劇場公開日 2006年12月23日

「それでもぼくはやってない!」大奥(2006) kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0それでもぼくはやってない!

2021年5月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 仲間由紀恵が主演する映画は演技が気になって仕方がない。もしかすると「生島と結ばれるのは夢の中のみ・・・」などという台詞が出てくるのではないかと冷や冷やものでしたが、さすがにそれはありませんでした。その脚本を書いたのはテレビシリーズも一人で書いたという浅野妙子。『純情きらり』の脚本家として注目していたので、安心して観ることができました。

 大奥というタイトルだけで、徳川時代の未知なる世界を想像させるものの、庶民的な感覚が全く感じられないのではないかと、今まで敬遠してきました。今回の映画化作品では主人公の大奥総取締の絵島(仲間由紀恵)も側用人間部詮房(及川光博)も庶民出身だし、生島新五郎も歌舞伎役者なのです。これほどまで感情移入しやすい題材だとは思いませんでした。絵島生島事件に関しては諸説あるようなので詳細は割愛しますが、最終的に1300名もの人が罰せられた事実を考えると、相当な権力争いが繰り広げられたのでしょうね。

 豪華絢爛な俳優陣や贅を尽くした華麗な内掛衣装。それに歌舞伎座のセットと炎上シーンなど見所いっぱい。そして、政敵をつぶそうと策略を企てる醜いまでの女の戦いと、それにも屈しない究極のラブストーリーの表現がなかなかの出来。ただ、台詞をなんとかこなした絵島であったが、顔で演技するまでは至らなかったのか・・・欲を言えば、彼女が恋に落ちる瞬間を目撃したかったところだ。

 七代将軍家継は徳川15代の中でも最年少で将軍になった人物。そんな状況だから、大奥でも月光院(井川遥)なんかが男に餓えてしまっている様子がなかなかリアル。大奥の中から女性は外に出られないけど、口実を作って歌舞伎見物に行ったというのは史料に残ってるらしい。これが生島という歌舞伎役者と色恋沙汰に陥れるプロットに見事にはまり、わくわくさせてくれました。ここでは裏で謀略に奔走する宮路(杉田かおる)が光っていました。

 途中まではそれほどでもなかったのですが、金魚の伏線が外に出られない大奥の辛さを描いていたり、風車という小道具がとても印象に残りました。また、「そんなの理不尽だよ」と言いたくなるほどの裁判。実際には月光院が嘆願したらしいのですが、家継の裁量にはビックリさせられました。しかしまぁ、醜い権力争いの結果、犠牲となるのは庶民出身の者なんですね~

【2006年12月映画館にて】

kossy
LaLaさんのコメント
2023年1月8日

kossyさん
新年ですね。
今年も宜しくお願い致します。

劇場公開時に観ましたが
記憶を辿り レビューしてみました。

テレビシリーズの出演者も多い中
映画「大奥」で初トライの仲間さん
堂々としていて 美しかったですね。

切ない時代劇ラブストーリーに
泣けてしまいました。
屋形舟のシーン 印象的でした。

時代は変わっても
権力争いはあるものですね。

LaLa