リトル・ミス・サンシャインのレビュー・感想・評価
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欠陥を抱えたまま走る
作中のマイクロバスと同じように、人生に欠陥を抱えたまま突っ走る登場人物たち。個人的にはお兄ちゃんが一番ドギツイ一発を喰らっていたように思う。
物語の最後までバスは修理されないし、登場人物の欠陥は治らない。どころか、おじいちゃんに至っては問題と向き合う体力さえなくあの世へ。人生にはどうしようもできない問題があり、それらの多くは解決が難しく、人によっては向き合う猶予も与えられない。
厳しい現実を切り取った作品だが、明るいテイストと、お兄ちゃんと叔父さんの会話に救われた
家族がおんぼろ車で心を一つにする、それだけのストーリーが心温かいコメディ映画の佳編
2006年の日本公開時の評判がたいそう良く、いつか鑑賞したいと思って約20年経ち、今回廉価のDVDを購入して漸く見学出来ました。この動機にはアカデミー賞助演男優賞を受賞したアラン・アーキンの演技への興味と、鮮やかな黄色一色にコラージュされた家族が小型のマイクロバスに乗り込もうとするスチール写真の可笑しさと温かさに好感を持ったからでもあります。監督は私とほぼ同年齢のジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリスのパートナーが共同演出の異色さです。ミュージックビデオやコマーシャル制作のキャリアから、今作で劇映画に初挑戦した演出は、特に技巧を凝らしたものでなく、基本に忠実で素直なタッチでした。製作過程を調べると、マイケル・アーントという脚本家が2000年に初稿を書き上げたものの、紆余曲折あり制作まで難航したようで、それだけ多くのプロデューサーが映画化を諦めきれず惚れ込んでいたのが分かります。この映画の一番の良さと面白さは、この脚本家アーントの設定した個性豊かな登場人物たちの絡みと、小旅行を通してそのバラバラな家族だったのが最後奇跡的に団結するロードムービーとしてのストーリー展開にありました。このオリジナリティーは、アカデミー賞の脚本賞に相応しいと思います。
主人公リチャード・フーヴァーがモチベーショナルスピーカーのキャリアから作家デビューを夢見る設定は、昔よく観ていた『Ted Talks』で想像できます。これがアメリカで多分野に渡り職業として確立していることを知り、勉強になりました。個人的に想像するに、牧師が説教するキリスト教の慣習と生来の話し好きが多いアメリカ社会だから成り立つ仕事と思います。タイトルバックでリチャードが講演で夢を実現するための段階を自信たっぷりに力説すると、少ない観衆の一人だけが拍手を送ります。どう観てもリチャード自身が負け犬に近い状況なのが可笑しく、実際物語の中で挫折してしまいます。妻シェリルの前夫との長男ドウェーンは、家族の中で孤立した反抗期の15歳で、夢は大きくテストパイロットになること。しかし、旅の途中で色弱であることを知り、これも挫折します。身体を鍛えるノルマを消化し沈黙の誓いを課して禁欲的にしてきたのに、絶望から言葉を発して叫ぶ悲しさ。シェリルの兄フランクは、ゲイでプルースト学者のインテリで論文発表するも、ライバルの研究者に第一人者の権威を取られ、恋人も奪われるというダブルパンチから自殺未遂に至る抜け殻状態の敗北者です。そして、リチャードの父エドウィンは退役軍人の頑固さと気ままさで悠々自適と見せながら、ヘロイン使用から老人ホームを追い出された厄介者扱いのお爺さん。しかも家族に隠れてヘロインを吸う中毒症状に陥っている。これら頼りない男達の世話に手を焼くシェリル唯一の慰めが、美少女コンテストに憧れる7歳の娘オリーヴの成長のみというフーヴァー家族の現実。この変形家族6人を乗せた一台のマイクロバスが、ニューメキシコ州アルバカーキからカリフォルニア州レドンドビーチまでの806マイル(約1300㎞)を走破する珍道中の物語は、軽妙なコメディタッチで描かれていて、挫折の深刻度はそれほど身につまされるものではありません。それでもドウェーン演じるポール・ダノとオリーヴ役のアビゲイル・ブレスリンの好演が作品を微笑ましくしていて、心がほんわか温かくなります。これが映画の味になって、夢も希望もない家族の再生をさり気無く描き切っていて感心しました。
脚本家アーントの実体験が反映された、この中古のフォルクスワーゲンT2マイクロバスがぼろぼろ状態でその家族を道案内するロードムービーの面白さがいい。クラッチの故障で部品の手配に時間がかかることから、時速20マイルまで車を押さないとエンジンがかからない。目的に向かって家族が一つになる姿が、最初は滑稽でも繰り返すことで慣れて変わっていくところが巧い。また運転するリチャードの仕事の契約が上手く行かず、苛立つ心理をクラクションの鳴りやまない故障で表現します。最後はドアが外れて、このおんぼろ車も満身創痍なのが分かります。そして、美少女コンテストに4分遅れて到着の踏んだり蹴ったりからの、強引な出場懇願のなりふり構わぬ姿。受付係の温情で参加する、このリトル・ミス・サンシャインの再現度の高さがクライマックスを盛り上げます。大人顔負けの衣装や化粧を施し奇麗でも、子供本来の可愛さの無いコンテストへの批判があります。幼い女の子が抱く女性美への憧憬は自然でも、それを競わせる大人のエゴはけして美しくはない。オリーヴが祖父エドウィンから教わったバーレスク風のダンスが、会場全ての大人たちへの強烈な皮肉になっている。エドウィンは天国でやんやの喝采をしていることでしょう。当の本人オリーヴが淡々と踊る演出がいい。
このユーモアと皮肉の脚本に生命を与えたキャスティングがまたいい。アラン・アーキン(1934年~2023年)は、音楽家から俳優に転じて舞台に立つ経歴から映画に出演したのは30歳過ぎてからの遅咲きスターでした。デビュウー作「アメリカ上陸作戦」(1966年・未見)の評価が高く、その後「暗くなるまで待って」(1967年)「愛すれど心さびしく」「クルーゾー警部」(1968年)「キャッチ=22」(1970年)と初期の作品しか観ていません。とても真面目な俳優のイメージがありました。特に「愛すれど心さびしく」のろう唖者の演技に感動したことが忘れられません。監督業にも挑戦した36歳の時の「殺人狂騒曲」では、理念迷う努力作と感想を持ち、何を表現したかったのか理解できませんでした。監督作は、この一作で終わったようです。そして、今作アラン・アーキン71歳の渋味と落ち着きの演技は、劇中の途中でいなくなってしまい、もっと観たかったと惜しい気持ちもあります。登場シーンが少なくとも存在感があり、一寸変態で心に闇を持つエドウィンお爺さんを地味に上手く演じていたと思います。失恋したゲイの学者のユニークな役柄を演じたスティーヴ・カレルは、「40歳の童貞男」(2005年)でも印象に残る演技を見せていました。オフ・ブロードウェイの演目で活躍しそうな俳優さんのイメージ。小走りする姿にテクニックを感じます。21歳で15歳のドウェーン役を自然に演じたポール・ダノは、才能溢れる演技力を見せ付けています。何かで見たような記憶に残る風貌と思って調べたら、ジェームズ・マーシュの問題作「キング罪の王」でした。才能は演出にも秀でている様で、順調に活躍を続けているようです。父リチャードのグレッグ・キニアと母シェリルのトニ・コレットも堅実な演技をみせていて良いのですが、この映画の一番の魅力は、やはりオリーヴを演じたアビゲイル・ブレスリン(当時9歳)の純粋無垢な少女の可愛らしさです。無邪気さと素直さがあって、教えられた通り一途に踊る姿のギャップがまたいい。ポッコリお腹の体型が醸し出す幼さの演出の細かさ。美少女コンテストへの憧憬と、周りの美少女たちに物怖じしない鈍感さも微笑ましい。一年後は確かに変わっていくだろう少女期の成長過程の貴重な瞬間です。少女の願いを叶えるために挫折する大人たちが傷つきながらお互いを慰め、力を合わせて再生していく物語の温かさが心地良い脚本と、各俳優陣の個性ある演技のバランスの良さが素晴らしい。爆笑ではないユーモアも皮肉が効いていて、家族の有難さにも気付かさせてくれます。愛すべきアメリカ映画の佳編でした。
(蛇足)
坂を利用してマイクロバスを押してエンジンをかける、この行きのロードムービーでしたが、ラストシーンのその後が心配です。ニューメキシコ州とカリフォルニア州の標高差は約1600mあり、帰路は上り坂が多いはず。緩い下り坂や平地を探して利用しないと帰れません。そんなエピローグを付け加えても良かったのではと思いました。
幸せな黄色いバス
18年振りに視聴したけど全く色褪せてない映画。
幸せな黄色いバスはポンコツ。
だがどこか人間味を感じる。
そのバスで人生の荒波に突入。
皮肉なロードムービーの始まり。
『負け犬とは負ける事を恐れて挑戦しない奴の事』
とじいちゃんの言葉だがヘロイン中毒。
でも心に響く。じいちゃんは色々試したからね笑。
自己愛だけだっだのに、誰かの為に出来る
愛の気持ちで成長。その思う気持ちが大切だよね。
成功だけが全てではないというメッセージも
あったなぁ。
子供にあんなダンスを教えるおじいちゃん。
ひどいよね。
でも最後の乱入して家族で踊り捲る姿は
爽快。肩をぶるぶるさせながら笑った。
人に評価されるより楽しんだ方が勝ち!
大好きな作品。
サクセスストーリーではないのがいい。
破産した父
鬱で学者くずれの義弟
引きこもり気味の長男
ぽっこりお腹の娘
麻薬中毒でエロじじい
問題だらけの家族が娘のミスコンに出場するためオンボロの車で会場まで向かう話。
破産したとか、鬱とかぶっ飛ぶほどの出来事が起こりつつも会場に向かうが、その目的のミスコンには箸にも棒にも掛からぬレベルで出てしまう。
ポッコリお腹にエロじいい振り付けのひどいダンスで入賞どころか出禁になってしまうほど。
それでも家族の絆が再生されたのだからそっちの方がよかったのではないか。
心が温まる
問題だらけの家族だが、家族愛は強そう。
オリーブのおかげで一家がまとまった。お兄ちゃんも妹には弱い。全員良いキャラしてた。
途中まで下品なコメディって感じもしなくもなかったが、ラストあたり普通に感動した。号泣っていうよりはホロって感じ。
笑いあり涙ありの良い映画だった。めっちゃ好き。
負け犬の定義
一般的な評価が高く、人によってはその人のベストムービーに挙げている位の映画なのに、自分の心には全く響かない映画が時々あるが、この映画はそのうちの1つ。
結局みんな負け犬じゃん、と思ってしまう自分は、この映画の良さを理解できなかったのだと思う。
オリーブ役の少女は翌年、幸せのレシピで、この映画とは対照的に無口な役を好演している。実際、幸せレシピを先に見て、この少女のことが気になって、この映画を見ることになった。
家族愛が大切だっていうことはわかったが、結局みんな勝ち組になれず、負け犬になってしまったんだよね。
一見、家族の絆が深まってハッピーエンドだけれど、これからみんなどうするんだって、そっちのほうを心配してしまう。
ミスコンに優勝して、唯一の勝ち組となったオリーブを中心に、他の家族たちも父親の9つのセオリーを実践すれば夢は実現するという自信を与える方向に進むべきではなかったか。父親のほうも、優勝した娘の父親が提唱する9つのセオリーというのが具現化されたと言うことで話題になり、彼の啓発本の出版が具体化するという方向を期待していたのだが。
あれだけの困難を切り抜け、家族一致団結してやっとミスコンへの出場に至ったのに、何か虚しさを拭えない。
そもそもミスコンでのオリーブのパフォーマンスも学芸会レベルでひどかったし、家族がステージに上がるのはミスコン自体をぶち壊している。ミスコン自体、オリーブ以外の出演者をあえて大人顔負けの派手目のメイキャップにしているのに対し、オリーブがいかにも純粋で素朴な感じを出している演出だったが、あまりにもわざとらしい。
何か、わざとみんなを負け犬にしているような気さえしてくる。
兄も、途中で自分の努力ではどうすることもできない身体的欠陥によって飛行士の夢をあきらめざるを得なかったのも、いかに努力しても実現できない夢もあるんだよと言いたいのか?それはちょっと切なすぎないか。
あと、おじいちゃんを途中で死なせる設定もどうかなと思う。それと良いおじいちゃんだけれど、麻薬常習犯としたり、女性へのセックスの考え等があまりにも不道徳的な考えの持ち主であったりして、良いおじいちゃんと言う設定が台無しになっている。
傑作太陽系ロードムービー
この映画本当に大好きです。
この家族、コンプレックスを抱えたり、呆気なく挫折したり、見切り発車の計画性のなさだったり、お互いを認め合わなかったり、煙たがられる存在だったり。
綺麗事がなくて等身大。親しみやすいから私はこの家族が好きだし応援したくなったのかもしれない。
家族の掛け合いが本当に面白い。
各々の事情も面白い。
ゆるい音楽の中繰り広げられる
黄色いワゴンでの起承転転転転、、、
おかしな旅の末、やっとたどり着いたコンテスト会場で満を持しておじいちゃん監修のダンス。
そこでこの家族が団結するシーンがこの作品の爆発する瞬間。
困惑しながらも踊り続けるオリーブが最高に愛おしい。
その様に笑っているのにいつの間にか、感動の涙に入れ替わる。
バラバラだった家族が、オリーブを軸にして回り出した瞬間。
感動して泣く、でも笑わずにはいられない、でも涙も止まらない。経験したことのない、凄い映画だと思いました。
オリーブがまさにこの家族の太陽。
綺麗に収まってる作品です。
ほのぼの家族愛
家族がひょんな事から一緒に暮らすことになり、元々個性的な性格も揃っていて会話もはじけて面白い!ミニバスに乗り込むのも息の合った協力が必要。だんだんみんなが仲良くなって行くのがまた観ていて気持ち良い。楽しい映画でした! ドラマ24のクロエがちょっと出て来ます!
すばらしかった
以前にレンタルDVDで見たきりだったのだけど、コロナ禍のお陰で劇場で見ることができた。おじいちゃんのように老いてどうにもならなくなったら麻薬やってみたい。その頃には大麻も合法化していてほしい。お兄ちゃんの神経質なところはうちの長男にも、同じ面があるので、あんなふうになったら大変だ。お父さんがひどくて反発したくなる気持ちもわかるけど、最後の最後やっぱりお父さんは頼りになって、そうありたいものだ。
家族の形はいろいろ
率直な感想としてとにかく笑わせてもらうシーンが多く面白かった。これに尽きる。
父親は頑固で精神論が強いくせ者。
長男は口を開くことなく言葉を文字として相手に伝え一切喋る事をしない、いわゆる厨二病を拗らせたようなくせ者。
祖父は女遊びもクスリ遊びも現役で行う遊び人。
叔父は鬱病持ちのゲイ。
母と娘は比較的まともだが、このくせ者がそろう一家が娘のコンテストの為に一緒に会場まで向かうただそれだけだ。
くせ者がそろうとやはり小さな事も無駄に大きな事に繋がりエネルギーを使う。
そんなトラブルを常に笑える描写として描かれている為終始笑って鑑賞ができる。
終盤にはあっさり祖父が死んでしまう。あまりにも呆気なく死んでしまう為笑っていい場面なのか一瞬迷いは生まれたが、祖父の死体を大会まで持っていく描写や、途中で警官に止められ車内をチェックしようとし、死体の存在がバレかけるのだが、生前に買ったポルノ誌と叔父のゲイ雑誌が警察の車内チェックを阻む。祖父の死そして祖父の死体をきちんと笑いに変えてくれるわけだから天晴れだ。
その直後長男が車中で色盲である事が呆気なく発覚し、色盲であるが故にパイロットになる夢を断念せざるを得ない事実を知る。
もちろん長男はパイロットになる為に口を閉ざすことをした訳だし、強い夢だったから発狂する。
ただものの数分で事実を受け止めてあっさり口を閉ざす事をやめる。この辺のストーリー展開の荒々しさは本当に笑わせて貰った。
最後はコンテスト場でも一波乱。祖父から教わったダンスを娘は披露するのだが年齢に相応しくないいやらしいダンスを披露し会場にいる他の客や関係者を不快にさせる。
それでも娘、亡くなった祖父を思い家族は共に踊り最後は要約みんなが同じ笑顔をして話は終わる。
この作品の良い点は変にくさいシーンなどなく、常に笑わせてくれる作品の為とにかく面白く楽しい。
ただ最後の場面のように所々心に優しく響くシーンもあり緩急があって見やすい。
理想の家族ってどういう家庭環境なのか分からないけど、少なくとも誰しもがまずは世間体を気にする事は大切だと考えると思う。
もちろん人様に大きな迷惑をかけてまで得る幸せは理想とは言えないが、例え世間では変わってると見られる個性豊かな者が集まった家庭でも、この作品のように家族みんなが一つに向かってなにかに取り組み、そしてみんなが同じ笑顔を作れる事は理想の家庭の姿の一つであろう。
どんなに世間体がよくてもバラバラであっては序盤のこの一家となんら変わらない事であろう。
バカな事を家族みんなでバカをし、そして最後は一つになり、みんなで笑う。こんな姿を観ていると日本の作品だと野原一家なんかを思い出した。
笑いながら心が温まるとても面白い作品であった。
2006年ベストムービー!⭐️✨
電話口で、ミスコンの予選に繰り上げ当選した事を聞いて、歓喜の声を上げるオリーブが可愛い過ぎます!💖笑
決して長くはないセリフのやり取りの中で、家族それぞれの個性が面白く描かれ、心理描写に優れた作品でした。
こんな素晴らしい作品を映画館で観られて、良かった!(笑)
ようこそ。負け犬ワールドへ。
ま、チャレンジして負けた人を「負け犬」って言うのもアレだけど。
勝負に挑んで負けた家族達の話は、2006年公開のロードムービーで、800万ドルの予算で撮られたそうで。ラストのホテルを出発する押しがけの場面。VW Transporter タイプ2のリフトゲート・ウィンドウに並んだ顔は、スティーヴ・カレル、トニ・コレット、ポール・ダノ。このスリーショットだけでもゾクゾクする!
小太りと言った方が良いアビゲイル・ブレスリンは、まだ6歳。昨年、監督としてメジャーデビューしたポール・ダノは21歳の初々しさ。仮に今、このメンバーでコメディを撮れるとしたら、贅沢だよねぇw
心地良かった。無言のポール・ダノの演技も、ふっくらしたトニ・コレットの演技も、すごく好き。爺さん振り付けのダンスは、戦地の慰問団のオネエちゃんを彷彿させる気品の高さ。マダム方の顰蹙振りが逆に愉快。「こりゃ止めといた方が良い」と逃げ腰になってた男連中が、空気を読まずに拍手でオリーヴを盛り上げるシーンとか最高。
負けた後が肝心なんだよね。って言う、アンチ・アメリカン・ドリーム物語り。マイクロ・バスの押しがけシーンが楽しそうで良かった!
ちなみに、三か月前からスマホのロック画面を、この映画のポスターにしてた俺。観たかったんですよねぇ。願いが天に通じたか、劇場二回目の鑑賞。
良かった。とっても!
Winners don't give up. ほっこりファミリーロードムービー
大きなインパクトがある訳ではありませんが、見終わってほっこりできるロードムービーでした。家族全員が拗らせてるのですが、娘の為に頑張る姿が良いですね。
破天荒なおじいちゃんが突然死んじゃってビックリ‼️でも、そのおじいちゃんからトンでもないダンスを教えられてても、それに疑問ももたずに素直に楽しそうに踊ってるオリーブちゃんが何とも可愛かったです❤️家族全員で舞台で踊るシーンはとても楽しそうでした。パイロットになれない事がわかってメッチャキレてたドウェーンにそっと寄り添うオリーブちゃんのシーンも○。凸凹でも家族の絆っていいなぁっと思います。
オリーブちゃんを演じてたのは「ゾンビランド」等に出てたアビゲイル・ブレスリンだったんですね。こんな小さい頃から映画に出てたんですね!士官学校に入るまで全く喋らない「沈黙の誓い」を立ててた長男はポール・ダノ。一筋縄ではいかない役どころを演じるのが好きそうなイメージです。でも「沈黙の誓い」とかやられたら親は困るだろうなぁ。スティーブ・カレルは安定感ありますね。アラン・アーキンのおじいちゃん、実際アメリカにいそうだ!
あの押さないと動きださない黄色いバスがキーポイントですね。大爆笑はなくても、ほのぼの観れた作品でした。
タイトルなし(ネタバレ)
リトルミスサンシャインというミスコンで優勝を目指すオリーヴは平凡な女の子。
自分は平凡なんだと気づくよりも前の年齢。
本来なら2位だった予選が繰り上げ当選になり、自宅から遠く離れたカリフォルニアまで、家族総出で、車で向かうことになる。
負け犬にならないメソッドで一山当てようとしているパパ、そのパパといつも口論になるママ、パイロットを夢見てニーチェにあてられた口をきかない兄、ヘロインで老人ホームを追い出されたファンキーおじいちゃん、そして恋人にフラれて絶望し自殺未遂したおじさん。
問題だらけの家族で一つの車に乗り込み、遠路はるばる向かうのだが、いろんなトラブルに見舞われてその度に家族は崩壊寸前。
なんとかかんとか問題を解決して前に進んでいく。
特にパパの提唱しているメソッドで、負け犬にならない為に、コンテストに出るなら勝て!負けるなら出る意味ない!というようなシーンがあるが、
実際のコンテストでは娘と他の出場者のレベルが違いすぎて(女優と田舎娘ぐらい違う)、それとなく出場をやめるように進言する。
出場して傷つくことがわかっているから。
でもオリーヴはそれを断り、ステージに出て行く。
バービーちゃんみたいな服を着ていなくても、目鼻立ちがさほど整っていなくても、特技が平々凡々でも、オリーヴは最後までやり遂げるのだ。
そこにはおじいちゃんの、
負け犬っていうのは、怖気づいて挑戦するのをやめることだという言葉がある。
あぁ、おじいちゃんの言葉がここで効いてるんだなあと思って見ていたら、おじいちゃんらしく孫娘に仕込んだダンスが炸裂する。
やっぱりファンキーじじい、一筋縄ではいかないよな、と苦笑い。
何事も挑戦するのは悪いことではない、負け戦でもやることに意味がある。
オリーヴのふっくらした大福みたいなほっぺや、ぽっこり出たおなかはとても愛らしい。
ストーリー的にもっとシリアスかと思っていたので、コメディ要素にハマる人は高評価なんだろうけど、あまり好みではなかったので2.5。
タイトルなし(ネタバレ)
大好きなスティーブカレルが出てたけどやっぱ好き。
レビューを軽くみて泣ける映画かと思ったけど、泣けず。
感動ものかといえばそうでなく、コメディーかといえばまた違う。
ただ旅に出て一人一人が問題に立ち向かってく姿はいい。
彼らにとってオリーブは癒しだったし、守るべきものだった。
バラバラな家族だったけどそこだけは一致していた気がするね。
コンテストのシーンでさんざん隠されてたダンスの内容が。
明らかにされ思わず笑う。ジジイwww
笑って終われる映画でよかった。
Live, Lose, and Love
誰もが「社会」の望む姿になれる訳ではない。周囲の期待に応えても、それが自身の真の希望と一致するとは限らない。
変わり者が集まったようなHoover一家の珍道中を描いた作品。
この6人家族、自己と世間のすり合わせ方がそれぞれ異なるのが面白いです。
Sherylの再婚相手Richardは、人生の全てを勝ち負けで見ており、社会的成功を収める者こそ勝者だと信じている典型的なタイプ。彼の「成功への9 steps」が売れないのは、実践しているはずの彼自身が、収入の大半を妻に頼るほどちっとも社会的に成功していないからであり、本人はその現実に気付きません。自分はこれから「成功する」に違いないと信じて疑わず、良く言えば前向きで粘り強く、悪く言えば単に諦めの悪い(^_^;)おじさん。幼い娘Oliveに、コンテストで認められるような美しい女性は痩せているのだという、これまた典型的な現代の歪んだ価値観を植え付けようとします。
Sherylの兄Frankは、ゲイで自称Proustの第一人者ですが、ライバルに仕事も恋も敗れて自殺を試みます。何かにつけて承認欲求を垣間見せる彼は、そびえ立つ社会の壁を前に、別の解決策を探すのでも自分を変えるのでもなく、「諦めて」一度は自滅の道を選んだのです。
Sherylの連れ子Dwayneは、新しい家族に辟易しているからか、自由に空を飛べるパイロットに憧れ、Nietzscheに心酔し、彼の “Thus Spoke Zarathustra” を愛読。色盲が発覚し夢破れると一旦は自暴自棄になりますが、”If I wanna fly, I'll find a way to fly.”と、既存のルールを敷いている社会の中で、別の道を模索する勇気を見せます。
Richardの父Edwinは、ヘロイン使用で老人ホームを追い出されたものの、懲りずにヘロイン継続(^_^;)。言いたいことは何でもズバッと言う下品で口汚いお爺ちゃんだけれど、息子や孫に見せる愛情は深いです。社会が定めたルールなんかそっちのけ、受け入れられなくて結構、やりたいことをやって死ぬのが本望だというタイプ。
Sherylは一度離婚を経験しているからか、今の家庭を守ることに心を砕いており、社会的には不器用な家族一人一人を、衝突しながらもありのまま迎え入れようとする姿勢の女性。
7歳のOliveは、唯一純粋に自分の心に従い、天真爛漫に生きている女の子。大好きなお爺ちゃんによる振り付けを、特に疑うこともなく、楽しくリハーサルしてきたのです。
何と言っても見せ場は、社会的に苦い思いを経験してきた家族が、Oliveだけは世間の冷たく高い壁から守ってあげなければと画策する所です。家族全員が壇上に乱入することで、コンテストに負けて出場停止となった理由に、Oliveが自分を責めたり悩み続けたりすることは恐らくないでしょう。
陸と空の交通ルール、安全のためではありますが、他者が定めた基準として分かりやすく象徴的です。破れば罰金、資格剥奪。お爺ちゃんのポルノ雑誌で気を良くする警官は、正にその定められた基準が主観的にいかようにも捻じ曲げられることの証明のようでした。
死体になったら州を自由にまたぐことが出来ないという、死んでも法律に縛られる窮屈さも皮肉です。
そして恐らく多くが首を傾げてしまう、幼女の美人コンテストの異様な評価基準。6-7歳の女児の美しさとは何なのか。子供らしさは?可愛らしさは?その年齢でしか見られない魅力を封印し、大人びた化粧と雰囲気で水着姿や一芸を披露することが王道とされる一方で、無邪気にセクシーダンスを真似てふざけることはタブーとする矛盾。子供を正しく愛するまともな親なら、我が子は皆ワールドチャンピオンでしょう。
社会における「成功」や「失敗」は、美意識同様、その評価基準が時代と共に残酷に変化するものです。NietzscheやProustのように、死後(更に)高評価、再評価を得られる芸術家や作家は少なくありません。一体誰が決めるべきか分からないような「勝ち負け」に意味はあるのか。何かに「負けたら」、社会に認められなかったら、自分に価値はないのか、人生終わりなのか。社会が望むようには生きられない人々への寛容な受け皿が必要です。
世間体に振り回されるばかりでは人生はつまらない。Hoover家が少しも「変じゃない」と見なされる時代もきっとすぐそこです(^^)。ぶっ飛んだポンコツバスのように、逆に世間を振り回すくらい挑戦し続ける生き方を楽しめるようになれたらいいなぁと思いました。
お爺ちゃんとOliveが、本当に仲が良さそうに見えてほっこりしました。
Steve Carellのゲイっぽい?走り方が最高でした
(^。^)。
“Whatever happens, you tried to do something on your own..., which is more than most people ever do..., and I include myself in that category. You took a big chance. That took guts, and I'm proud of you.”
“You know what a loser is? A real loser is somebody that's so afraid of not winning, they don't even try. Now, you're trying, right?... Well, then, you're not a loser. We're gonna have fun tomorrow, right?”
“Fuck beauty contests. Life is one fucking beauty contest after another.”
“If I wanna fly, I'll find a way to fly.”
“You do what you love, and fuck the rest.”
まぶしい
兄が最後にぼろぼろの車を笑いながら押して乗るのがいい
あの車みたいにぼろぼろの家族でも、負け組でも、妹は本当に太陽みたいに輝いて、彼女を応援する家族は不恰好だけど眩しく見えた
文句無しの満点…
と言いたいところですが、おじいちゃんの件があったので−0.5しました。なんでそうなる…
でも元気がないときに見たい最高の映画ですね。
コロコロのアビゲイルちゃんが可愛すぎる。ポールダノもいいキャラ。てかみんないいキャラ。
素敵な作品。DVDほしい。
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