劇場公開日 2007年6月23日

「たまらない懐かしさ」サイドカーに犬 スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5たまらない懐かしさ

2016年12月13日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

幸せ

忘れかけていた子供の頃の記憶を、ほんのりと思い出させてくれるような、何とも懐かしさ溢れる作品でしたね。
時代背景が80年代だったけに、これは昭和生まれの方にはたまらない作品だったのではないでしょうか。
ともすれば、自分も劇中の場所に住んでいた気になってしまうぐらい、物凄く身近な話と言うか、子供の頃あるあるな部分もあったりして、思いっ切り入り込んで見てしまいました。
大人になってしまえばほとんど思い出さないレベルの、ほんのちょっぴり切なさ漂う作風も何気にツボでしたね。

主演の竹内結子が演じたヨーコのような、家族でも親戚でもない謎の魅力的な大人って、子供の頃を思い返すとそう言えばいましたよねぇ。
ずっといた訳ではないんだけど、ある時期とても濃い時間を過ごした大人って・・・でも自分が大人になってしまうとほとんど思い出すこともなかったりで。
劇中のヨーコは父親の愛人と思われる女性でしたが、まあ子供にとってはそんなことどうでもいい、と思えるぐらい魅力的な人、自分の世界を広げてくれた人、自分を対等に扱ってくれた初めての大人の人って感じで、見ているこっちも思わずウットリ見惚れてしまいました。

しかしこの映画の竹内結子は本当に素晴らしい演技でした、まさしく豪放磊落、子供から見たらこんな自由人的な大人に惹かれない訳がない、しかも色気も半端じゃないと来たもんだ、鈴木砂羽が演じた家出した母親がまた真逆のタイプの人間だっただけに、子供からしたらこんな大人って存在するんだなと、まるで宇宙人でも見てるような感覚に陥ってしまいそうなぐらい、完璧な役作りだったと思いました。
気の強いヨーコの心が、わずかに揺らいだ瞬間の演技が特に好きだったなぁ。

ヨーコを見つめる薫の表情もホント良かったですね!
性格的な問題で微妙な距離感を保ちつつも、チョコチョコ付いていく姿がホント可愛かった、そしてヨーコと正反対で何事も我慢しちゃう辺りが何とも健気で・・・。
そんな薫を演じた松本花奈は本当に素晴らしい存在感でした、今は若くして映画監督もこなす多才ぶりを見せているのもこれを見れば思わず納得です。
ミムラが演じた現在の薫があんな風に成長していたのも、何となく想像通りでニンマリ、ラストも個人的には好きな微妙な切なさ加減でした、ノラリクラリな古田新太親父もいい味出してましたねぇ。
とりあえず麦チョコにコーラが欲しくなった!

スペランカー