リトル・ミス・サンシャインのレビュー・感想・評価
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シリアスとコメディーのハーモニーが魅力
幸せな家族のファンタジー
主題の回収が微妙かな…
物事の多面性
1人の少女のミスコン出場のための旅に出る家族を描くヒューマンドラマ。
しかし、ただのドタバタ家族の旅行映画ではなく物事に対する多面的な視点を考えさせられる内容。
「負け犬」ではなく「勝ち馬」になることが人生において最重要と考える父。
自身のセクシャリティが原因で自殺未遂を起こした叔父。
気難しい性格ゆえに老人ホームを追い出せれた自由人な祖父。
そんな家族に辟易とし、ニーチェをリスペクトしパイロット学校に入るまで会話する事を拒否した兄。
全員のキャラクターが、自分の価値観を信じる事と、周りとの差に気づく自分の間で揺れ動いているように見えた。
その中でミスコン出場が決まった少女オリーヴにはいくつもハッとさせられるシーンがあった。少女ゆえの素直さが、人生で本当に大事なものは何なのかを全員に考えさせる。
多様性が当たり前のように受け入れられ始めた「今」だからこそ見るべき作品ではないだろう。
【”人生には勝ち負けよりも大切なモノがある。” キャラ立ち過ぎの負け犬家族が共に旅をする中で、ツマラナイ固定観念をブチ破って行く姿に笑い、涙するロードムービー。】
ー 何度観ても、前半はクスクス笑い、後半はパブロフの犬の様に、涙がじんわりと込み上げる作品である。
この作品への想いをキチンと書くと、とんでもなく長いレビューになるので、簡潔に記す。ー
◆キャラ立ち過ぎの個性的なフーヴァー家の面々。<Caution! 内容に触れています。>
・”人間は2種類ある。勝ち馬と負け犬だ!”と普段から力強く言うも、自身で開発した成功理論商法が上手く行かず、破産の危機に瀕する父、リチャード(グレッグ・キニア)
ー 序盤は、イラつくが徐々に大切なモノに気付いて行く男を好演。ー
・ヘロイン中毒で、毒舌だが孫娘オリーヴ(アビゲイル・ブレスリン)には滅法甘い、実は心優しき祖父エドウィン(アラン・ラーキン)
ー 言わずもがなの名演。彼は、本当に死んだのか?イロイロと解釈してしまう・・。ー
・突然転がり込んできた、恋人に振られ自殺未遂を図ったばかりの”失われた時を求めて”を著したプルーストの研究者のゲイのフランク(スティーブ・カレル)
ー 傷心のゲイを、見事な演技で魅せる。ー
・飛行士になるための願掛けに、2年間、一切言葉を発しないオリーブの義兄ドウェーン(ポール・ダノ)
ー ポール君、内向的な一途な青年を好演。ー
・唯一、フツーなのは母(トニ・コレット)
ー ハチャメチャ家族の、理性かと思ったが・・。ー
・お茶目で、TVのミスコンに影響を受け、6-7歳を対象としたミスコンに出る事を決意したポッチャリお腹で大きなメガネをかけた可愛いダンス好きの女の子オリーヴ((アビゲイル・ブレスリン)
ー 彼女の天使の様な存在が、この作品の大きな魅力になっている事に異論のある方は、少ないだろう・・。ー
◇そんな風変わりな一家が、オリーヴが繰り上げ当選で出場することになったカリフォルニア州の大会へ、一家総出で応援に行くことに・・。
ー 皆で押し掛けしないと発車しないボロッチイ、黄色いミニバンで会場に向かう道中の面白さといったら・・。ー
・祖父エドウィンが、ヘロインのせいか、急逝するもその死体を後部の荷物席に乗せて会場に向かうフーヴァー家の面々。
・ドウェーンの色覚異常が分かった際に、優しく義兄の肩に凭れ掛かるオリーヴの姿。
・クラクションが止まらなくなって、警官に制止されるも、フランクがエドウィンの指示で買ったポルノ雑誌(フランクのポルノ雑誌購入シーンも相当にオカシイ・・。)のお陰で、何とか会場へ。
ー この珍道中で、個性的な家族の面々は、各々が抱いていた”固定観念”を少しづつ見直して行くのである。ー
<人生には、”勝ち負けでは計れない大切なモノ”がある。
固定概念に捕らわれている人々の姿を、面白可笑しく描く中で、人生で本当に大切なモノって何だろう・・、と考えさせてくれるマジカルムービー。
何度観ても、笑って泣けるロードムービーでもある。>
丸一日動けなかったのに、この映画を見たら元気になったよ
リトル・ミス・サンシャイン
アイスクリーム、ユースクリーム、好きさ~
アイスクリームを食べなくてもお腹がピョコンと飛び出してるオリーブちゃん。踊りよりも受賞したときの驚く表情を練習するのが忙しかったんですもん。ダイエット薬に頼らなかっただけでも賞賛ものです。ファンキーでハイテンションなじいちゃんによる特訓も見てみたくなりました。
オンボロミニバスに家族6人が乗り込んで、カンザスからカリフォルニアまでのロードムービー。お父さんのリチャード(グレッグ・キニア)は“勝ち組になるための9つのステップ”の本が出版されることが気になって、娘のミスコンは二の次だ。ゲイでリストカットした伯父フランク(スティーヴ・カレル)、“沈黙の誓い”をたてた兄(ポール・ダノ)も参加して、ミスコンに参加するオリーブちゃんを温かく応援する。
全員が負け組の家族。と言っても救いようのない物語ではない。お父さんが力説する理論だって間違いではないんだし、それぞれが幸せを掴もうと生き生きとしている姿は波乱に満ちているけど、爽やかでもあります。そんな中での主人公はもちろんミニバス!家族に団結心を与えようとまずはクラッチの故障という試練を課します。発車するには下り坂であるか、全員で押しがけしなければならない。一旦止まったら、家族全員で汗をかかねばならないという人生のメタファーのような車なのです。
それにしてもクライマックスのミスコン参加者は凄かった。これが6、7歳の少女?とばかり、化粧がきつい。小型バービー人形がそのまま動いているような気がしました。歌も踊りも上手かったけど、こんな参加者の中に予選繰上げ当選のオリーブを出してもいいものだろうか。と、お父さんもお兄ちゃんも伯父さんも焦り出す。中でも、旅で一番成長したと思われるお兄ちゃんの行動に感動してしまった。
【2007年1月映画館にて】
子役にはかなわない
ほっこりロードムービー
モンスターペアレンツとはこういう事か
Fucking Marvellous !
*2024.01.12. 2回目の鑑賞(映画館では初めての鑑【kino cinema 心斎橋】
①やっぱり好きだ、この映画。映画が備えているべきものを全て備えているなぁ。
②映画の冒頭からパバが威勢よく『人間には2種類しか無くて、勝者と敗者のみだ』と如何にもマチズモの国アメリらしく威勢よく吹くところから始まるけれども、本作のテーマ自体がそれのアンチテーゼになっている皮肉。
そう、人間に種類なんてない。「勝者」と「敗者」なんてない。あるのは“人間である”ただそれだけ。だから人間らしく自分を見つめてながら生きていけば良い。
仮に「敗者」というものが有るとすれば、本作の家族はみんな敗者揃いである。
グランバは自分は敗者だと思っていないから初めから敗者ではない(だから退場が早かったのかな)。
でも、「敗者」✖「敗者」✖「敗者」✖「敗者」✖「敗者」(オリーブですら、くだらない“美少女コンテスト”のお高い標準からすれば敗者と言える)=の敗者を5乗した結果の爆発力を見よ!との心行き。
そう人生なんて上手くいく方が稀である。生きて行くって大変なんである。
だからこういう映画が必要なんである。
此れを教えてくれるから映画は堪らない!
④冒頭の朝食の長々としたシーンの上手さ。演出と俳優陣の動き方と台詞の掛け合い。編集無しなら大したものである。小津安次郎の『麦秋』の冒頭のシーンを思い出させてくれた。
⑤現在『指輪物語』全巻を読破中。此れを読み終わったらいよいよマルセル・プルーストの『失われた時を求めて』に挑戦だ!
(1回目の鑑賞時)
①始まって10分くらいでこの映画を好きになってしまった。でもラストクレジットまで「おじいちゃん」がアラン・アーキンとは気付きませんでした。いや、お恥ずかしい。②映画だから誇張してあるけれども、どの家族でも誰でも問題を抱えている。思い通りに行かないことはいくらでもあるし(というか思い通りにいく方が珍しい)、人生の最後まで解決しないことも多々あるでしょう。でも結局自分で向かい合うしかないし納得しなければならない。一人で出来れば良いけれども支えてくれる家族が居れば尚更良いだろうという人間讃歌・家族讃歌(家族主義者ではない私が言うのも何ですが)。③途中オリーブのダンスの練習シーンを一切見せないでラストにサプライズがあるというのはよくある展開ながら、競争相手のレベルを先に見せて「オリーブ大丈夫か」という観客の心配と家族の心配とをシンクロさせた上で、あのクライマックスを持ってくるので既視感が全くない演出が上手い。④いい気持ちで観終わったが、考えてみればあの家族、帰っても結構ヤバい状況が待っているんですよね。でも何とかなるだろうと思わせてくれるのが、この映画の一番良いところ(笑)
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