「心の成長とは。」リトル・チルドレン rockoさんの映画レビュー(感想・評価)
心の成長とは。
アメリカンビューティとか、東京ソナタを思わせる、現代社会に潜む病みのようなものを描いた作品と解釈しました。
人間の心の成長というのは己自身でできるものばかりではなく、外界とのコンタクトで促されるものが多いように思います。つまりある事柄に対して、心の成長のチャンスが人生の中で与えられなければ、一生心のある部分が未成熟のままでいる、ということが起こりうる。たとえば仕事で責任のある立場にある一見成熟した人間が、仕事以外で突然幼稚な考え方をしたりすることもありますし、子供をもったことのある人間とそうでない人間の立ち居振る舞いがはっきりと違って見えるのも、そういうことからくるのだと思います。
かくいう自分は、人を傷つけたり、失敗するという経験をしないまま日本でぬくぬくと26まで生き、その後一人で海外に住んでいろいろ失敗して今年で10年、ようやっと人並みになれたのかなあと思う今日この頃です。実際アメリカ、ヨーロッパ、日本など社会制度のちゃんとした国では、そういった大人になるためのイニシエーションを受ける機会を持たないまま大人になれるわけで、そのへんがテーマだったのかなあと思います。
リトルチルドレンというのは、人生を正しい形ではじめる権利のある、二人の主人公の息子たちであり、その責任に長い間気づかなかった、心の幼い主人公たち、そしてそれをとりまく人物たちなのでしょうね。
あとは、あのタイタニックの女優さんが「そんなに美人でない女性」の役、というのが印象的でした。散々もてはやされましたが、冷静に見ると確かにそうですよね。
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