劇場公開日 2006年7月29日

「【均衡】」ゲド戦記 ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5【均衡】

2021年4月12日
iPhoneアプリから投稿

この作品はジブリ作品の中では結構評価が低い。

宮崎吾朗さんの次回作が控えるためのテレビ放送だとは思うが、序盤でハイタカがアレンに話す言葉を聞くと、何か偶然とは思えない気もする。

「疫病は世界が均衡を取ろうとするひとつの運動だが、今起きているのは均衡を崩そうとする動きだ。
そんなことが出来る生き物はこの地上に一種類しかいない。」

今回の新型コロナウイルスも、過度な開発によって人間の世界にもたらされたのは事実だ。

作品に話を戻すと、この評価の低い理由の大きなものは、原作ではアレンは王の父を殺さないというところだと思う。

殺す理由が判然としないし、アレンの二面性を理由として挙げるにも、そうした二面性を持つに至った背景が描かれないので、物語にイマイチ入り込めないからだろう。

だが、物語と向き合うと、クモの屋敷で、ハイタカとアレンが相見える場面で、ハイタカに刃を突き刺すようにしたところで、アレンはアレンが父にした事を思い出す。

僕は、もしかしたら、この場面の為に、アレンの父殺しがさっていされたのではないかと思った。

人は罪からは逃れられないのだというメッセージのようにも思える。

そして、作中で何度も語られる均衡。

主に、人間の心の持ち様がテーマだ。

人の陽の部分、そして闇の部分。

死を恐れ、永遠の命を求める心。
死を受け入れ、生をまっとうしようとする心。

人間が世界で唯一、世界を再構成する力を得てしまった今、人間の行動こそが、世界の均衡のキーなってしまったのだ。

具体的なポイントを取り上げると疑問もあるが、僕は世間の低評価ほど面白くないとは思わない。

ワンコ
CBさんのコメント
2021年4月12日

駿監督の効果というか、ジブリ映画は事前期待が極めて高いですからね。吾郎監督は、悶々と悩む姿を撮りたかったのかもしれませんが、あまり理解されなかったってことでしょうか…

CB