劇場公開日 2008年6月7日

「映画に生きるべきか、舞台に戻るべきか」ザ・マジックアワー kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0映画に生きるべきか、舞台に戻るべきか

2020年7月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 当時のめざましテレビのおかげで『アンタッチャブル』へのオマージュシーンには笑うことができました。それにしても、自ら宣伝マンとしてテレビに出ずっぱりの三谷幸喜のパワーはすごい。おかげで映画の楽しみ方もわかり、数々の監督の映画愛を存分に楽しむことができるはず。それに終盤はお子様でも笑えるような内容だったし・・・

 冒頭で『ゴッドファーザー』のドン・コルリオーネ風の西田敏行に驚くと、彼がそのままマーロン・ブランドに乗り移ったんじゃないかと錯覚してしまう。そして、『カサブランカ』風の劇中映画や市川崑がそのまま監督役で登場しているし、『ギター弾きの恋』の名場面はそのまんまだし、限りなく映画を愛している情熱が伝わってきたりする。ただ、あまりにも前宣伝でそれを強調しているので、探す楽しみはなくなってるかもしれません。

 チョイ役で意外な人物を見かけるのも面白いけど、その辺りは映画ファンというより、テレビをよく見ている人向けなのでしょうか。その中で一番笑えたのは『THE有頂天ホテル』の役そのままで登場した香取慎吾。気付かなかった観客も多かったようなので、最低でもこの前作は観ておいたほうがよさそうです。

 俳優のアドリブを許さない徹底して練られた脚本。ボス(西田敏行)の女(深津絵里)を寝とったために幻の殺し屋・デラ富樫を連れてこなければ殺される運命にある備後(妻夫木聡)が映画監督に成りすまし、売れない俳優村田(佐藤浩市)にデラ富樫を演じさせる。撮影だと信じ切っている彼と実際のヤクザの会話が見事にかみ合い、嘘を取り繕う備後が絶妙なのです。会場は笑いの渦。“カット”という名前も最高だ。

 毎日撮影(?)終了後に「ラッシュは?」と訊く佐藤浩市。映画用語として知っておきたいラッシュという言葉ではありますが、なりきり俳優が映画を愛するがゆえ自分の仕事を確認したい気持が伝わってくるところ。また、「俳優ってすごいな」と言わせるところで、個々の俳優への敬愛さえも感じるのです。

 映画監督を引退し舞台の世界に戻ろうと思っていた三谷幸喜。その心も台詞に表れたりしていますが、結局は出来の良さに満足したおかげで映画界に留まることを決意。まぁ、それも彼流のジョークだったのかもしれませんが・・・調子に乗って『ギャラクシー街道』とか駄作まで作っちゃったよ。

【2008年6月映画館にて】

kossy
こころさんのコメント
2021年3月19日

kozzyさん
おはようございます。
コメントへの返信有難うございます。
会話や表情や動きの可笑しみがジワジワとくる楽しい作品でした✨
三谷幸喜さんの映画愛、俳優愛も溢れていました(^^)

こころ
こころさんのコメント
2021年3月19日

kozzyさん
三谷幸喜さんの真骨頂!台詞や表情にワクワクしながら鑑賞しました👀
キャストの皆さんの魅力も光っていました✨

こころ
R♪さんのコメント
2020年7月23日

こちらで、改めて(*^^*)

ナイフのシーン、リピートですよ~(*^^*)

そうなんですよ!!
ギャラクシー街道のぶっ飛びにちょっとついて行けず💦💦💦
舞台だと出オチで爆笑なんでしょうね(^_^;)

R♪