劇場公開日 2007年11月10日

「【”幸せは知らないうちに、じんわりとやって来る・・。”寂しさを抱えた年の離れた男二人が、東京をブラブラと散歩する物語。】」転々 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【”幸せは知らないうちに、じんわりとやって来る・・。”寂しさを抱えた年の離れた男二人が、東京をブラブラと散歩する物語。】

2022年8月4日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、VOD

悲しい

知的

幸せ

ー 今作は、三木聡監督作の中でも、特に好きな映画である。-

◆感想<Caution! 内容に触れています。>

・幼き時に、父親に捨てられた男、竹村(オダギリジョー)は大学生だが、借金を抱えている。彼には、父と遊んだ記憶がない。動物園にも行っていないし、ジェットコースターにも乗った事はない。

・そんな、竹村の所に、ある日、福原(三浦友和)という借金取りの中年男がやってくる。彼は”俺が満足するまで、歩く”ことに、付き合えば借金はチャラにすると言い、二人はオカシナ散歩に出かける。
ー 劇中でも、語られるが福原は、愛した妻が浮気をしていた事に気付き、”殺してしまった”と淡々という。竹村は、
一度だけホテルに誘われた人妻が、福原の妻ではないか・・、と恐れる・・。-

・二人が歩く”想いでの場所巡り”
 福原が妻と喧嘩した後に訪れたという”愛玉子(オーギョーチ)の店”のシーンや、思い出の神社を訪れるシーン。

・福原が、以前結婚式の時に”疑似夫婦”を演じたマキコ(小泉今日子)の家に転がり込むシーン。そこにやってきたふふみ(吉高由里子)は、マキコと福原が本当の夫婦だと思っている。
 そして、竹村は福原と念願のジェットコースターに一緒に乗り、徐々に彼らは疑似家族の態を成していく。
 ある日、福原が”カレーが食べたい”と言い(福原は、霞が関の警視庁に出頭する前にカレーが食べたいと言っている。)、4人で食卓を囲むシーンで竹村は”カレーが辛い”と涙を流す・・。

<今作は、三木監督のシュールな笑いを随所にバラまきながらも、竹村と福原の疑似親子にも見える散歩シーンが、とても良いのである。>

NOBU