「走れ、オンボロの黄色いワーゲン!」リトル・ミス・サンシャイン talkieさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0走れ、オンボロの黄色いワーゲン!

2024年2月13日
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鑑賞方法:DVD/BD

バラバラだった家族に、フランク(夫の兄)が居候として一家の中に転がり込んで来たことで、彼が、いわば「触媒」となって家族が変わり、娘のミスコンのために一体、一丸となっていく姿が、何とも心に温かい一本でした。
本作で、リチャードの運転で、家族を乗せてひた走るオンボロの黄色のワーゲンは、クラッチが焼けてオシャカになっても、ドアが外れても、それでも一つとなることを取り戻した家族を、正に象徴していたのだと思います。

充分に秀作としての評価に値すると思います。

(追記)
<映画のことば>
20年かけて1作書いただけ。
でも、今ではシェークスピア以来の大作家だ。
彼は人生を振り返り、苦しんだ月日こそ自分を形成した最良の日々だと悟る。
幸せな月日はムダに過ぎて、何も学ばせない。

せっかく心に決めた目標があり、その目標の達成まではと「無言の行」を続けていたドウェーンでしたけれども。
彼自身にはいかんともし難い、彼のある身体的な特徴が、決定的なその欠格要件に該当することが判明する―。
ドウェーンの落胆、悲嘆は並み大抵ではなかったことと思いますが、彼の心を癒やしたのは、やはり、彼にはどうすることもできない事情で奈落の底に突き落とされ、メンタルまで破壊されてしまっていたフランクでした。
映画作品として言ってしまえば「脚本の妙」ということに尽きるのかも知れませんけれども。
しかし、このセリフ(映画のことば)は、やはりフランクのものでなければなかったように思います。評論子は。
正しく「至言」というにふさわしいセリフではなかったでしょうか。
本作の全編を通じるポリシーを象徴するものとしても。

(追々記)
<映画のことば>
「分かった。行くよ。」

黙って寄り添う妹・オリーヴの感触から、彼女の必死な思いを感じ取ったのだろうと思いました。ドーウェンは。

たったこれだけのセリフで、その感慨の全部を余すところなく表現できるとは、なんと素晴しい脚本かとも思います。
(内輪のお話で恐縮なのですけれども。評論子の息子・兄と、娘・妹は、一頃は寄るとさわるとケンカばかりしていました。評論子が思い起こす限りでは。…が、しかし。二人とも社会に出てみると、「おっ、こいつら案外と仲がいいのかも?」と思うこともないではありませんけれども。オリーヴとドーウェンみたいな関係を、ちゃんと築けるのかしら。汗)
「映画を観る楽しみは、こんなところにもあるなぁ。」と、改めて思うことのできたシーンでもありました。評論子には。

talkie
talkieさんのコメント
2024年2月24日

きりんさん、コメントありがとうございました。
いろんな一日がありますよね。
良くない日がある代わりに、たまにでも良い日があるのかも。
今日は、電子マネーで長距離バスの料金を払おうとしたら、「JR東のエリアで乗車の記録はあるが降車の記録がないので、使えなくなっているとのこと」。
ダブルパンチで「JR東の駅でないと解除できませんね。」
ええ~っ?北海道に住んでいる私にどうしろと。(涙)
予定外に現金で払ったので、お財布が空っぽになりました。(涙&涙)
それでも、日々の浮沈にかかわらず、大きな事故に遭うこともなく、大病に病むこともなく、映画を楽しむ毎日が送れることは、私はありがたいことと思います。

talkie
きりんさんのコメント
2024年2月13日

なんか、今夜の、落ちこぼれの僕にはすごく沁みるレビューでした。
いろいろあった今日一日でしたので。
ダメ人間の僕にはダメ人間なりの存在価値と、用いられ方があるんだろうと考えます。
黄色いワーゲンバスのミニカー、買いましたよ。この映画のDVDと一緒に姪っ子にプレゼントしました。

きりん