生きたいのレビュー・感想・評価
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現在の親子(三國連太郎と娘大竹しのぶ)vs 姥捨山の世界(吉田日出子と息子の塩野谷正幸)の対比
新藤兼人原作・脚本・監督による1999年製作(119分)の日本映画。
配給:日本ヘラルド映画、劇場公開日:1999年1月15日。
出演俳優が三國連太郎、大竹しのぶ、柄本明、吉田日出子、大谷直子で、脚本・監督が新藤兼人なら傑作だろうと思って見たが、自分には今一つであった。
大きい方まで漏らしてしまう老人を演じた三國はいつもの通り味わい深いの演技。嫁にいき遅れた躁鬱症の娘役が大竹しのぶで、彼女の名演技を見せられそうと期待したが、海外賞狙いなのか、やけに大袈裟な演技でガッカリとさせられた。
三國父娘に重ねられて白黒映像で語られる姥捨山のストーリーは、興味深かった。捨てられる婆さんオコマ役が吉田日出子。調べてみると、老婆にしか見えないが当時の彼女は約55歳。村の掟ということで、明るく前向きに姥捨山に担がれていき、しかも息子の帰りを案じて枝を折っておく配慮がいじらしい。
よその家の旦那が事故で死んだそうで、オコマはその嫁(中里博美)を抽選で当てて、長男(塩野谷正幸)に嬉しそうに宛てがう。夫婦の営みを羨ましそうに見る弟(羽村英)。子供を孕むが、弟は義姉に言い寄り出産後夫の了解が出たらOKと言われ大歓喜。農村家族社会の
封建制とある種の逞しさが描かれており、面白かった。
一方対照的に、三國を老人ホームに追いやった大竹だが、寂しさからか、三国を老人ホームから家に連れ帰る。ハッピーエンド的な終わり方ではあったが、個人的には少し安易な決着の付け方にも思えた。
監督新藤兼人、脚色新藤兼人、原作新藤兼人、製作新藤次郎、プロデューサー平形則安、撮影三宅義行、美術重田重盛、音楽林光、録音武進、音響効果佐々木英世、照明山下博、編集
渡辺行夫、衣裳鈴木淳 、田口乃梨子、製作担当森賢正、助監督山本保博、スクリプター吉田純子、スチール金子哲也、特殊メイク原口智生。
山本安吉三國連太郎、山本徳子大竹しのぶ、君塚長太郎柄本明、オコマ吉田日出子、ママさん大谷直子、クマ塩野谷正幸、ウシ羽村英、オキチ中里博美、烏丸長者津川雅彦、トモコ宮崎美子、側近の女渡辺とく子、院長観世榮夫、看護婦水野あや、姨捨駅長馬場当、山本幸子広岡由里子、山本輝夫草薙仁、鳥津あけみ都山逢、老人ホーム所長麿赤兒、病院の賄婦絵沢萠子、気どった男高橋長英、坊主頭の男六平直政、大学生大森南朋、高校生菊地凛子、作業所の美青年村治学、作業所の指導者前沢保美、作業所の女中島陽子、可愛いおばあさん原ひさ子、スーパーの店員正名僕蔵、スーパーの店員曽我部あきよ、マッサージの女夏目玲
じじい江角英明、じじい須賀不二男、じじいうえだ峻、じじい北村大造、じじい下飯坂菊馬。
生々しい
姥捨て時代劇と現代劇の交錯が妙味。
セットが些か安っぽくて、「えええ?」とか思ったりするし、カラスもオモチャっぽい。
三国と大竹の親子は乾いた親子関係から、現代版姥捨てをイメージさせているのかもしれない。
逆に時代劇はモノクロで粗を見えにくくして、妙に生々しいシーンで生命力を描いている。
この監督はエロス=生命みたいな演出をよくやるような気がするなぁ。
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