「ベトナムみたいな雨って一体」デス・プルーフ in グラインドハウス 唐揚げさんの映画レビュー(感想・評価)
ベトナムみたいな雨って一体
テキサスの人気DJジャングル・ジュリアたちの女子グループは、湖へ行く途中で行きつけのバーへ立ち寄る。
そんな彼女たちを尾ける1人の男がいた。
それから14ヶ月後、テネシー州レバノンにやって来た例の男スタントマン・マイクは、スタントウーマンであるゾーイたちの女子グループをターゲットにする。
はじめは上手くいっていたマイクの“いたずら”だったが、次第に事態はいつもと違う方向へ進み始め…
超ド変態おじさんVSアイアンタフビッチ
これほど、「形勢逆転」「過剰防衛」という言葉が似合う映画はないんじゃないかな。
まず、2007年の映画だということにびっくり。
グラインドハウスなんだからよく考えれば当たり前だけど、前半の映像の古っぽさとか、それ以上に映画が纏う雰囲気がモロ80年代。
そして、この映画の面白さの根幹になっているのが、ジャングル・ジュリアパートとゾーイパートの対比。
マイクがやってることは結末以外概ね同じなのに、前半と後半で全く印象が違う。まるで2本の映画を観ているかのよう。
少しノイズの入った映像がモノクロへ変わり、パッと色彩豊かなタランティーノ映画は変わるのには目を奪われる。
前半であんなにヤバいやつオーラを出していたド変態のマイクが、後半ではむしろ可哀想に思えてくる。
追う側が追われる側に、発砲を引き金にあっという間に立場が逆転する様には笑うしかなかった。
やたら長いガールズトークなど、かなりダラダラとしているため、そこで好き嫌いがはっきり分かれているようだけど、個人的には意味のある無駄だと思った。
伏線回収というほどのものではないけれど、ちょっと会話に出てきた設定が後々生かされているなんてことも。
『レザボア・ドッグス』の愛おしきあのくだらない会話に似たものを感じた。
2つの女子グループはどちらも陽キャビッチ感あるけど、ゾーイたちの方がなんとなく品があって好き。
あと、リー役のメアリー・エリザベス・ウィンステッド。初めて知ったけどタイプすぎた。
「あの人はどうなった?」、「あれはなんだったの?」と未回収の部分も多いけれど、このグダグダ加減が堪らなく良い。
フェミニズム復讐モノかと思っていたけど、全然違った。結局ジャンルがわからない。
これぞカーチェイスと言うべき見事なカーアクションも観れたし、まさに『THE END』のふざけすぎなラストは映画史に残る最高のフィナーレ。
そんなに絶賛するなら『バニシング・ポイント』観るよ。