「「現実」とは誰の為のものなのか」パンズ・ラビリンス シネマニアV3さんの映画レビュー(感想・評価)
「現実」とは誰の為のものなのか
個性の強い単純なファンタジーなのかと思いきや、想像以上に重厚で、残酷で、美しい作品だった。ギレルモ監督、大変失礼いたしました!!
もちろん時代背景は、作り手が経験した時代の話ではないが、人物たちの思い、観客に訴えようとしているものは明確だ。辛い現実に抑圧され、夢を見ることでしか笑顔になれない主人公の姿は、現代のフィクションを楽しんでやまない私たちにも共通している。舞台を現代にせず、戦時中にした上(しかも忠実に再現)迷宮設定が入ってもほぼ違和感なく、むしろマッチしていた。
様々なシーンから、迷宮パートを現実とも、あるいはオフェリアの空想とも捉えることができるようにあえて、曖昧に見せるための監督の細かな工夫がより、映画の切なさを際立たせていた。夢を見て希望を抱くことは、いつの時代も変わらない、この世を生きる人間の特性であり、それこそ生きる上で大事なパワーになることを学んだ。
95点!
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