劇場公開日 2007年11月10日

ボーン・アルティメイタム : 映画評論・批評

2007年11月6日更新

2007年11月10日より日劇1ほかにてロードショー

瞬きする余地も与えぬほど無駄のない純粋な活劇

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もはやパターンは出尽くしたと諦観し、惰眠をむさぼる映画通を、ものの見事に覚醒させるアクション映画が現れた。なぜ記憶を失い、究極の暗殺者と化したかを知るため、所属していた国家権力CIAを向こうに回して逃走と工作を繰り返し、組織の陰謀と自らの過去を暴く、主人公の最後の旅。

手持ちカメラを多用して虚構と現実の狭間を行き来しつつ、映画的興奮を更新してきたポール・グリーングラス監督の到達点。これは、瞬きする余地も与えぬほど無駄のない純粋な活劇だ。とりわけタンジールでの追跡と格闘は凄まじい。土地や家屋の特性を活かした生々しいアクション描写は新たなスタンダードになるだろう。通常よりも、スピード感は倍、カット数は5倍くらいか。めまぐるしいだけの「トランスフォーマー」とは似て非なるもの。カットごとに観客の視線がどこに向かうのかという計算が行き届き、撮影は小気味よいリズムとなり、編集がテンポを生んで観る者を高揚させる。主役が没個性的なマット・デイモンであることにも意味がある。灰汁の強いブルース・ウィリスやトム・クルーズでは、このリズムは寸断されてしまうから。

ただし、たどりついた「真相」は、ありがちだった。演技に託した大団円は、映画の余韻ではなく隙になってしまった。待てよ。あえてカタルシスを与えすぎず、シリーズ続行を狙う監督の密かな宣言と受け取ろうか。

(清水節)

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