ブラッド・ダイヤモンド : 映画評論・批評
2007年3月27日更新
2007年4月7日よりサロンパス・ルーブル丸の内ほかにてロードショー
紛争ダイヤ問題を“説教”ではなく“アクション・ドラマ”として描破
いつのことやら分からないが、万一ダイヤモンドを買うチャンスがあったら、紛争ダイヤを掴まないようにしっかり出どこを確認しようと、この映画を見て肝に銘じた。ハリウッド製の娯楽アクションでも、作りようによってはこんな風に人の意識を変えられるのだ。それにチャレンジしただけでもこの映画の存在意義はあるが、アクション・サスペンスとしてもかなり面白い。内戦最中の国から不法に輸出されたダイヤ(紛争ダイヤ)の代金が、反乱軍の武器購入費に充てられ、内戦を長引かせる一因になっている。だからダイヤ企業も一般消費者も紛争ダイヤを買わないようにしようというのがテーマ。それを正面切って説教するのではなく、巨大なピンク・ダイヤの争奪戦の中でアクション・ドラマとして語ってみせたところがズウィック監督の腕だ。
一攫千金を狙ってダイヤを追いかける非情な密売人レオが、生と死の狭間でサバイバルしてきたすさまじい生い立ちの持ち主だったというのも、アフリカならではのリアリティがある。レオはこの映画で、アクション大作の一枚看板として通用すること証明。ジャーナリスト役で絡むジェニファー・コネリーの好演が、この映画の問題提起を鮮明にした。
(森山京子)