秋吉久美子)がいた。 とても居心地がよく愉快だった。 風間杜夫は何度も父母の家を訪ねる。 自宅マンションでは階下に住む女性(名取裕子)と仲良くなっていた。 しかし、父母や名取裕子と楽しいひと夏を過ごしているうちに、なぜだか風間杜夫は衰弱して行くのだった。 これはファンタジーではあるが見ていて居心地がよく優しい気持ちになれる、 だが怖い一面もあるそんな映画だ。 満足度は5点満点で4点☆☆☆☆です。
本作はホラー映画としての価値ではなく、1950年、昭和30年頃の生活への郷愁こそに価値があると思います
異人たちというのは、外国人のことではなく幽霊のことを指しています 確かに幽霊たちの夏ではあまりに陳腐です 1988年公開 原作はその前年に発表された同名の山田太一の小説 山田太一といえば、泣く子も黙る超有名な名脚本家 映画はそう数はないですが、テレビドラマとなれば、彼の作品はそれこそ無数にあります 一時期は視るテレビドラマは、大袈裟でなくどれもこれもほとんどすべて脚本山田太一とクレジットされていたほどです 木下恵介アワー、ポーラテレビ小説、金曜劇場、東芝日曜劇場などでの現代にまで知られる名作と呼ばれる作品に彼の物が沢山あるくらいそのレベルもとても高いものでした 泣いてたまるか 男たちの旅路 岸部のアルバム ふぞろいの林檎たち すぐに思い出せるものでもこれなのですから、どれほどの才能にあふれた脚本家であるかお分かりになるとおもいます 1934年生まれ、2022年現在87歳でご存命です 6年前の2016年には2時間ドラマを手がけ、数々の賞に輝いたほどお元気で才能も現役のままでいらっしゃるようです 本作はその売れっ子脚本家としての自身を投影したかのような主人公がある夏に体験するホラー物語です それをハウスの大林宣彦監督が映画化したものです といっても、ハウスのようなキッチュでポップな世界観ではなく、2004年の「理由」のような少し陰影の濃い肌触りの作品になっています 脚本は山田太一ではなく市川森一 この人は特撮界では良く知られる人で、快獣ブースカ、ウルトラセブン、怪奇大作戦、帰ってきたウルトラマン、仮面ライダー、シルバー仮面など錚々たる作品に数多く参加しています その後は山田太一の後継者のように沢山のテレビドラマの脚本を書いた人物です 1941年生まれですから山田太一の7歳下ですが、残念なことに2011年に70歳で他界なされています 物語はケイという魔女と、主人公の死別したはずの両親と二つのお話で展開されます 両親との思い出の世界は、1950年昭和30年頃の浅草です それを大林宣彦監督がとても情感たっぷりに撮っています 片岡鶴太郎と秋吉久美子の両親の言葉づかい、立ち振る舞い、衣装、当時の生活ぶりに心が奪われます 特に片岡鶴太郎の東京弁はスーッと耳に馴染むもので、もうそれだけで昔に連れていかれます 終盤になって思い出したかのようにホラー映画として締めくくられます 本作はホラー映画としての価値ではなく、1950年、昭和30年頃の生活への郷愁こそに価値があると思います もちろん私達は生まれてもいません 郷愁を感じるわけがないのに何故か懐かしい 「三丁目の夕日」が好きなら、きっとあなたも本作の世界の虜になるでしょう 幽霊に取り憑かれた主人公のように
亡くなってからわかる親の愛情
片岡鶴太郎と秋吉久美子の夫婦関係と風間杜夫との親子関係がすごくよかった。自分もそうだったが、彼も亡くなってから親の愛情をひしひしと感じたのであろう。ストーリーとは直接関係ないが、彼がポン引きに声をかけられて、「もう済ませました」と言ったのには笑えた。
キャッチボールの球筋がよい
懐かしがるわけではなく、鶴太郎が当たり前のように声をかけてくるのが良い。母、秋吉久美子はやたらと色っぽい。ラジコンやアイスクリーマーに興じる設定が良い空気を作る。大人の階段を登りきった男の心象風景か? 違う。これが主人公の内なる対話や妄想ではなく、本当に主人公の危険を察知した守護霊からのアプローチであることは、最後になって知らされる。出血大サービス。純粋な怪談エンターテイメント。シナリオはよく出来ている。しかし、見たいものとはちと違う。
どうかしててもいい一時の夏
大林宣彦監督1988年の作品。
尾道3部作や青春人気作と並んで、名篇の一本。
妻子と別れ、マンションで一人暮らしのシナリオライターの原田。仕事で自分の要求が通らず、不満が募る日々。それ故、同じマンションに住む魅力的な女性・桂(ケイ)からの誘いも冷たく断ってしまう。
そんなある日、ふと下車した幼い頃住んでいた浅草。そこで、信じられない出会いをする。原田が12歳の時に事故死した両親と再会する…。
日常の中から突然、非日常へ足を踏み入れる…。
これぞ映画の醍醐味の一つ!
大林作品の中では『さびしんぼう』でも若い頃の両親と会う話があったが、こちらはより身に染みる。
亡き両親、人生に疲れた主人公、浅草・下町の情景…。
それらが堪らなく風情を煽る。
大林ノスタルジックの一つの到達点と言っても過言ではない。
父親と酒を飲み交わす。父親とキャッチボール。
母親にこぼした料理を拭いて貰う。母親手作りのアイスを食べる。
両親に誉めて貰う。3人で夕食。3人で花札で遊ぶ…。
原田が一人で生きてきた歳月は、両親と過ごした歳月より長い。
しっかりと一人で逞しく生きてきたつもりだが、いざ両親と再会したら…。
全てが嬉しい。全てが懐かしい。
まるで、子供のように。子供の頃に戻ったかのように。
何度も何度も訪ねる。
いつもいつも笑顔で迎え入れてくれる両親。
「また来いよ!」「またいらっしゃい!」
ユニークなのは、両親の描写。
大抵だと大人になった我が子に気付かないのが相場だが、こちらは大人になった我が子をそのままの姿で受け入れる。
タイムスリップ…ではない。浅草下町の風景など(当時の)今のまま。
となると考えられるのは…
思わぬ出来事がもう一つ。同じマンションに住むケイと恋仲に。
突然訪れた、幸せと充実。
が、その時からだった。原田の身体に異変が。
次第に衰弱していく。鏡に映った自分のその姿…!
一体、何が起きているのか…!?
風間杜夫も熱演しているが、周りの面々。
片岡鶴太郎の昭和親父のハマり具合! 減量もしたという役者魂!
秋吉久美子の艶っぽさ! あんな風に顔を近付けられたら、親子とは言えドキドキしてしまう~!
何処か薄幸な雰囲気の名取裕子演じるケイ。風間杜夫との大胆なベッドシーンもさることながら、クライマックスの大インパクト!
一応友人のようではあるが、仕事上では度々意見が食い違い、そして原田の妻子との結婚を考えている永島敏行演じる間宮。最初は何だかちと嫌な奴だが、でも見ている内に…。
毎度の事ながら、ワンシーンにビッグネームが登場するのも大林作品のお楽しみ。怪獣映画ファンとしては本作も。本多猪四郎監督の“常連”特別出演。
夏(お盆)という季節設定。3人でアイスを食べるシーンで、線香のようにスプーンをアイスに立て差し。
見てると次第に分かるし、これらからも分かるように、両親は幽霊。
でも、それでも構わない。また両親に会えるのならば。
私も結構早めに両親を亡くした。特に父親とは、成人になる寸前で死別したので、あんな風に酒を飲み交わす事が出来なかった。私自身も残念だが、父親も残念だった事だろう。
もし、また両親に会えるのなら…。
原田の場合、先述した通り、両親と過ごした歳月より一人で生きた歳月の方が長い。だからこそ、殊更浸っていたい。母親手作りのアイスは甘さ控え目だが、この一時はとても甘い。
何と引き換えにしても、この一時を。例え、自分の身体が衰弱していっても。
が、両親が我が子の生気を奪うような鬼畜の所業をするだろうか…?
いや、それでもいいのだ。生者が死者と再会するなんて、奇跡どころではない。我が身を捧げてでも。
それほどの事なのだ。
ケイが原田を心配する。
原田もこのまま入り浸っていたらいけない事は充分承知。例え短い間だけでも、夢のような一時を過ごせた。
それは両親も同じだった。
生者と死者を繋ぐお盆。それは、夏の終わりのほんの一時。
料亭ですき焼きを食べながらの別れのシーン。
素直になれない本心を隠しながら、悲しくも嬉しかった思いを吐露しながら。
両親が次第に消えていく。
「ありがとうございます」
幼い頃に両親と死別しても心からの感謝の言葉が、涙を誘う。
これで原田の身体も戻る筈…だった。
衰弱は止まらない。
何故…?
実は、もう一人…。
プッチーニの音楽に乗せて繰り広げられる展開と彼女の形相が、圧巻!
郷愁誘う感動ヒューマン・ファンタジーかと思いきや、
ラストはちょっぴりのホラー。
ノスタルジックと怪談。
夏になると怖い話が見たくなる。
生者と死者が再会するお盆。
どうかしていると思われてもいい。いや、寧ろ、何が起きても不思議じゃない。
日本だからこその夏とお盆にぴったり。
大林監督が我々皆に届ける、一時の夏。
そんな夏も、今年も終わった。
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