エディット・ピアフ 愛の讃歌のレビュー・感想・評価
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まさに主演女優賞受賞作品
エディット・ピアフの歌は好きだし、演じるマリオン・コティヤールは個人的推しだし、その作品が第80回アカデミー賞3部門ノミネート2部門受賞ということであれば、これはもう大いに期待して鑑賞。
観てみると作品賞や監督賞にノミネートされなかったのは残念ながら何となく頷ける内容なのだが、やはり主演女優賞受賞のマリオン・コティヤールの演技はまさに素晴らしい。マリオン・コティヤールが役者としての覚悟を感じさせる渾身の演技というか、これだけの捨て身の演技をみせてくれるとは個人的にはかなり意外。マリオン・コティヤール推しとしては、ある意味複雑な気持ちになってしまった感もあるのが正直なところかな。
時系列を少しいじったのは構成として良かったと思うが、もう少し映像も凝ってくれれば、全体的に名作感も増したのではないかと素人目には思える。
期待が大きかっただけに、評価は少々辛口になってしまう。
小さなスズメの壮絶な人生
エディット・ピアフを初めて知ったのは「プライベート・ライアン」で決戦前に彼女のレコードを聴きながら皆が故郷に思いを馳せるシーンだった。「薔薇色の人生」などで有名な稀代のシャンソン歌手だと後で知った(個人的には「群衆」という曲のリズミカルな感じが好き)。142cmと小柄なことから「ピアフ=スズメ」と芸名が付いたらしい。晩年の写真から年老いてまで活躍したとばかり思っていたが、まさか47歳で早世したとは。それほど身も心も酷使したのだろうか。
奔放に生きて来た彼女がボクサーのマルセルに抱く純愛。そのマルセルが飛行機事故で急死した時の取り乱し方、そして半狂乱のままよろよろ歩いていった先には満席のステージがあり、絶望で両手を掲げた姿のまま「愛の讃歌」の絶唱に繋がっていく。映画全体は時空を行き来するありがちな伝記モノと感じたが、この場面はあまりの名シーンぶりに胸が突き刺され、鳥肌が立った。
主演のマリオン・コティヤール、もうピアフ本人にしか見えない。と思ったらその年のオスカー主演女優賞を取っていた。
ピアフ役は本当に一人の俳優が演じていたの?
パリオリンピック開会式での
セリーヌ・ディオンの熱唱に合わせての
放映だったのだろうが、私もNHKの戦略に
上手く乗せられるかのように初鑑賞した。
“愛の賛歌”自体は越路吹雪の歌唱などもあり
知ってはいたものの、
元々の歌い手のエディット・ピアフ
のことは全く知識外だったが、
鑑賞に先立ち、彼女の壮絶な人生を
ネットで知ることが出来た。
・幼い頃の娼館での生活と失明
・十代での出産と死別
・ジャン・コクトーとの出会い
・大戦の占領期におけるレジスタンス運動への貢献
・マレーネ・ディートリッヒとの交友
・シャルル・アズナブールやイヴ・モンタン
らへの支援
・プロボクサーとの大恋愛と死別
・癌による47歳での死去
・そして、名曲「ばら色の人生」と
「愛の賛歌」が彼女自身の作詞で、
「愛の賛歌」の歌詞は亡くなった
愛するボクサーの彼に捧げたもので、
かなり過激な愛の詩であったことも。
この映画では、これらの一部やそれ以外の
彼女の生き様をも知ることとなったが、
果たして彼女は何人分の人生を生きていた
のだろうと思うような、
波瀾万丈の人生だった。
しかし、作品の出来としては、
大きく時間を飛ばすこととは別に、
小刻みにも時間が前後する構成なので、
彼女のどの時期の話?
彼女を取り巻くこの人は誰?
との戸惑いも多く、
また、話が唐突に切り替わったりと
何かと戸惑いの多い鑑賞となってしまった。
それにしても、成人以降のピアフを演じた
マリオン・コティヤールには驚かされた。
俳優に注目して観るタイプではない私は、
ピアフを何人かの俳優でつないでいるのでは
ないかと思った位だったが、
晩年までをコティヤール一人で
演じていたことには、
流石にアカデミー主演女優賞受賞の演技と
脱帽せざるを得なかった。
苦しみは私の心に 足は椅子の上に
エディット・ピアフ( 本名:エディット・ジョヴァンナ・ガション )をマリオン・コティヤールが熱演 ✨
『 ピアフ 』、下町言葉でスズメの事らしい。
日銭を稼ぐ為、未だ幼いピアフが曲芸師の父親ルイと共に街角に立つ姿が切ない。
父親から離れ、友人と共に街角で歌うピアフに目を留めたバリ名門クラブ・ジェルニーズの支配人ルイ・ルプレにスカウトされ、ステージで歌うようになる。
恋をし、歌に生きたピアフの姿が沁みる。
ー ティティーヌの為に
NHK-BSを録画にて鑑賞 (字幕)
マリヤンコティアールの演技に引き込まれる
ピアフの人生を時間軸を交錯させながら表現しているので、流れを追いたい人には不向きな作品かもしれません。
ただ運命の歯車というのは、我々人間から見ると前後左右の時間が入り乱れて構成されているようなものかもしれない。
ピアフの華やかな時代の表現は少なく、壮絶な事件により多くの時間が割かれている。
もう少し彼女の功績を見たい気もするが、彼女のその陰惨な生い立ちや、次々と訪れる運命の悪戯により、歌の表現が深まっていったと思う。
個人的には、最愛の恋人マルセルを失った直後に歌い上げた『愛の讃歌』の場面は観たかった。
映画の締めは、『水に流して』を歌う。
この歌は彼女の人生全ての集大成と言えるものだろう。
自らの身体を痛めつける生き方しかできなかった最期であるが、時代や生い立ちの影響で致し方ないものを感じる。
あの世に召されてから、この歌のようにまた新たなスタートを得たのではないだろうか
47歳という若さで亡くなっていたことは知らなかった。終わりの方はも...
【”ばら色の人生”を自らの努力で掴み取った謎多きフランスのディーバ、エディット・ピアフの人生をマリオン・コティヤールが老け役も含め見事に演じきった作品。】
ー 1915年、パリの貧しい家庭に生まれたエディット・ジョヴァンナ・ガションは、大道芸人の父を手伝いながら人前で歌うことを覚える。
そして1935年、名門クラブのオーナーに見出されてピアフと名付けられ、歌手デビューして瞬く間にスターダムへ駆け上がるが…。
◆感想
・劇中の歌のほとんどは、ピアフ本人の音源を使用・・。
-うわわ、今日鑑賞した作品でマリオン・コティヤールの独唱を聞いたが、今作品ではご本人の歌を使っていたのだね。と言う事は物凄いヴォイス・トレーニングをしたんだね。-
・それにしても、今作を脚掛けにしたマリオン・コティヤールの、現在の活躍ぶりは素直に嬉しい。今や世界的な女優さんである事は、万民が知る所である。
<短き生涯だった謎多きフランスのディーバ、エディット・ピアフを演じたマリオン・コティヤールの老け役も演じた女優根性が印象的な作品である。>
『タクシー』時代と別人
マリオン・コティヤールだけでした
いくつもの時間軸を交差させ、彼女の人生がそれほど苦悩と悲運にまみ...
いくつもの時間軸を交差させ、彼女の人生がそれほど苦悩と悲運にまみれているような、そしてその記憶の断片が晩年の想いになっているように思われる。「歌がなくなったら死んでしまう」と印象に残る台詞を残すほど、彼女の人生は音楽そのもの。最期にプレゼントされた曲の「何も後悔しない」というフレーズが全てを物語っているかのように・・・
母親が路上で歌を歌っていたように、エディットも路上で歌うようになる。きっかけを作ったのは大道芸人である父親。足芸を簡単に済ませたはいいが、客が去ってしまいそうなとき、幼いエディットに「何かやれ」と急かしたシーンだ。何かやれと言われても・・・頭のなかが真っ白になるけど、咄嗟に歌うフランス国歌。観客は天使の歌声に魅了されるのです。
鼻の俳優ドパルデューが彼女の才能を見出す。その彼も殺人事件に巻き込まれ、エディットも容疑者として捕まったりするのです。この事件も衝撃的だったけど、ニューヨークで出会った最愛の男性マルセルのエピソードも涙を誘う。妻子ある男だし、報われることはないのかもしれないけど、エディットの愛が驚くほどに感じられるところ。
映画ではスター街道を歩む華々しさよりも、悲しい別れがクローズアップされていた。娼館で可愛がってくれたティティーヌもそうだし、前記2人だってそうだ。ステージに立てないほど衰弱してしまった彼女に再会できて喜ぶのはもう一人の恩師レーモンだけ。悲しすぎです。
劇中に登場する歌にはエディット・ピアフ本人の肉声を被せてあるらしいのですが、マリアン・コティアールの歌い方にはそれを感じさせない自然な演技。全くわかりませんでした。どこまで本人に似ているのかわからないけど、20歳から、実年齢よりも老けていた晩年の姿を演じきった彼女。素晴らしすぎです!アカデミー賞最有力候補などと謳ってありますが、主演女優賞ノミネートは確実なのかも。
生きたピアフがここに!
愛しなさい。
シャンソン歌手エディット・ピアフと言えば、タイトルにもあるように「愛の賛歌」や「バラ色の人生」が有名だと思います。
ですが私は、劇中にも少しだけ登場する「Padam Padam(パダム パダム)」が好きなんです。パダム、パダム……と、逃げても、逃げても追いかけて来る、運命の足音。まるで、ピアフの人生を表しているような、ドラマティックで悲しく美しい、そしてとても恐ろしい調べです。
不幸な出生、成功と挫折、愛する人の喪失と怪我。心を病んで、ドラッグと酒に溺れ、晩年は歌うこともできなくなる。それが、冒頭の台詞に繋がります。
歌手として、詩人として、稀有な才能を持ったピアフは、47歳で病に没します。パダム、パダムと追って来る運命から、ピアフは逃げられなかったのでしょうか。
「Padam Padam」
パダム、パダム、パダム
それは私の後を追いかけて来る
パダム、パダム、パダム
それは覚えているか?と私を小突く
パダム、パダム、パダム
それは、私をあざける調べ
奇妙な間違いのように、私に従い付いてくる
全て諳んじているこの調べを
ピアフ(マリオン・コティヤール)は愛するマルセル(ジャン=ピエール・マルタンス)を、飛行機事故で失います。マルセルの夢から覚めて、「さっきまで、ここにいたのよ」と、叫びながら部屋中を探す。現実と夢の狭間で、マルセルの名を呼ぶピアフの、恐怖に引きつった顔に息を飲みました。愛する人を失うのは悲しいと同時に、恐怖です。二度とその人に会えない、恐怖。私も時に夢から覚め、叫び出したくなる時があります。
ラスト、雑誌の女性記者にこう質問されます。
「女性の読者に一言」
ピアフはこう答えます。
「愛しなさい」
主演女優演技 プロットに捻りがなく残念 ピアフの人生を知る良い映画
フランスで最も愛されている歌手の一人であり、国民的象徴であった。彼女の音楽は傷心的な声を伴った痛切なバラードであり、その悲劇的な生涯を反映していたのが特徴であった。有名な曲としては「ばら色の人生 La vie en rose」(1946年)、「愛の讃歌 Hymne à l'amour」 (1949年)、「ミロール Milord」 (1959年)、「水に流して Non, je ne regrette rien」 (1960年)などがある。
ピアフの人生と、主演女優の演技力
総合:70点
ストーリー: 65
キャスト: 80
演出: 70
ビジュアル: 70
音楽: 75
エディット・ピアフ。その存在は知っていたが、特別彼女についてよく知っているというわけではない。せいぜい恋人が飛行機事故で死んだ、それで愛の賛歌を歌ったという程度。
しかし彼女のありきたりとは程遠い過去と、それを演じた主演のマリオン・コティヤールの演技力に驚かせる。不幸な生まれ、数知れない試練、成功と挫折、精神を病んで薬と酒に溺れて体もボロボロに、と絵に描いたような破滅型の天才歌姫。時に感情を爆発させ、時に幸せに満ち、晩年の薬漬けで老けてかつての面影もない姿まで演じきった。
当時のフランスの社会の描写や風景のセットも良かったし、音楽も良かった。特別彼女のファンでなくても、一人の歌姫の波乱万丈の人生の映画として楽しめた。
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