転々のレビュー・感想・評価
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深夜ドラマの美味しいトコロ
10回も観たという方に薦められて鑑賞した。
監督は『時効警察』の演出をした三木監督。ということはもしかしら深夜番組のテイストが観られるのかと期待したのだが、実際それを裏切らずいい塩梅に“ゆるゆる”なペーストに仕上がっていた。それでいて泣ける要素も織込み、素敵な作品になっている。
小ネタも満載で、1回きりだけでは分からないシーンが、後になって回収されるところもきっちりしていてこれも又深夜テイストに華を添えるようで小気味いい。やはり邦画はこういうカテゴリを大事にすべきだということを再確認させられる内容である。
冒頭シーンの歯磨き粉を尻で押しつぶしてしまったところ、そしてラスト前のチューブ入りのチャズネを吐き出してしまおうか逡巡する妄想シーン。
登場人物も又個性派揃いで、それぞれがいい味とおとぼけを醸しだし、プロトしての仕事をきちっと魅せてくれている。
皆が皆、何かを埋め合うように、暖かく包んでいく表現が観る者を優しく溶かしていくような心地にさせてくれる。
歩けばわかる。やさしくなれる。
映画「転々」(三木聡監督)から。
久しぶりに、私の感性にはまって、クスッと笑い続けた作品である。
ストーリーは、俳優・オダギリジョーさんと三浦友和さんが、
あるきっかけで、都内を歩くという単純なものなのだが、
「歩くことで気付くこと」が盛り沢山。
街中に溢れている「変な名前の店名」(「時効」という「スナック」とか
「正確時計店」という時計店、「アワヤマンション」というマンション等)
また「喫茶」と書かれた暖簾がかかっている
「愛玉子」(オーギョーチイ)という食べ物が自慢の食堂など、
街には、よく分からないけれど、思わず「クスっ」と笑ってしまう
そんな風景が溢れている。まさしく「トリビア満載」である。
気になる一言は、溢れたメモから選択が難しく、
予告編で流れた「歩けばわかる。やさしくなれる。」という
キャッチコピーを採用した。
エンドロールで流れた、岸部一徳役の「岸部一徳」という文字にも
観た人は忘れることが出来ない可笑しさが、詰まっていたし、
「あはは」ではない「クスっ」という感覚、とにかく一度、観て欲しい。
後ろ髪長いですね。
ものすごく観たい作品のひとつだった。でも…
来ないよな~(汗)と思ってたら、各地を転々?とした後
ついに私の地元にも来てくれた!バンザイ!時効警察♪
…でおなじみの監督・三木聡の世界感が好きなら、
文句なく楽しめる一作。知らなくても多分に笑えるけど。
ストーリーにまるで関係なく登場する、看板その他。
お約束通りに登場するあのヒト。すべて計算し尽くされた
三木ワールドなんだけど、意外に内容もしっかりしていた。
吉祥寺から霞か関まで歩く“東京散歩”に付き合ったらば
借金の84万円(すごく中途半端な額)がチャラ。っていう、
あり得ない提案を、あり得ない風貌の三浦友和に言われる、
オダジョー。あんなキャラと服装の友和は初めて見たけど^^;
なぜか意外にカワイイ。
そして何といっても!逢いたくなるなる、岸辺一徳。(爆)
そうか~!街で見かけるといいことがあるのか♪なんて、
マジでファンが増えたらどうするんだろう?どうでもいいが。
不倫、殺人、自首、なんていう穏やかでないサスペンスを
取り入れているのに、二人の周りに広がるのは東京の下町。
商店街やサウナ、風情と情緒に満ちた穏やかな光景ばかり。
やがて、なじみのバーのママ(小泉)宅にまで転がりこんで、
みんなで疑似家族まで演じてしまう。なんてふざけた内容
だと思いながらもふと、彼らの表情を目で追ってしまった。
気付くとこの不思議な世界観は、三浦友和とオダジョーを
本当の親子のように温かく包んで見せることに成功している。
すごいぞ!三木聡!ちょっとばかり感動も出来ちゃうのだ。
岩松了&ふせえり&松重豊の三バカトリオも楽しいけど、
意外に彼らがいちばん核心に近いところに迫るから笑える。
いやしかし、彼らのつむじの匂いは嗅ぎたくないなぁ~。
(崖、ってどういう…^^;)
(やっぱり時計は正確じゃないとね^^;デザートには愛玉子!(^^)!)
“ゆるゆる”だけではない、哀愁漂う一品
「時効警察」の三木監督が、藤田宜永の原作を換骨奪胎して作り上げた本作は、ゆるネタ中心で構成されていたこれまでの作品と少し毛色が違う、どことなく哀愁漂うロードムービー。
原作はストリッパーの元恋人に恋い焦がれる主人公が、再び彼女を求めんと逡巡し、借金取りの福原とともに東京を彷徨う様を丁寧に描いているが、映画では主人公の元恋人に関するエピソードはバッサリとカットされ、三木監督お得意のゆるネタと東京の街を彷徨う男2人のドラマが絶妙のバランスで積み上げられた一品に仕上がっている。おそらく三木監督が、これだけ“物語る”ことを意識した作品は初めてなんじゃないだろうか? 今度、三木監督がどんな作品を作るか楽しみだ。
また、消えゆく東京の町並みを捉えた風景もまた魅力。映画を観ると、東京の街を散歩したくなること請け合いだ。
キャスティング最高!!!
ユルユル感と、放りっぱなしの感じが三木ワールドの特徴でOKでした。小ネタ満載!笑った笑った♪
じゃれながら「親父~」を連呼してる二人がすごく好き。ラストの二人が反対向きに歩く姿も凄く好きだけどなんだか寂しい。たくさん笑ったはずなのに、後に残ったのは温かさと切なさでした。
三浦友和がすばらしい(あと石原良純も)
三木監督の前作「図鑑に載ってない虫」は個人的にそんな面白くないと思ってたけど、今回は笑いあり、切なさありの素晴らしい作品!その笑いと切なさの両方をうまいこと出してるのが三浦友和扮する福原で、「カレー」があんなに泣ける展開を持ってくるとは思わなんだ。
オダギリジョーは変な髪形だったけどいつ見てもカッコイイ。カッコイイからだらしなくてどこか影のある文哉役もハマッてた。あ、「時効警察」好きとしては、一瞬だけ出てくるあの人のシーンも嬉しかった!
それにしても岸部一徳はよくあんな役で出演したよなぁ。あと石原良純もスゴイ。いいのかあれで。岩松了、ふせえり、松重豊のくだりは三木ファンじゃないと退屈になりそうだけど、「崖の臭い」ってどんな臭いなのか気になった。
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