愛の渇きのレビュー・感想・評価
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原作者の三島由紀夫やゴダールが絶賛したのも当然だと思います
見応えが有りました
傑作だと思います
脚本が、原作の要点を的確に押さえてあり見事です
演出もまた優れています
ヘリコプターの空撮で主人公の悦子を見下ろすアングルから、そのまま一家の晩餐のテーブルを見下ろすシーンにつなげるシーンや、洗濯して干されたシーツが風に煽られて悦子の頬を叩くシーン、靴下とザボンの性的暗喩を見事に映像化してみせる演出手腕には感嘆しました
大きな夏みかんのザボンを切り、汁の滴る果肉を手で開かせるなんとエロチックなことか!
白黒作品ですが、3回画面が真っ赤に染まるカットが挿入されます
夕映えの坂道を下りながら、祭りの夜に三郎の背中に爪を立てて血を流させた回想と、三郎と腕を組んで二人で歩いて行く妄想をする時のごく短い2回のカット
そしてラストシーンの朝焼けの中をツカツカと独り歩く姿の短いカットです
真っ赤な画面こそが本当の悦子の姿であり、白黒の本編は悦子の仮の姿であったということです
見事と言うほかありません
その白黒映像も撮影の腕が良く、階調豊かに撮れています
浅丘ルリ子の演技は、この難しい作品を破綻させることなく成立させており素晴らしいものです
単なる美人女優という枠を超えて、彼女はが大女優になった作品だと思います
鎖骨の浮き出し、細い白い頸、へそと下腹部の滑らかさ、長く細い脚の曲線・・・感嘆すべき肉体の美でした
三郎役の石立鉄男は大変に名演
若過ぎて彼だとは思えないです
原作者の三島由紀夫やゴダールが絶賛したのも当然だと思います
お祭りは豊中市熊野町の八坂神社と思われます
毎年10月上旬にある喧嘩まつりがそれのようです
川は今では用水路みたいになっている天竺川でしょうか
阪急宝塚線に服部霊園駅は実在しません
駅標は曽根と豊中の間の駅となっていますから岡町駅のことです
今は高架になって近代的な駅舎になっています
周囲も住宅街で建て込んでいます
1967年公開ですが、撮影は1966年のようです
阪急梅田駅が、まだ地上にあった頃の映像もチラリと写ります
今のような3階の高いホームは1972年に完成したそうです
当時はまだ地下鉄御堂筋線は新大阪駅までだったそうです
1970年の万博の時に、江坂駅から直通で北大阪急行が千里中央まで延伸したので、今は桃山台駅からからの方がその辺りの最寄り駅になっています
万博以降この辺りも開発が進んで、劇中の空撮にあるような田舎の光景はなくなって、大きな一戸建てや、マンションが起伏の多い丘陵地帯に立ち並んでいます
劇中、杉本家の屋敷から大阪城が大きく見えるのは実際にはあり得ません
舞台が大阪であるという説明なのでしょうが、却って土地勘のある人間にとってはえ?と混乱してしまいます
和製『チャタレイ夫人の恋人』かと思った・・・
ヌーベルバーグの影響を受け、映像表現は面白いけど、つまらない原作をいかに料理したかという、それだけの映画としか思えない。最後には人間の醜い嫉妬が悲惨な結末へとつながるが、面白かったのは、自由で自堕落な生活をする家族。特に謙輔(山内明)が自嘲気味に言う台詞がいちいちおかしい。
手堅くまとまった作品です
日本映画が、というか日本の俳優が力があった時代、淡々と見せるだけで、いい映画になっていました。浅丘ルリ子の妖艶さをもっと出してくれたら、もっと印象が良かったんだけど。平均的な出来にしか見えませんでした。役者のファンとしてみるなら消化不良かも。淡々と進むことの恐ろしさは感じますが。
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