子供目線でこの元過激派の父親を見ると、やっぱりついていけない・・・迷惑親父だ!と感じてしまうけど、大人になってみると、尊敬に値する人物だと思います。実際に元過激派の知人がいるのですが、言動も雰囲気もそっくりだし、主張することは間違ってはいない。ただ、世間に同調することを嫌うので、付き合いにくい面もあったりする。特に仕事で一緒になんかなったりすると・・・
前半:東京と後半:西表島の2部構成。東京では小六の長男二郎の友人がカツアゲされているエピソードと修学旅行の積立金問題がメインとなっていて、父親一郎(豊川悦司)の性格を小ネタで紹介している。また、母親さくらが人を刺して捕まった事実を知らされ、それが原因で事件が起こる・・・。東京といっても下町浅草なので、なにかと噂が広まり、息苦しささえ感じられる。
後半の西表島では一転して自然がいっぱいで、子役を中心とした俳優たちもいきいきしている。引っ越してきた上原一家はいきなりピンチに立たされる。東京から開発業者がやってきて立ち退きを要求されたのだ。元々誰の土地でもなかった、ある意味神秘的な場所。そこで、父親一郎は元過激派であると同時に、八重山のアカハチの子孫という一面を見せてくれるのだ。
子どものしつけという問題も若干提起されているようにも思われます。だけど、そこには親の生き様をたっぷりと見せ、子どもに判断させるというやり方だけがあった。正義よりも金のために動く大人を批判するにはまだ幼いのだけど、大人になれば理解できるはず。スパルタ教育よりはずっといい。信念を貫き通した一郎の姿を見て「親父、かっこいい。この先はわからないけど・・・」とまで言わせたのだから、たいしたものです。なんだかんだ言っても、修学旅行のエピソードで親父の素晴らしさはよくわかっていたさ~
原作はいつものごとく読んではいません。それでも、森田芳光監督は原作の良さを上手くまとめあげたのだろうかと疑問に思えてしまう。西表島へ引っ越す動機も中途半端なような気がして、前半部分はエピソードを羅列しただけのダラダラ感がありました。これならば東京パートをもっと削っても良かったんじゃないでしょうか・・・
【2007年10月映画館にて】