「ハートとバランス、そしてタイミング=ワイン」プロヴァンスの贈りもの あんゆ~るさんの映画レビュー(感想・評価)
ハートとバランス、そしてタイミング=ワイン
「グラディエーター」のリドリー・スコット監督とラッセル・クロウの最強コンビによる二作目(たぶん)。
金融都市として見事再生を果たした近年のロンドンで働く一流金融マンが、フランスでワイン農園を営む叔父の逝去を発端に、農園に「里帰り」する模様が描かれています。
この設定で内容が読め、想定どおりに進行していく種もしかけもない月並みな作品となっています。それでもセリフが素晴らしく、ワインを題材にした作品にふさわしい芳香が漂っています。
日本人なら恥ずかしくて言えないロマンチックな言葉も、ラッセル・クロウに言わせれば見事にはまる。人の弱さをくすぐり、包み込むお馴染みのラッセルの表情を見て、映画を支える重要なパートに俳優の力があることを実感できる作品。つまり物語が月並みなほど、俳優の力が重要になるのです。それを彼は立派に果たしている。
難を言えば、スコット監督の描写がやはりスコット流の範疇にとどまったこと。戦場や殺伐とした設定なら彼の流儀は活きるが、ワイン農園では逆効果。もっとゆったりしたシーンのつなぎ方だったら、もっといい映画になってたと思います。
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