「☆近年稀にみるシリーズ物の成功作品☆」ボーン・アルティメイタム ぼんじゅさんの映画レビュー(感想・評価)
☆近年稀にみるシリーズ物の成功作品☆
今回オススメするのは「ボーン・アルティメイタム」!!
「ボーン・アイデンティティー」「ボーン・スプレマシー」に続く記憶を失くした工作員ジェイソン・ボーンの自分探しを書いたスパイアクション3作目。
シリーズ物といえば前作以上に作品のクオリティーを上げるのはとても難しく、「インディ・ジョーンズ」・「ターミネーター」・「パイレーツ・オブ・カリビアン」などから解るように、終わっている物に無理やり話をとってつけるから徐々に作品自体がトーンダウンしていくのが普通。(スターウォーズ・エピソード7もどうだか心配…。)
しかしこのボーンシリーズはこの3作目が一番面白い。
これはとても珍しい事。
それがポール・グリーングラス監督の手腕なのかは分かりませんが、特にアクションに関しては映画史に革命を起こす程の神レベルで、後の作品に幾度となく影響を与えています。
(最近ではなんとスパイ映画の本家007シリーズにも影響を与え、「慰めの報酬」でアクションパートを担当したのはボーンシリーズのスタント・コーディネーターとのこと。)
中には揺れるカメラワークが「見づらい」とか「酔う」などと批判的な意見も聞かれますが、自分としては最近の3D映画に比べればとても臨場感を感じることができました。
アクションシーンの中でも特に見所は、[タンジールでのバイクチェイス]・[屋根伝いの追跡劇]・[暗殺者デッシュとの格闘シーン]・[ニューヨークでのカーチェイス]・・・。これだけでも観る価値あり。
それと近頃少しおっさん化しつつあるマット・デイモンがまさにジェイソン・ボーンにハマリ役。
アクションシーンでの切れ味の良さ以外にも愛する者を失った孤独感・悲しみ・怒りを静かに表現する演技力は彼以外にはできないでしょう。
もちろんストーリーも息を呑む展開ばかり。
前作「ボーン・スプレマシー」との絡みも面白く、思わず“ここに繋がるのか”と感心してしまいました。
自分が特に良かったと思ったのは、ニッキーの扱い。
彼女はボーン以外に1作目から出ている数少ない人物で、意外というかけっこうな物語の“キー”になっている。
その彼女が徐々にボーンを助けるようになるのだが、恋人までにはならないというその微妙な距離感が実に丁度いい。
このシリーズはボーンの「自分探し」がテーマだと思うが、ニッキーにとっても本来あるべき自分探しになっているのではないだろうか。はたして・・・。
それにしても近年映画界は不況の中にある。
話のネタ切れ感もあるのだが、最近はやたらシリーズ物に頼ったり、アニメの実写化、ドラマの映画化、などがほとんどで安易な道に逃げているようにしかみえない。
(別に金儲け至上主義が悪いと言っているわけではない。)
期待して観れば予想通りというか内容が全くゼロの作品ばかりで、こっちからすればもうウンザリだ。
それくらい近年面白い作品が少なかった。
そんな中、本当~に久々の良作シリーズだったと思う。
続く4作目「ボーン・レガシー」で多少息切れ感があったのは残念だったが今後に期待して☆5つ。