モン族の少女 パオの物語
劇場公開日:2007年7月28日
解説
ベトナムの最北部に暮らす少数民族モン族の村を舞台に、少女の初恋と彼女の生みの母、育ての母の数奇な運命を描いた人間ドラマ。「青いパパイヤの香り」「夏至」など俳優として活躍してきたゴー・クアン・ハーイが初メガホンを取り、社会主義国ベトナム初のインディペンデント映画として製作された。主人公の少女パオを演じるのは、ハリウッド映画「愛の落日」でヒロインを演じた国際派女優ドー・ティ・ハーイ・イエン。
2006年製作/97分/ベトナム
原題:Chuyen cua Pao
配給:ダゲレオ出版,イメージフォーラム・フィルム・シリーズ
スタッフ・キャスト
- 監督
- ゴー・クァン・ハーイ
- 製作
- ダン・タト・ビン
- 原作
- ドー・ビック・トゥイ
- 脚本
- ゴー・クァン・ハーイ
- 撮影
- コーデリア・ベレスフォード
- 音楽
- グエン・ティエン・ダオ
- 美術
- ファム・クアン・ビン
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2018年11月15日
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鑑賞方法:DVD/BD
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モン族といえば、クリント・イーストウッドの「グラントリノ」で、彼の隣家の住人たちがその民族名で呼ばれていた。
その映画を観たときは、架空のアジア系移民としてその名を充てているのだと推測していたのだが、ベトナムに実在する少数民族であるとは、このたび初めて知った。
美しい自然を印象的なカメラワークでとらえ、主演の女優も美しい。養母の役を務めるのは、「シクロ」でトニー・レオンの愛人役を演じていたグエン・ヌ・キンだ。日本の余貴美子に似た面立ちのこの女優と、主人公の娘を演じるドー・ハイ・イエンも凛とした長女としての一面と、恋する少女との演じ分けが素晴らしい。
この二人はトラン・アン・ユンの「夏至」でも共演しているということだが、ハイ・イエンのほうはこちらの作品ではほとんど記憶にない。半年ほど前に観たばかりなのだが。
実話に基づいた映画というなので、シナリオにあまりケチをつけても仕方がないが、前半の素晴らしい語り口に比べると後半が急ぎ足で味わいの薄いものになってしまっている。
韓ドラと「母をたずねて」が合わさったような展開がチープなのも残念だが、山村から出てきた主人公が街に出てきて遭遇するカルチャーショックや不安を描き切れていない。
せっかくインターネットや携帯電話といった演出がなされているのに、主人公はまったく意に介さず、実母の消息をたずねること以外に何に対しても関心を示すことがない。つまり、母親を探すことの他に何のドラマも生まれてこないのだ。
携帯電話が出てくるまでは、もっと昔の物語なのだと思っていて、それを使う学生たちをスクリーンにみとめた観客のほうがむしろ驚いている。
それでも、二人の母親を同時に失った悲しみは十分に伝わってくるし、養母の新しい人生を認める少女が大人の階段を一つ昇ったことがさわやかに描かれていてよかった。
不倫の発覚した芸能人を、鬼か何かのように迫害するどこかの国のワイドショー視聴者には理解できない境地であろう。