スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師 : インタビュー
ジョニー・デップ&ティム・バートン監督インタビュー
※前のページから続く
――ジョニーが歌えるかどうかは、誰も知らなかったわけですが、ティム、不安はありませんでしたか。
T:「ジョニーは『できると思う』と言ったし、僕は不思議と何も怖くなかったね。そりゃあいろいろ心配事はあったけど、ジョニーについては不安に思ったことは一度もない」
J:「僕はあったよ(笑)。誰が一番怖かったかって、それは僕だよ。僕自身、本当に歌えるのかどうか分からなかったからね。それを知るには実際にやってみるしかない。で、友だちのスタジオに行ってデモテープを作ってティムに送った。うまくいきますようにってお祈りしながら結果を待ったわけだ。大丈夫という返事をもらって、少しは自信が持てたよ」
――ずい分難しい歌が多いけど、どうやってアプローチしたんですか。
J:「最初はボーカルコーチにつくことも考えたけど、歌を聴きこんで理解するに連れて、歌い方を知っているとか知らないとか、そんなことは関係ないって気分になった。この役について学び、キャラクターを通して歌を学ぶのが重要だと思ったんだ。あの複雑なメロディを覚えるのは大変だったけど、ちょうどその頃『パイレーツ3』の撮影中で、毎日片道2時間かけて移動していたから、その車の中で練習した」
――ヘレナ(・ボナム=カーター)もオーディションで選んだと聞きましたが……。
T:「自分のガールフレンドに無条件に役を与えていると思われたくなかったんだ。その時も今も、彼女はミセス・ラベット役にとてもふさわしいと思っているけど、それを確信したかったから、ヘレナには特に厳しいオーディションをしたかもしれない」
――サシャ・バロン・コーエンは?
T:「彼は自分からオーディションに来て、『屋根の上のバイオリン弾き』を全曲歌ってくれたんだ。『ボラット』の後でいくらでもいい話があったのに、この作品を選んでくれたのはすごいことだよ」
J:「その様子、見たかったなぁ」
T:「ビデオを撮れば良かった。すごかったよ」
――ジョニーはいつも役作りに独自のアイデアを持ち込みますが、今回はどんなコンセプトで演じたのですか。
J:「スウィーニーのルックスについてはティムともいろいろ話したんだけど、僕たち2人が大ファンだった怪奇映画の俳優たちをイメージした。ロン・チェイニー、ボリス・カーロフ、ピーター・ローレなどね。髪に白いメッシュがあるのは、精神的外傷を意味している」
T:「僕たちは昔から怪奇映画の話をしてきたけど、それを試してみるいい機会だった。ジョニーが演じてきた物の中で、僕はこのスウィーニーが一番好きだ。ダークで陰気な感じが気に入っているし、笑っちゃうところもあるだろう? 一心不乱にシリアスなのにどこか愚かでさ。だから僕はこれを暗い話とは思っていなくて、むしろ陽気なストーリーだと思っている。セットに音楽があるだけで、気分がウキウキしたよ」