ボーン・アルティメイタムのレビュー・感想・評価
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「無」から紡がれる再生の三作目。
○作品全体
記憶の断片を有して過去と対峙した『スプレマシー』。そのラストシーンに至るまでの時間をさらに補強し、ボーンとウェッブ、それぞれの存在とその行く末を示したのが『アルティメイタム』だった。
本作は2つの前作よりもさらに多くの記憶の断片によって、深く過去に触れていくのが特徴だ。水というモチーフを導火線としてウェッブからボーンへ、そしてボーンからウェッブへつながっていく演出が度々入る。
これは「トレッドストーン計画」の中で水槽に顔をつけ続ける描写が根本にあって、『アルティメイタム』ではモスクワの洗面所の水で過去を思い出すシーンが一例だろう。
そもそもボーンの世界に変化が起こる状況では水のモチーフが多くあった。『アイデンティティ』冒頭、海から浮上するボーンはまさしくボーンとしての誕生の場面だったし、『スプレマシー』の冒頭では海沿いの家から記憶の断片に触れ、二作目が動き出す。マリーを失ったのは川の中だったし、ボーンが『アルティメイタム』で最後に姿を消すのも川の中だ。
記憶がなく、安息の地をほとんどもたない不安定なボーンと水というモチーフのシンクロが、「トレッドストーン計画のトラウマ」という過去とも繋がる演出が巧い。
記憶がないという「無」の克服として自身のアイデンティティを三作に渡って徐々に拾い集め、ボーンでありウェッブである存在が浮かんでくる。終盤、トレッドストーン研究所でウェッブからボーンへ変化する経緯を知ったボーンが「もうジェイソン・ボーンではない」とつぶやく。無の象徴であったボーンとしての人格からボーンでありウェッブであるという人格への変化がそこにはあって、ボーンからボーンへ、別れを告げる「最後通牒」でもある。
ラストシーン、追っ手から逃れ水の中へ逃れる。水の中で動かず漂う姿はボーンとしての死を、再び動き出す姿にはボーンでありウェッブとしての再生を感じさせる。
ボーンは死んだわけではない、別の存在として生まれ変わった。一つの水の流れであった小川が別の川と合流して新たに名付けられるように。
〇カメラワーク
・アクションカットの手ブレ演出が極まってる。手ブレカットの意味として臨場感があるんだけど、そこが徹底してた。アクションシーンを俯瞰する画面はあえて作らず、短いカット割りで混乱と衝撃に重点を置いている感じ。手ブレ+ピンぼけからのフォーカスとかバリエーションも多い。アクションを見せるという意味では弱いのかもしれないけど、やっぱり緊張感がカッコいい演出だ。
・『アイデンティティ』のときにはカメラを向けるとボーンがいない、っていうカメラワークがたくさんあったけど、本作はむしろボーンが特定されていない状況からバレるっていうカメラワークが多い。すでにボーンが亡霊のような存在ではなくて、抹消されるべき存在として見られているからだろう。バイクに乗ったディッシュを追いかけるボーンがミラーに映るカットとか『アイデンティティ』のときには考えられなかった。
・過去作を意識させるカットがいくつかあった。髪を黒く染めるニッキーを覗くカットは『アイデンティティ』のマリーを想起させるし、カーチェイス後、ボーンがクラッシュしたパズを見逃すカットはスプレマシーのカーチェイスのラストと重なる。
〇その他
・ボーンが戦闘になるときに武器にするものが毎回面白い。今回は新聞、分厚い本、タオルだった。シチュエーションに応じて攻撃できる対応力を示すプロップとして優秀だなと思った。「鉛筆一本で人を殺す」キャラクターがいるけど、ボーンは「本一冊で人を殺す」キャラクターだ。
・敵役として印象的だったのはタンジールで戦ったディッシュ。ニッキーの偽連絡に騙されてしまうけど本部からの連絡で即座に状況を理解して、本来の標的とボーンの両方に攻撃を加える機転の利いた作戦が見事。
3作目
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3作目。相変わらずボーンが自分が誰かを知るため動き回る。
自らの意志で記憶を消され、暗殺者になる事を望んだと判明する。
CIAへの貢献したさからその道を選んだんやが、それを唆したのはCIA。
これが公になって、CIAは批判を浴びる事となった。
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相変わらず天才、不死身。
その意味シュールさを伴った内容なんだが、何故か嫌味がない。
マットがそれほど二枚目でないからか?実際に高学歴で知的だからか?
まあいずれにしても、無駄に人を殺したりせず常に理性的で、
また色恋沙汰さえ全くないボーンのストイックなイメージが、
マットデイモンのハマリ役になっているということでしょう。
それにしてもアメリカって自国の諜報機関をこんだけ悪に描けるんやから、
その意味で本当に自由の国だと思う。そこは敬意を持てるわ。
もしロシアでKGBをこのように描いたりしたら、後が怖いもんな。
三部作の中で1番面白い
アイデンティティー、スプレマシー見てから直ぐにアルティメイタム見たからか、前作より更に愛着湧いて面白く感じた。
基本的にボーンシリーズに出てくる女性はみんな良い人。
内容ぎっしり詰まっているのに難しくないから理解出来る。
お決まりのカーチェイスも更にかっこ良かったけど、決着のつき方がスプレマシーと同じだった。けど、今回は敵が運転席でちゃんと生きていたのが分かったのに殺さなかった。それが結果自分を助けることになった。
ラストの終わり方もめちゃくちゃ良かった。
スプレマシーの直後の話で、時系列が入り組んでる。でも分かりやすい!
めっちゃ面白かった。
素晴らしき幕引き
ボーン・シリーズ第三作。
CIAの暗殺者養成計画「トレッドストーン」により、記憶を失ったジェイソン・ボーン。
その際用いられた薬物と肉体的苦痛に起因した、慢性頭痛と過去の記憶のフラッシュバックに苦しみながら、ボーンはパメラと共闘して黒幕に迫る。
【ストーリー】
ボーンの潔白を証明したパメラだが、CIA上層部は相変わらずボーンを脅威と考えて殺害命令を撤回しない。
そんな中、独立系新聞「ガーディアン」(イギリスに実在する新聞)の記者サイモンがトレッドストーン作戦をスクープ発信し、さらに発展版である「ブラックブライアー作戦」の存在を匂わせた。
CIAは直ちにサイモン殺害を指示するも、ボーンがサイモンに危機が迫っていると知らせて妨害する。
会いたいというサイモンに指定した場所は、ラッシュ時間帯のウォータールー駅。
尾行や盗聴なとあらゆる手を使ってサイモンを追う局員たちだが、ボーンに裏をかかれて追跡に失敗する。
やっと接触したボーンだが、恐怖に駆られたサイモンが逃げ出した瞬間、暗殺者によって狙撃されてしまった。
サイモンの持ち物からダニエルズの存在を知ったボーンは、スペインのマドリードにある彼の自宅に侵入するも、もぬけの殻。
そこに姿を現したのは、かつてのバックアップ要員だったニッキー・パーソンズだった。
ボーンを執拗に追うヴォーゼンに嘘の報告をし、ニッキーはポーンの逃走と調査に協力する。
舞台はアメリカへと移り、ついに明かされるボーンの正体と過去。
ついに巨悪と対面したボーン。
彼の銃は誰を撃つのか。
冒頭、前作の逃走シーンから始まる今作。
二作目「ボーン・スプレマシー」と一部の場面で前後し、複雑に絡まり合っていますが、ストーリー自体は両方とも理解しやすい作りとなっているのでご安心を。
敵味方とも能力の高いプロばかりが出てくるボーン・シリーズ三部作。
その中でも格闘最強の暗殺者が、ニッキーを追うデッシュ。
アディダスのようなジャージを着てベスパに乗る、オシャレでスタイルのいいアフリカ系の工作員です。
ボーンの裏をかいてダニエルズを爆殺し、道の狭い旧市街、逃げるニッキーを執拗に追う姿は恐怖しかありません。
緊張感バキバキのテーマソングも相まって、ボーンとの追跡劇はかなりの見応えです。
最強の優しき暗殺者ジェイソン・ボーンを生み出し、アクション映画の演出を根底から変えたこの歴史的三部作、存分にお楽しみください。
時間軸に唸った!
前作ラストで本名知ったので、その後の話かと。
しかしいつまで追われてるんだジェイソンボーン!
なーんて観てたら、中盤で前作のラストにつながるという!
なに凝った作りしてんのさー!
気が付かなかったの自分だけかも知れんけど‥
「ボーンアイデンティティ」でチョイ役だったニッキーが、まさかの3部作皆勤賞なのも嬉しい限り。
それにしてもどんな訓練受ければ、あれだけの体技、操縦、IT、言語、何でも熟せる人間が出来上がるの⁉︎
自分が観たフィクションの中で、デューク東郷の次に優れた殺し屋(諜報員含む)だぞ、ジェイソンボーン!
それは兎も角、
非道な人格操作の末に作り上げられた殺人マシーン「ジェイソンボーン」のアイデンティティ探しの旅はまだまだ楽しめそうです。
シリーズの中では最高
最新作前に改めて
3回目以上に観てるので、新鮮さはなかったけど笑
やっぱり好き!カッコイイ!
今回は真相を追う側として相手を翻弄し、アクションも激しいカメラワークと共に実戦的かつ無駄のない動きでとてもクール!
ニッキーも個人的には好きなキャラクターなのでシリーズを追うごとにピックアップされてるのも印象的
縦軸である始まりの記憶に関しては初見はよく分からなかったが今観ると分かるがなんとも尻すぼみ感というかふーんと言った内容ではある。
そこも気にならないくらい面白いしカッコイイから良いんだけど
ラストの浮かんでるのは1作目の最初をモチロン意識してあるからでニヤリとさせる。
何はともあれ、戦闘シーン、歩き、バイク、車を含めたチェイスシーン、逆手に取るシーンどれもボーンのキレが良くとてもスタイリッシュでカッコイイのだ
最新作も楽しみにしている。
謎、ある?
シリーズとして、しっかり繋がっている為、前二作鑑賞していないと登場人物が解りにくいかと。
スパイものとしては、珠玉の作品ではありますが、謳い文句としての、記憶が甦り謎解明みたいなのあります?
何故殺し屋になったのか?記憶が戻ったら志願してました・・。
謎でもなんでもなくありませんか?
記憶を消して殺し屋になったとかではなく、一作目のミッション失敗で記憶を無くしている為、ただ記憶が甦っただけ。自身がどういう仕事してきたかを思い出しただけで、人を殺す事を悲観してましたが、それ記憶と関係なくないですか?
酷い言い方ですが、自分探しの行動にCIAが、勝手に何かあるぞ!と絡んで話がでかくなっているだけ?
もちろん設定として、国家の裏で暗躍するCIAなので、記憶が無いとは故勝手にフラフラされたら困るので、亡きものにしようとするのは、分かるのですが。
全体通しても、汚職と、非人道的な計画が明るみに出るのが困る上層部の壮大な内輪揉め?
観客視点だと全体が見えてしまうので、
謎になっていないかと。
駆け引きとかは、アクションは、最高級なのですが。内容としては、一作目で完結してしまっています。二作目、三作目
は、記憶をネタに引っ張って別の事件に巻き込まれたりしてるだけ?上手く纏めているのですがね。
時間的にはスプレマシーと被る。 スプレマシーでロシアの女の子に会っ...
時間的にはスプレマシーと被る。
スプレマシーでロシアの女の子に会った直後から、ニューヨークに戻るまでの話。
回を重ねる毎にマット・デイモンの表情が上手になっている。
そこは流石。
お馴染みのカーチェイスはニューヨークで。
前回から登場のCIA女性幹部と一作目からいる後方支援の女性は今回ボーン側に立っている。
まさか後方支援の女性とロマンスか?と思いきや、そうはならず硬派に仕上げてくれました。
そこは好感度アップ。
前作の「スプレマシー」がとてもよかったので、それ以上の続編がつくれ...
前作の「スプレマシー」がとてもよかったので、それ以上の続編がつくれるのか?と疑問に思ったが杞憂だった。むしろ前回の持ち味のよさを引き継ぎつつ、さらに濃くしたという印象。
事は殺された恋人マリーの弟へ元凶への復讐を誓うところから始まる。
自分の情報を持っているであろう新聞記者との接触が、CIAの目を交わしながらでとても緊張感あふれる。すんでのところでバレてとっつかまりそうなギリギリが続く感じ。記者があわてて飛び出して殺されてしまうシーンなんかは、「志村、罠だー!罠ー!!」と声をあげそうになった。これを指揮するCIAのボーゼンが、またもや強硬的なタイプで、また悪人代官様タイプになっちゃったのか~と思ったら、さすがのことでうまいことパメラの良キャラっぷりを引き立てるダシになっていた。
その後秘密を握っていると思わしきニール・ダニエルズ邸に赴く面々。ここでの「ボーンがいつ襲ってくるかわからない」演出はまさにホラーで笑える。ここで毎度おなじみニッキー登場。なんか作を重ねるごとにブス度が減ってる!?すごい!さらに実は元カノでした宣言。ボーンの趣味って。
CIAに追われながらも自分の真実を追うボーン。
今回の刺客とのバトルも狭い密集した居住空間を立体パズルさながら駆使して戦っているのが面白い。
ここで2のラストに繋がったのがまた面白い。パメラとの接触さえも、ボーゼンが見ている手前、互いに相手が気付いてくれるか微妙なメッセージで更新する。ボーゼンの裏をかき、堂々と自ら敵陣で証拠をおさえるところは、身の危険をかえりみたい大胆さであるが、してやった爽快感は最高である。
その後元凶の博士の元ですべての始まりを聞くボーン。この毎回過去を知るくだり、隠された真実がわりと想像できるのはご愛敬。
1の最初に繋がるような被弾して海へダイブ!素晴らしい〆方であった。
2よりも濃いためか多少複雑な感じもあるけど、うまく洗練された素晴らしい続編だった。
This is where to end. ジェイソン・ボーンの記憶を巡る旅、第3弾
マット・デイモンの当たり役ジェイソン・ボーン・シリーズの三作目です。第二作目の「ボーン・スプレマシー」から直接繋がっている作品なので前作を観ている事は必須ですね。前作で評判の悪かった手ぶれやカットが細かすぎて何が起こっているか分からないという点は随分と改善されている感じを受けます。
物語はロシアから始まり、イギリス、モロッコ、そしてアメリカへ。今までアメリカのCIA職員でありながらヨーロッパが物語の中心だったのですが、ついにアメリカに帰還です。相変わらずボーンさん頭も体もキレッキレで見るものを圧倒します。イギリスでジャーナリストに指示を出しながら動くシーンとか、モロッコでの民家を通り抜けながら殺し屋に追いつくシーンとか、NYでのカーチェイスシーンとか印象的なシーンが盛り沢山!ちょっと都合がいいなかっと思える所も気にならないぐらい物語に引き込まれます。
前作のラストが物語の中盤に繋がっている所といい、本作の最後「ボーンが川に落ちて3日間見つかっていない」というニュースをみてニッキーの笑顔で終わる所といい監督の非凡なセンスを感じます。やー、面白かったです。
しかし、アメリカのCIAがイギリスで一般人のジャーナリストを射殺したのって、作中では結構あっさり流されていましたが、実際バレたら大きな国際問題になるのではないでしょうか?他の国で勝手に一般市民殺してるわけですし・・・CIAって本当にそれぐらいやってそうで怖い!!
ついに
ついにボーンが本当の自分を見つけた
3シリーズの中でこれは個人的に1番好き
とにかくボーンが強い、一体どんな訓練を受けたのだろうか、俺も受けたい
頭はキレっキレだし、ドライブセンスは抜群だし、何よりも死なない、強すぎる
一つ思ったのはこの3シリーズの名前、全部ボーン・アイデンティティでいいんじゃないかと
3シリーズかけて自分とは誰なのか、を探しているからそう思った
新聞記者を電話だけで逃がすシーン、CIAの本部に侵入するシーン、ボーンの頭が良すぎて本当に尊敬する
最後のシーンは一瞬ほんとに撃たれたかと思い、テンションががくっと下がったが、やはりジェイソン・ボーンはそう簡単には死なない男であった
アメリカ人の命のために志願
新聞記者から情報を聞き出すべく彼を守り、CIAと戦う序盤は良い。
そこからの展開は人間関係やその意図も含めて分かりにくい部分が多く、なかなか話にのめり込めない。
これはシリーズ共通の残念なところ。
プロジェクトが立ち上げられた経緯やデビッド•ウェッブの志願理由など、まだすっきりしない箇所もある。
完結
前2作を上回るスピード感。ハラハラドキドキ感。
最初から最後まであっという間でした。
やたら、銃でドンパチやらないところも面白かった。
ボーンの記憶の断片がすべてつながってエンディング。
終わり方としては、物足りないものがあったけど、
そこへ行きつくまでの数々のエピソードが
緊張感があって面白かった。
また、CIAの作戦やいろんな機器が興味深かった。
EXTREME WAYS
今さらながらのレビューですが、DVDも発売されたことだし、劇場で観られなかった人も、ようやく観れたと思うので、レビューします。
シリーズを通して、総じて好評を博したジェイソン・ボーンの物語。
2002年の「ボーン・アイデンティティ」から始まった自分探しの旅もこれにて終了。
「自分探し&贖罪の旅」とでも言いましょうか。
「アイデンティティ」から始まった3部作、全てにおいてハイレベルなサスペンスとアクション、近年稀に見るデティールの細かさ(映画の中でのフィクションですが、電車で逃亡する際には時刻表を手に入れてからだとか、ガラスを飛び越えるときには手に布を巻きつけているだとか、妙にリアル。もちろん、これは戦闘シーンにもふんだんに取り込まれてる。)色々な意味で3部作全てが全力疾走。
カット割りが短く、畳み掛けるような構成なので、目まぐるしい感じを覚える向きもありますが、僕はこの点は肯定派。
アクションシークエンスにしても工夫が随所にみられ、高度な計算に基づいた優秀なエンタテイメントなんだなと思います。
ストーリーも一つ一つが複合的な要素で構成され、さらに中途でまた別の要素を複合させたりなど、単調な部分は皆無に等しい。
票を落とす原因の一つにリアルを謳っておきながらCIAの内部が双眼鏡で見えるとかありますが、良い点とこういった突っ込みどころを天秤にかけた場合、遥かに良い点が上回るのがボーンシリーズとして捉えています。
「アルティメイタム」の見せ場は、市街地の追いかけっこと、ラストのカーチェイスシークエンスですが、今作におけるカーチェイスは、ラストへ向かう重要な位置づけでもあり、チェイスがさながら「俺の旅も、これで終わりなんだ!!」というボーンの「覚悟」が見て取れました。
鑑賞中も「ああ、ついに終わっちゃうんだな、ボーン。」という、大好きな食事も進むにつれ、「ああ、食べ終わっちゃうよ・・・」みたいな感傷的な想いを抱かせる稀有な作品です。
ラストも見事なフィニッシュで、これ以上ない終わり方を披露してくれました(モービーの主題歌が本当に良い。アレンジされたのは残念。)
昨年は大作の「3」公開が相次ぎましたが、どれもダメダメ。
「スパイダーマン3」は完全に人民のヒーロと言うことを忘れ、内輪ウケのヒーローとなり、「パイレーツオブカリビアン」にいたっては、まったく持ってエンターテインメントの枠から外れ、駄作となり、ボーンも大丈夫か?と危ぶんでおりましたが、まったくの心配御無用でした。
続編希望の声も多いようですが、ジェイソン・ボーンはこれで終わった方がカッコいい。
マットの『007』ゴッコ
ポール・グリーングラスは好きな監督だ。
前作では、暗めのブルートーンにアクションはカーチェイスばかりで、ハードボイルド調の地味な作品だった。それに比べると、今作ではマットの格闘シーンが増え、海外でのロケ撮影もカラフルで楽しく、前作での欠点をうまく修正してきたという部分は評価出来る。さすが、グリーングラスだ。アクション描写だけなら文句無くAランクだろう。
だが、あまりといえばあまりの脚本。CIAはバカばっかり。最新の機器を駆使していとも簡単にマットの居場所を探るが、その後の人間の行動の間抜けぶりには呆れてしまう。ジュリア・スタイルズが何で出てくるのか、いきなり何で人生を捨ててマットを助けるのか。なぜ、目立つ金髪をなびかせて逃げまくるのか、帽子でもかぶればいいだろうに…。さらに、CIAの部屋の中身が窓から筒抜けで機密書類のありかが丸見え!
オリエンタルなロケ地で白人が暴れ回るという設定は『007』で散々、観てきたし、ヤマカシ風のアクションはモロに『カジノ・ロワイアル』だ。マットがやりたかったんだろうし、格闘でがんばってはいるけれど、ラストの海の中でのシーンはちょっとしつこかった。気を失って息してないのに、そのまま潜水で泳いでいくなよ!
今作をアクション映画として評価している方が多いのは理解出来るが、私は脚本のひどさに、どうしても入っていけなかった。グリーングラスには、ぜひ、いい脚本でアクションを撮って欲しいものだ。
シリーズ内では最下位
なんでいちいち挑発をしないといけないのかなと思う。
結果、わざと自身を危険の中に放り込んでアクションシーン
を開始させる演出はボーン自身の真剣度を問われても仕方ないんじゃないかと。
確かに挑発してピンチになって、それを跳ね返していく楽しみはあるけど、
それはボーンがすごいんじゃなくて、CIAがバカなだけでしょう?
もっとCIA側に頭の切れる奴がいる設定でボーンが挑発しないでも
自然にピンチになってハラハラするくらいの脚本がよかった。
ダイ・ハード?
おもしろかった。特にアクションシーンがパワーアップしてます。まさしく、ダイ・ハードです。普通なら死んでるか、かなりの重傷だと思うのですが、医師の治療を受けることもなく、自分で治して、戦い続けます。
緊迫感を出すためでしょうが、手ブレが、ちょっと多過ぎでしたが。
女性陣、頭良すぎ。ニッキーは、美人じゃないけど、いい感じ、彼女の笑顔がエンディングでよかったです。
一応、頑張れば、続編作成可能な状態で終わっているので、是非、お願いしたいです。
でも、なんで毎回、題名が難しいんだろう?
1~2~3~1~2~3
ロードショー直前。
来日プロモもあり、TVでの前作までの放映があり
いやがおうでも盛り上がって。。映画館へ!!
この流れ(1、2作目を予習した直後に見る)をしておかないと
3作目を単独で見るのは無理でしょう。。
特に2作目のラストでNYにいるはずのボーンは
なぜ3作目ではまたロシアから???
そして2作目ラストシーンはここへ繋がるのか!!
そこでの台詞の誕生日は違うのか!!
な~んて言っても面白いからイイです!
でも画面揺れすぎ。
特に向かい合って話すだけなのにブレ過ぎ。
離れてみないと酔うな~。
史上最高の閉所肉弾戦
前半と中盤にある大衆をかき分けてのアクション・シークエンスは凄い。ゲリラ的撮影のリアルな臨場感は、編集の緻密さと相まって低予算独立系出身の肝っ玉監督グリーングラスにしか見せられない芸当だ。特にタンジールでのチェイスは、追われる者、追う者、それを追う者、それを追う警官たち、を交錯させる荒技ぶりで凄い。異郷の地で、というのがまた凄い。とどめに最後の閉所肉弾戦は、今まで観た映画の中でも最高の格闘シークエンスときた。技、スピード、小物の使い方(すげぇぇぇ)、どれも凄まじく手に汗を握る。もうこの時点でお腹いっぱいである。
おなかいっぱいのせいか、後半のアクションはそれ程には盛り上がらなかった。まず、ハードなカーチェイスは前作の焼き直しであり(高レベルだが他にアイデアは無かったのか)、研究所の攻防は老博士とのテンポの悪い回想シーンを挟むために今ひとつ。最大の敵であるはずの「パズ」に迫力無く、また人並みの葛藤を見せるのも…今までのトレッドストーン工作員の不気味さが欠けていてどうも迫力がない。ストラザーンは小悪党であり、フィニーもマッドサイエンティストには優しすぎる。彼らが受ける報いの描写もアッサリしており物足りない。
アクションの中身が増量した分、物語展開にはアラが目立つようになった。ボーンとニッキー、パムとの邂逅は都合が良すぎる偶然であり、またノア・ヴォーセンの秘密を窓から覗くというのも…CIAがそんな丸見えでいいの?
そんな気になるアラはともかく、アクションに時間を割く一方で感情に訴える物語は小さくなった。その辺がコンパクトに絡み合った前作は見事だった。そういった部分が無いのを非常に惜しく思う。現場現場で脚本書き直してるんじゃあ仕方ないけど。
ニッキーの笑顔で終わるラストは流石に良い余韻。ジェイソン・ボーンの名が世間に流れたのは打ち止めの意思表示?難しいだろうが続編を是非。
しかし、とーても残念なのは、その後に流れる"Extreme Ways"がアレンジされていたこと。モービーのガラガラ声で十分ハードボイルド。「オーベイベーオーベイベー」のとこでコーラスは要りません。
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