デスノート : 映画評論・批評
2006年6月20日更新
2006年6月17日より丸の内プラゼールほか全国松竹・東急系にてロードショー
原作に忠実で、過不足なくまとめているが
正直、少しホッとした。「名前を書かれた人間が死ぬ」という“死のノート”を手にした天才青年・夜神月(やがみらいと・藤原竜也)が、罪を償わぬ犯罪者たちに死の裁きを下していくこの作品。原作は人気コミックであり、ノートの落とし主である死神と月とのやり取りが重要なのだが、それをどう映像化するのかが最大の懸念事項だった。それが原作に忠実に、実写との違和感なくCG合成されていたからだ。物語も、ポイントとなるエピソードを過不足なくまとめている。だが、邦画では異例の前・後編連続公開という形を取り、配給は映画「マトリックス」シリーズなどを手掛けているワーナー・ブラザースと、“かつてない大プロジェクト”(byプレスシート)として挑んだはずだ。「及第点」では物足りない。
目前でワケも分からず人が死んでいるのに、緊迫感のない映像。原作通りとはいえ、東京のど真ん中を舞台にした現実では浮いてしまう南空ナオミ(瀬戸朝香)の全身黒革ファッション。何より、とって付けたかのように流れるスガシカオの挿入歌は、それこそかつての日本映画を彷彿とさせる使用法ではないか。
とはいえ、本作品の本当の見所は月とLの頭脳合戦で、前編はほんの序章に過ぎない。後編の盛り返しに期待。ガンバレ、松山ケンイチ!
(中山治美)