あ・うんのレビュー・感想・評価
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一番大切なものって言わないものなんでしょう?
愛欲よりさらに上位の倫理観。 個人主義のはびこる現在の方がより重く感じるのでは? 板東英二のクソ標準語を打ち消す全員の演技 木村大作による信じられないような美しい絵。 日本人から失われた観念とは? 90点
まさに富司純子のためのあうん・・・
久し振りに完成された写真を見た。映画としての表現も秀逸。引いてよし寄せてよし、カメラマンが撮りたくなる様な絵面を引き出す俳優陣。破綻なくうねる事もないが確実に小さな波動が時間を愛でるような映画作品であった。高倉健に富司純子、障子に鴨居、雪に寒椿・・・日本人が美しいと思う日本の美しさがその所作と共にここにある。人と人とが、神と人とが、女と男が、妻と夫が・・・何とも言えない阿吽の間合いで佇む時と間を描いた作品であった。絶対的自信を持ってのお薦めの一幕。富司純子の仕草がとにかく美しい・・・これだけでも見る価値がある。
純愛の三角関係
妻が大切で 夫が大切で 親友のことも大切で 恋する人も大切で。 同じくらい両者が大切だから壊せない。 どうなったらこんな距離感でいられるのか分からないくらい私欲のない関係だった。 お互い分かっているのに言わないし踏み込まない。 でも恋心が募って苦しくなってどうしようと無くなってわざと親友を怒らせることをして絶交する。 少しでも会えれば幸せだったのに 会うことすら苦しくなって、、、 それはもう後戻りできないくらい惚れてるよね。 「恋人のいるやつなんかと握手なんかしないよ。」 健さんのこのセリフ、なんだかオシャレでなんだかカッコよかった。
ライトな中にもチラつくシビアな面
冒頭、鼻歌を歌いながら旧友を迎える準備をする高倉健。 こんな高倉健を見るのも珍しい。 寡黙で無骨で漢の中の漢のイメージが定着しているが、今作では、よく笑っておちゃらけてライトな印象、それでいてダンディーで優しいおじ様。 プライベートでは面倒見が良くてお喋り好きでユーモラスな面もあったという高倉健。ひょっとしたら素の顔に近いのかも。 でも、ぐっと内に秘めたもの、雨や雪の中に佇む姿などはやっぱり格好よく映える。 監督は降旗康男、撮影は木村大作とお馴染みだが、原作は向田邦子。 高倉健が向田邦子作品に出演というのも何だか新鮮。 映画はほのぼのとした文芸作品、上品で感動的な大人の喜劇になっているが、ちょっと調べてみたら原作はシビアな要素もあるようで、映画もその影がチラつく。 20年来の戦友にして親友である門倉と水田。 門倉は水田の妻・たみに想いを秘めている。たみも門倉に想いを秘めている。 それを知りながら友情を続ける水田。 不思議な三角関係はずっと平穏である筈だったが、ある時から亀裂が。 昔、女関係で女房泣かせだった門倉。その妻には嫉妬深い面が垣間見れる。 水田の娘・さと子は一度見合いを断るが、その相手と密かに“プラトニック・ラブ”な交際を続ける。が、その青年はアカの容疑で特高に捕まる。 時代は昭和初期。 木村大作の撮影、村木忍の美術、ベテラン二人の手腕でモダンでノスタルジックな昭和の雰囲気を醸し出すが、日本はこれから…。 作品の中からも戦争の足音が聞こえる。 それを思うと、さと子と出兵する青年の別れ、門倉と水田とたみの雪の夜のラストシーンは悲しく、儚く、温かくさせるものを感じさせずにはいられない。
●役者がみな輝いてる。
板東英二がハマり役。美男美女、名優たちの中で、その不器用さが光る。バランスがいい。 古き良き昭和の風景。芸者遊びやら、髭を当たるなんてのも洒落てる。 健さんが粋だ。富司純子が奥ゆかしい。富田靖子も山口美江もチャーミングだ。大滝秀治に三木のり平も、脇役ながらホントいい味だしてる。クスッと笑わせてくれる。 プラトニック・ラブ。それぞれの役者が見事に輝いているステキな作品だ。
この時代らしい、奥ゆかしい恋と友情
総合70点 ( ストーリー:70点|キャスト:80点|演出:70点|ビジュアル:70点|音楽:65点 ) 坂東英二の演技が上手とは思わないのだが、この作品の中で高倉健と対した時には、自分が彼に敵わないと達観しつつも信頼して友情を保つ三枚目役が良く似合っていた。富司純子は秘めた胸のうちを明かすことなく謙虚に貞淑な妻を演じて家庭を守る。健さんと織り成す人間模様が、礼節を持って謙虚に生きる姿と相まって奥ゆかしい。 しかし、健さんは坂東のその家族への態度はかっこいいが、実は自分の妻をないがしろにし家に帰らず女遊びもする男である。だから彼の妻はかなり不満たらたら。健さんの見せるいい男っぷりは彼の演技でもたらされていて、役柄上の二面性はどうしようもない駄目な部分ということだろうか。だが、そこがあまり描かれていなくて、健さんと坂東家の綺麗なだけの話になっている。そのあたりが何かすっきりしなかった。
『あ・うん』
富司純子、宮本信子、山口美江、富田靖子、この四人の色気の艶がキュートで優しい。 昔の女性の恋愛はピュアだった。 大滝秀治の旅館の番頭、屋台での三木のり平が良かった。 富司純子の銀幕復帰が降旗映画てのが嬉しいね。
健さんと英二
健さんはかっこいいなあー。 ほんと惚れ惚れする。 健さんと共演する俳優さんも相乗効果なのか何なのか 他の映画に出ている時より、かっこよく見えてくるから不思議だ。 例えば 「昭和残侠伝 唐獅子牡丹」の池部良とか。 (化粧が濃すぎてちょっと笑うけど)ピストル持った姿はもう悩殺もんです。 「君よ憤怒の河を渉れ」の原田芳雄なんて存在感ありすぎで主役をくっちゃう渋さです。 「駅/STATION」の根津甚八…すごかったー。夜の線路のシーンは日本映画史に残したいくらい美しい。 「夜叉」の北野武。若かったというのもあるけど北野作品に出てる時よりも、何をするかわからないヤバさに溢れてる。 健さんは、男を美しく照らす光だ。 (「海へ See you」みたいに健さんの力をもってしてもどうにもならなかった映画もあるけど…) 本作「あ・うん」の共演者は板東英二なわけで。 本作観てない人は板東英二がかっこよくなる筈がないとお思いでしょうが…。 健さんは板東英二ですら美しく照らすのですよ。 「あ・うん」の坂東英二は本当に素敵だ。切ない。そしてかっこいい。 こんな素敵な板東英二はこの先見ることは絶対にないだろうが…。 健さんと英二の神社のシーンがいいなあ。全然悲しいシーンじゃないのに涙がでる。 健さんには、これからもたくさんの男たちを美しく照らし続けて欲しい。
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