「物語の個人的な考察」時をかける少女(2006) セイジンさんの映画レビュー(感想・評価)
物語の個人的な考察
「時をかける少女」という作品名から少女が時空を往来して様々な経験を経て成長していく物語と勝手に想像したが、物語は単純ではなく予想以上に難解だった。
以下ネタバレを含む。
表面上のストーリーの展開は主人公「紺野真琴」がタイムリープの能力を得て、私利私欲のためにその能力を利用していくが、結果的に「間宮千昭」の告白が転機となって様々な苦難を乗り越えて人間的に成長していく内容である。
しかし、ここは個人的な考察を述べていく。
ずばり、この物語は、「間宮千昭」が「紺野真琴」を死亡事故から救出し、恋愛関係に結ばれることで完結する。
15世紀、室町時代に製作された絵画「白梅ニ椿菊図」を見る目的で未来から現代にタイムリープしてきた「間宮千昭」は、東京国立博物館に訪れた際、たまたま同じ時期、同じ場所に訪れていた「紺野真琴」に一目惚れし、「紺野真琴」が在学している倉野瀬高校に通うことになる。本来、「紺野真琴」は、2006年7月13日(木)午後4時に踏切での事故で死亡するはずであったが、その事実を悲観した「間宮千昭」は、その事実を変えるため「紺野真琴」にタイムリープの能力を与え、かつ、「紺野真琴」との関係を保つことができるように画策した。「紺野真琴」の予想外の活躍により、「間宮千昭」は一時的に未来に戻り、その未来で現代の「紺野真琴」の働きにより消失を免れた絵画「白梅ニ椿菊図」を見ることになる。その後、「間宮千昭」と「紺野真琴」は本作から近い未来で再会を果たし恋愛関係に結ばれるというのがこの物語に対する個人的な考察だ。
もしかしたら、本作のエンディングの時点で「間宮千昭」と「紺野真琴」は既に再会しているのかもしれない。
また、これも推測だが、「間宮千昭」と「紺野真琴」が河川敷で「未来で待っている」、「うん、すぐ行く、走って行く」と言葉を交わした直後、飛行機のエンジン音が鳴っている箇所があるが、この時、「間宮千昭」は「紺野真琴」に「いつかまたやろうな、野球」と発言している可能性がある。