ザ・フォッグのレビュー・感想・評価
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良リメイク
王道のリメイクというところか
1979年のオリジナル版は、不気味な演出の中に光るお洒落とも言えるビジュアルが冴える作品だったが、内容的には王道であり、悪く言えば地味だったと思う。ジョン・カーペンターだから観たという気もするが、当たり外れが大きい70~80年代のホラー作品の中で、ジョン・カーペンター監督作は地盤がしっかりしている為安心出来る作品が多い印象である。そして2005年のリメイク版である本作も、その既に地盤の固まった場所に建てられた新築物件の如く、安心設計の手堅い作品に仕上がっている。所々どこか古臭く、古典的とも取れる展開や演出の数々は見受けられるものの、それも味のひとつとして観れば悪くは無い。こうして過去の作品も最新技術で蘇ることで当時は出来なかった演出や合成も容易である為、新旧を続けて鑑賞すると時代の流れを感じるものだ。本作のゴーストらのビジュアルはやはりスタイリッシュであり、同年代の他作品のそれよりも優れていると思われるが、タイトルにもある要となる存在の町を包み込む霧の演出含め、全体的に怖さが控えめというのがホラーファンとしては残念に思う。グロくすれば良い、という考えは違うと思うが、ゴーストらの本気度を観客がすぐさま感じ取るにはその様な効果も必要だったのでは無いかと思う。その辺の緩さがテンポ良く進んでいるのにどこかまったり流している様に感じてしまう所であり、残念だった。かなり忠実なリメイクに思えるが、最後の展開はオリジナル版には無かった設定が加えられている。そのシーンでまず感じたのはゴーストらの残虐性を最後まで貫き通した良くも悪くもあの時代のオリジナル作と比べると、現代のホラーは多くの時代の流れを吸収し、現代にしか出来ない様な物を作るという映画文化の奥深さを味わえるという事だ。新旧続けて観たからなのか、感心させられてしまった様にも思える。
アメリカの黒歴史
アントニオ島では生誕100周年を祝う式典が執り行われようとしていた。4人の英雄によって繁栄したこの島はウェイン、キャッスル、ウィリアムズ、マローンの銅像が飾られていた。
ニック・キャッスルは釣り人のための漁船シーグラス号で生計を立てていたが、親友で部下のスプーナーが船上パーティをするために勝手に使用。そして濃霧が発生した直後に消息を経ってしまうのだった。一旦濃霧は収まり、シーグラス号も発見されるが、スプーナー以外の3人が無残な死体で発見される。
そして、その夜、またもや濃霧が発生して、恋人エリザベスと再会したニック、島のDJスティービー・ウェインとその息子、歴史会館で準備に追われていたウィリアムズやマローン神父が濃霧に襲われようとしていたのだった。
ジョン・カーペンター版を忠実にリメイクした上に、人物相関図がわかりやすくなっていた。製作にもカーペンターの名前がクレジットされていることから、このわかりやすさとアメリカが侵略によって豊かになったことを皮肉たっぷりに描いているのが凄い。
元をただせば、プリンス・ウィリアム島から脱出してきた帆船の乗員たちの財宝を奪い、火を放って皆殺しにした黒歴史が浮かび上がり、その復讐のために乗員の幽霊たちが島を襲うというお話。エリザベスがその帆船デイン号のお嬢様そっくりだったことにも驚かされ、復讐とエリザベスを奪うこと、歴史を糺そうとする幽霊たちだったことに納得。英雄なんてどこにもいない。あるのは略奪と殺戮のみだった・・・侵略という黒歴史の縮図という点では満足いくリメイクだったけど、恐怖心を煽るドンドンとドアを叩く効果音がうざい!6人から4人に絞った点や、殺戮も控えめだったことなどから、オリジナルよりも上質になっていた気がする。
う~ん。なんだか。
優れた原作をいい感じに実写化した例
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