赤毛のレビュー・感想・評価
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喜八郎は戦争へ行った・・・
岡本喜八が伝えたいことがとてもよく表現できていると思った
つまりこうだ
・・・と語ってしまうのはやめておこう
映画というものは 感じ取れるように作られているのだから
岡本喜八・・本名は喜八郎・・彼はかつて戦争へ行った・・
そして三船敏郎も。
だから監督は役の年齢にあった千葉真一とかではなく 三船敏郎を使ったんだと思う
岡本喜八と昭和の名優たち
監督の根底は反管理体制かなあ? 葵が菊に変わっただけと何度も高橋悦二さんに語らせたし、ええじゃないか、と踊る民衆のバイタリティが官軍と戦う姿。70年安保が背景にあったかもしれない。
そんな背景はさておき、エンターテイメントとしての作品の出来は良い。三船敏郎さんの持っている世界で、乗馬シーンは西部劇みたいでカッコいい。共演者は亡き方ばかりだけど、昭和の名優が勢揃いだ。これだけでも十分。
高度成長期のパワーを感じつつ、あれやこれや想いを馳せて懐かしい感じの作品でした。
赤報隊とええじゃないか
江戸へ向かう官軍で赤報隊が結成。隊は年貢半減などとうたって民衆の支持を得る。百姓から隊員になった権三は、故郷に錦を飾ろうと隊長の赤毛を借りて、単身村に乗り込む。悪代官から年貢を取り返し、借金のカタに取られた娘たちを駒寅一家から解放するが。
中盤までコミカルで痛快な展開。しかし赤報隊については何も知らなかったので、終盤のシリアスな展開に目を見張りました。革命に翻弄される民衆が、ええじゃないかと踊るのは悲しい。映画「ええじゃないか」より、もっとええじゃないか騒動の真実を描いていると思います。
ええじゃないかの意味
話おもしろいと思うんです。
出演者も豪華だし。
しかしどうにも入りきれなかったのは
三船が役には年をとりすぎていたからかな。
最後のええじゃないかはまさに圧巻。
昔日本史で軽く習った程度だと
江戸時代のなんかよくわからんが
やけくそになってみんなハジケちゃった祭り?
なんて思っていたアホな自分。
大きく変わるんだぜヤッホウ♪
よくわかんないけどいいやいいや♪
それはまあ、たぶん合ってるとおもう。
でも生かさず殺さずにされてた
百姓たちの主張でもあったのだなあ。
ガンジーの無抵抗主義と通じるような
気もしちゃいました。
この映画でええじゃないかの意義を知った気がします。
三船敏郎大暴れ。ちょい大袈裟か、とも思ったがまあ許容範囲。ラストが...
三船敏郎大暴れ。ちょい大袈裟か、とも思ったがまあ許容範囲。ラストが切ない。官軍とは何ぞや?
えじゃないか、えじゃないか、えじゃないか。
BS日テレ
ひょうきんな役どころの三船敏郎
王政復古により三船敏郎扮する赤報隊赤毛の権三は年貢が半分になると聞いてたまげた。しかし、生まれ故郷に戻ってみると相変わらず年貢の厳しい取り立てで村人が苦しめられていた。
三船敏郎主演作にしてはコメディ調で珍しくよくしゃべる権三で、方言丸出しでひょうきんな役どころだね。
寺田農が生き生きしている
三船敏郎が見たくて、「七人の侍」、「待ち伏せ」に引き続きこの「赤毛」を見た。岡本喜八のいつものコメディタッチ満載の作品で、18歳の公開当時は面白く感じたが、52年経過して再見すると、大して感動はない。岡本喜八といえば「日本のいちばん長い日」のドキュメンタリータッチのほうが好みなので、「赤毛」のようないつもの演出は好きになれない。物語は、薩長土の「官軍」(実は岩倉具視や薩長のチンピラ郷士どもが結託して勝手に名乗ったもので、実体は賊軍中の賊軍なのだが)が、江戸に進軍するに際して、抵抗勢力の抵抗を削いで進軍しやすくするために、赤報隊を使って、「官軍」の行く先々でデマ政策を宣伝させ、挙句の果てに、赤報隊を偽官軍として殺し、赤報隊が宣伝した政策はデマであるとして官軍の政策をご破算にしたという史実を基にしたものである。この手の、いわゆる「官軍」の空手形はこれだけではなく、高杉晋作は、新政府は四民平等と約束してエタ・ヒニンを奇兵隊に募集したり、東海道で清水次郎長と抗争を繰り返していた黒駒勝蔵一家を新政府は今までの罪を不問として「官軍」に味方させ、役割終了後、赤報隊同様抹殺している。実に興味深い史実なので、コメディタッチではなく、橋本忍あたりに脚本を書かせて、「日本のいちばん長い日」のようなドキュメンタリータッチで描いたらもっと面白く歴史に残る映画となったのではないか。三船敏郎は、「七人の侍」の菊千代様の生まれ変わりにしか見えない。どうせなら、高橋悦治を「七人の侍」の官兵衛役に設定し直し、違ったストーリー、例えば、騙されたことを知った赤報隊・忠義の侍・農民連合軍と「官軍」との戦いをリアルに描いたら違った面白い作品ができたのではないだろうか。晩年は悪役に徹した寺田農が、やくざにしては博学の生き生きした若者として動き回っているのが見られたのは収穫である。
ソ連の崩壊を20年も前に予言していると言っていい いや天安門事件の予言そのものだ 天安門で戦車の前に一人立ちはだかった通称戦車男は、本作の権三そのものではないだろうか
21世紀の目からすると、明治維新維新を隠れ蓑にした、共産革命への批判としか見えない
それ程の時が流れた
革命を論じながら、いざ武装闘争になると自分は扇動していないと言い、革命勢力が民衆の味方ではない事態になれば、理論と現実は違うとうそぶく理論学者
主導権争いの前に、民衆のことなどはまるで眼中にない革命勢力
本当の革命とはこういうものだ!
それがラストシーンの「ええじゃないか」だ
この民衆の力こそが本当の革命なのだ
それが本作のテーマだ
だから革命勢力のシンボルたる赤毛は、共産党と同じ赤いのだ
そうして赤毛は民衆の本物の革命に踏みつけられるのだ
まるでルーマニアのチャウチェスクのように
にせ官軍とは、民衆の奴隷にする新たな支配者の共産党のことだ
結局、共産主義革命とは民衆の為の革命でなんかなかったのだ
単なるファシストによる政権奪取だったのだ
ソ連の崩壊を20年も前に予言していると言っていい
まるで東欧革命を描いているかのようだ
いや天安門事件の予言そのものだ
天安門で戦車の前に一人立ちはだかった通称戦車男は、本作の権三そのものではないだろうか
ええじゃないか、ええじゃないか、ええじゃないか♪
圧政に苦しむ農民たち。年貢のカタに取られた娘たちを解放し、年貢米を取り返した。幕府の遊撃隊との物語になるのかと思っていたら、赤報隊はニセ官軍だったということで相楽が殺さるといった展開が面白い。官軍が嫌いだという一の瀬は権三との勝負を避けるようになり、本物の白毛の官軍と偽官軍との戦いを楽しむことにした・・・「勝てば官軍」なんて言葉もピタリと当てはまる。
三船敏郎のセリフはさすがだけど、がなり立てる者が多いわき役たちがちょっとうざったい。コミカルな部分も多く、殺陣アクションもなかなかのもの。しかし官軍は鉄砲隊もいるし、大砲も使う。最後には権三の恋人トミ(岩下志麻)も殺され、権三も突撃して殺され、その後に母親の姿とお春(音羽信子)がええじゃないか踊りを始め、民衆が一斉に踊りだすラストが圧巻!民衆を無視した官軍だとか、白対赤の壮絶な最期。大学紛争の時期だけあって、セクト争いを描いたものにも見え、なかなか興味深いところだ。
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