劇場公開日 2006年7月29日

「特に良くもなく悪くもなく」ゲド戦記 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0特に良くもなく悪くもなく

2025年3月18日
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鑑賞方法:DVD/BD

怖い

知的

2006年公開作品
2006年邦画興行収入1位
第30回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞(最優秀アニメーション作品賞は『時をかける少女)』
映画芸術日本映画ワーストテン1位
文春きいちご賞第1位
蛇いちご賞作品賞

粗筋
西海域の果てに住む竜が東海域にも現れ共食いを始めた
世界中に異変が起こる
エンラッド国の王子アレンは国王を殺害し国を出た
砂漠で狼に襲われそうになっていたところを旅の途中のハイタカという男に助けられた
アレンはハイタカと行動を共にし旅を始めた
ハイタカは旧友のテナーと出会いアレンと共にテナーの自宅にお邪魔してすることに
テナーは捨て子の少女テルーと二人暮らし
人見知りのテルーはめずらしくハイタカに心を開いたもののアレンにはすげない態度だった

原作はアメリカのSFファンタジー作家アーシュラ・K・ル=グウィンの小説
原案は監督の父親の宮崎駿
監督は『コクリコ坂から』『劇場版 アーヤと魔女』の宮崎吾朗
今回は脚本も
脚本は他に『海がきこえる』『借りぐらしのアリエッティ』『コクリコ坂から』『思い出のマーニー』『劇場版 アーヤと魔女』の丹羽圭子

興行収入とは裏腹に全体的な評価は頗る低い
僕はそれほど悪いとは感じなかった
良くもなく悪くもなくアニメ映画としてまあまあの出来
悪くもないのは原案がオヤジさんだからだろう
あと監督を支えるスタッフはジブリだし

ジブリと言えば宮崎駿である
あと高畑勲
それ以外だと『海がきこえる』の望月智充や『猫の恩返し』の森田宏幸など
おそらく宮崎吾朗が宮崎駿の息子じゃなければここまで叩かれることはなかっただろう
まあどうせ嫉妬だろう
親と同じ道を歩むのはありふれているし昔ならむしろ当たり前のことだ
僕は「親の七光」などと親と同じ仕事を選んだ若い人たちを詰る思想は微塵もない
親と比べられて嫌な思いをした経験がある人なら出来ないはずだが世の中の人は違うのか?

蛇苺だとか木苺だとか所詮ラズベリーのパクリだしなんの権威もない
こういう類は動機が不純だし民度からしてどうせ飽きたんだろう
ノリだけで継続できるものではない

今もなお続いているのは映画芸術のベスト&ワーストくらいだ
あそこのベストテンは宮城の映画館でいうとどちらかと言えばフォーラム仙台で上映されるような高尚な映画が多い気がした
ワーストテンの多くはイオンシネマで上映されるような比較的大衆的な映画が目立つ
気のせいかもしれないが気のせいじゃないとしたら何故だろうか

声当て専門を中心にキャスティングされているがそれもまた特に悪いとは感じなかった
なにを持って棒読みなのかよくわからない
いわゆる美少女アニメとかが好きなオタクからすれば棒読みに感じるのだろうが
棒読みというのは例えば『ドラゴンボール』?で人間の小悪党が猿芝居を打つときの台詞が本当の意味での棒読みだ

特に香川照之が良い味を出していた

強いてあげるなら菅原文太と田中裕子の声量の違い
そういうキャラなんだから仕方がない
菅原文太を基準にすると田中裕子の声が若干だが聞き取りづらい

声の配役
心の均衡を失い衝動的に国王である父を刺し殺し失踪し危ないところを助けられたハイタカと旅をするエンラッド国の王子のアレン(レバンネン)に岡田准一
テナーと共に作物や羊を育てて暮らしている顔に火傷の痕がある少女のテルー(テハヌー)に手嶌葵
頬に傷があるアースシーの大賢人でみだりに魔法を使わないハイタカ(ゲド)に菅原文太
ハイタカの本当の名前を知っているハイタカの昔なじみで親に捨てられたテルーを女手一つで育てているテナーに風吹ジュン
永遠の命を得るために禁断の生死両界を分かつ扉を開いた魔法使いのクモに田中裕子
人狩りを生業とするクモの手下で小物のくせに威張りちらすウサギに香川照之
エンラッドの賢王でアレンの父に小林薫
アレンの母である王妃に夏川結衣
都城ホート・タウンに住む元まじない師で今では模造品を売りつける商売をしている女主人に倍賞美津子
ハジア(麻薬の一種)売りに内藤剛志
エンラッド国王の側近の老魔法使いのルートに飯沼慧
テナーの近所に住む2人組のオバさんに梅沢昌代
テナーの近所に住む2人組のオバさんに神野三鈴
船に乗っていた風の司に加瀬康之
国王の家臣に阪脩
王宮の侍女に八十川真由野
ウサギの部下に西凛太朗
船員に宝亀克寿
船員に白鳥哲

野川新栄