「登場人物の背景を説明するシーンが長すぎ」プロヴァンスの贈りもの 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)
登場人物の背景を説明するシーンが長すぎ
テーマはいいものを含んでいるラブロマンスです。ロンドンでトップトレーダーとして活躍する主人公が、偶然休暇を命じられ、子供時代に馴染んだ南仏のプロヴァンスで束の間の休息を楽しむことになる。
そこでは失っていた子供時代の無垢な思い出が蘇り、プロヴァンスの美しいブドウ畑と次第に同化していく自分を見出していく。嫌がっていた田舎生活ですが、行ってみると意外に和み、スロー・ライフに馴染んでいきついには子供時代に恋した人との出会いがあり、トップトレーダーを捨ててでもこの地に住もうとする物語ではあります。
ただ出足が長すぎると思いました。また原作のゆったりとした筆致に似合わず映画の方では主人公は何かにつけせわしく動き回ります。
そんな感じで、トップトレーダーとして活躍するシーンが10数分続き、ラブロマンスが始まるのは後半から。やっと恋が見えてきたらもうラストシーンです。『プロヴァンスの贈りもの』というタイトルどうり、実際にプロヴァンス地方でロケされた映像はすごくきれいです。また本物のワイナリーで撮影されているため、臨場感もあり、鑑賞後に上等なブドウ酒を飲みたくさせる作品です。
ただ登場人物の背景を説明するシーンが長すぎて、ラブロマンスとして胸キュンとさせるところが物足りないと思いました。
ラッセル・クロウは南仏舞台にしてもそれなりに伊達男を演じてはいます。けれどもこれまでのアクションシーンを観てきた者にとって、彼の演技にはあまりクロウを感じさせないお手軽演技を感じずにはいられませんでした。
それにしても、同じワイナリーとブドウ園から、どうして飲むに耐えないまずいワインと同時に伝説の極上のハウスワインが作れてしまうのか謎でした。