ワンダフルライフのレビュー・感想・評価
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さすが是枝監督。生と死の間をドキュメンタリーとフィクションの境なく...
さすが是枝監督。生と死の間をドキュメンタリーとフィクションの境なく描く独自性。(素材として撮ったインタビューが良くてリアルに使ったらしい)このことが役者の演技をリアルにしてるとも感じた。
何かを残さなくても、大切と思える思い出があれば、生きた意味はあるし、未練なく死ねるんじゃないか。
藤井監督のパレードと似た題材、こんな前に是枝さんがやってたんだ😳
全体的に自然体なのは新鮮
予備知識ゼロで観たので、集められている人の多様性からこれから何が待ち構えるのかなと思ってると、誰にも平等に訪れる「死」の話だということがわかる。
そういう意味では、是枝監督による「生きる」であり「市民ケーン」なのかな、一番大事な思い出は何かを死ぬ前ではなくて死んでから振り返るという設定。
ドキュメンタリー手法をうまくいかしてるのかな、昔話を丁寧に語る女性や、ちょっと尖った感じの若者など、なるべく個人の個性をいかした撮り方にみえるしそれがとても自然体で新鮮。
淡々とすすむし、インパクトも感じないけど、ただやはり、テーマがテーマだけに、おそらく観た人のほとんどが、自分ならどのシーンだろうかと考えたんじゃないかな。そういう意味でも自然体な演出とはあってると思う。虚構の世界をがっつりつくりあげて誘うのではなくて、誰にでも訪れる瞬間について自然体に、いつを選ぶ?と問われてるよう。
主題は陳腐ながら映像演出の非凡さは見て取れる
是枝作品でなぜ見逃していたのか不思議だが、今回ようやくディスクにて視聴。
「死者の一番良き思い出を{死後の世界の担当者たち}が映像化し、完成映像を死者自らが視聴するうちに『安寧の地』へと旅立つ・・・」という主題は正直チープ。
しかしながらロケ地選定から始まり、映像、演出、編集の妙。つまりは監督としての非凡さは疑いようがなく、また素人出演のドキュメンタリ的側面も興味深く、飽きずに最後まで見ることができた。
最後は担当者男女同士のロマンスめいた展開になり、そこにもチープさを感じそうにはなったが、「いや、・・こういう死後の世界におけるヒューマンドラマもあるのかもね・・・」という肯定感が勝ったまんま、その余韻は視聴後もしばらく続いている。
自分ならいつをを選ぶ?
どんなストーリーなのか最初は全く分からず、古い時代設定なのか、未来なのか、夢の世界なのか、不思議な画像を見ているうちに、なんとなく状況が把握できてくる。
それからは、自分だったらどの時を選んで再現してもらい、そしてその時の感情だけど持ち続ける事を選ぶだろうかと自問しながら映画を見ることになった。
見終わって、今、無性に誰かとこの映画について話したい。
誰かいないかなぁ
【”人生の一番の思い出の選択”】
ー何気ない出来事、記憶が意外と一番の思い出なのかもしれないなあ・・-
■死者を”あちら”に送るために、一番の思い出を聞き出し、映像化する5人
1.ナカムラ(谷敬)
2.しおり(小田エリカ:18歳の少女)
3.スギエ(内藤剛士:おばあさんの記憶を優しく引き出す)
4.カワシマ(寺島進:5歳の娘を残している・・)
5.モチヅキ(ARATA:見た目は20歳代だが、実際は70代)
-彼らは、実は一番の思い出を見い出せずにこちらに残っている事が、途中で明かされる。しおりはモチヅキの事が気になっている・・。
夫々、この世に未練があるようだが、詳細は語られない・・。-
■月曜日から一番の思い出を選択し、土曜日までに映像化してもらい日曜日にその映像を見て”あちら”に送られる人々
1.ワタナベ:幸せな人生を送ってきたはずだが、ソコソコの人生だったと呟く。美しき妻京子との出会いから、最後に夫婦で映画に行こうかと話す公園のシーンを選択する。
ーその日々が、TVに映される・・。-
2.庄田(由利徹):ちょっと、スケベなおじさん・・。けれど、一番の思い出に選んだのは・・
3.年配の女性2人(一人はやや呆けた感じであるが、柔和な微笑みを湛えている。)
4.中年の女性(白川和子:年齢を詐称する派手な女性を演じる)
5.イセタニ:21才の若者。思いではないと言い続ける。(伊勢谷友介)
ー一番の思い出を聞き出す過程での双方の遣り取りが面白くも、哲学的な部分、多々あり。-
<以下、ネタバレあり>
・そして、ワタナベの人生の思い出を聞き出していたモチヅキが、ワタナベの妻、京子(香川京子)の想い人だったことが分かり・・、自らの”一番の思い出”を選択するシーン。
-ワタナベには、少し同情・・。-
・一番の思い出を映像化する場面は、まるで映画撮影のようで・・。
・イセタニは、あちらに行かず、映像化する側として此の世に残る・・。
<是枝監督初期作品であるが、物語の発想、構成、作品の不思議な世界観に引き込まれる。 敢えて近作で言うならば、黒沢清監督の「岸辺の旅」のテイストを少しだけ感じさせる作品。
ー邦画感覚が希薄であるという事。舞台は日本のようだが・・。-
現在の邦画を代表する俳優さんたちの若き姿も多数、観れます・・。>
何十年もの間、何もないことの意味の総量は、ちょっとした事件の思い出をも上回ることを教えてくれました
日本映画的ではない、洋画的な雰囲気を感じました
フィリップ・ド・ブロカ監督のまぼろしの市街戦
あるいはアンドレイ・タルコフスキー監督のノスタルジアとかストーカーとかを思わせるような映像と雰囲気です
テーマもインターナショナルなものでドメスティックなものを志向しないように注意深く演出されているように感じました
最高の思い出をすぐに決められる人は幸福な人生を送ったということは間違いないでしょう
どれにするか迷って決めかねてしまうのも同じです
過去を振り返りたくない、未来の在るべきイメージだけを求めたい
それもまた良い生き方なのかも知れません
何もない、取り立ててこれといった思い出が無い人生が最悪の人生だ
そんなありきたりの結論がテーマかと途中までは侮っていました
しかしそれは良い意味で裏切られました
これと言って何もない取り立てて何もない日々
しかしそれが何十年も夫婦で続けられた本当の意味
何十年もの間、何もないことの意味の総量は、ちょっとした事件の思い出をも上回ることを教えてくれました
一体自分はどの記憶を選ぶのだろう?
あなたはどんな記憶を選ぶのでしょうか?
傑作であると思います
なる程海外の方が評価が高くなる理由もあったと思います
思い出は必要か
人に勧められて観ました。
そうか、是枝監督はもともとドキュメンタリーの監督なんですね。
いま最前線の俳優さんの若い時代の作品なので、
なんだか勝手に卒業文集見ているような罪悪感さえ感じますw
作品中、リアル半分作り物半分なのでしょうが、聞き手が監督のケースもありましたよね?
多々良さんとか。
違うのかなあ?
おそらくいま話題の漫画、死役所によく似たコンセプトです。
ただのドキュメンタリーでもきっと面白かったと思うけれど、
終わらせるためにはこうしなくてはならなかったよね、な作品。
伊勢谷友介さんのデビュー作なんですね。
これ全部セリフじゃないでしょ!なんか、超リアルだなあwww.
人はいつか死ぬ。
誰にでも平等にそれは訪れる。
私なら、
どんな思い出を持って行くかなあ?
たぶんきっと、『いま』かもしれないな…。
ワンダフル哉、人生!
是枝裕和1999年の監督第2作目。
開幕は役所もしくは施設のような所で、そこのスタッフのように思えるが…、
否!
人は死んで“あちら(天国)”に行くまでの一週間、“そこ”に留まる。
人生の中で一番大切な思い出を一つ選び、スタッフがそれを再現。
最終日に映画のように上映し、その思い出と共に“あちら”へ旅立って行く…。
設定もさることながら、作風や演出もユニーク。
ファンタジーだが、ヒューマン・ドラマのようなタッチ。
スタッフたちと亡者たちの対話はドキュメンタリーのよう。
元TVドキュメンタリーのディレクターだった是枝監督の手腕が遺憾なく発揮されている。
スタッフの井浦新(当時ARATAで本作でデビュー)、内藤剛志、寺島進、谷啓らは“演技”を感じるが、亡者たちには同じくデビューの伊勢谷友介や映画/演劇界のベテランが配され、まるで彼ら自身の人生を振り返っているかのよう。
人生の中から大切な思い出を一つだけ。
ほとんどの亡者は選ぶ。中には、事細かく注文したり。
が、選べない亡者も。寅さんの台詞じゃないが、人生には生きてて良かったと思う事が何べんかある。一つなんて選べやしない。
が、ある一人は違う。選べないんじゃなく、選ばないのだ。選ばない自分の人生の責任の取り方。
死して、人生と向き合う。
それは亡者だけじゃなく、それぞれ事情を抱えるスタッフたちも。
幸せだった人生。
平凡だった人生。
何も無かった人生。
後悔残った人生。
どんな人生であっても。
生きてきた証。
作風が未完成
この後に撮られたディスタンスでもそうなのだが、リアリティをだすため色々試行錯誤しているがまだまだその手法は完成には至っておらず不自然さが残っている。
おそらく素人さんに状況を伝えて自分の過去を話して貰っているシーンは自然なのだが、その素人さんに演技をさせているシーンとのギャップが大きい。役者さんが演じてるシーンでも巧い人と下手な人の差が激しうえ、素人さんの自然なシーンと役者さんの上手なシーンにもギャップがある。このちぐはぐさが気になって映画に入り込めない。
それと、この漫画チックな設定にリアリティをだすドキュメント風を組み合わせたのも噛み合っておらず、死んだ人が赤ちゃんなら?動けないご痴呆症のご老人なら?という疑問などが浮かんでしまう。
良い映画っていうより先に出てきたのが「好き」で あ、これ好きだ て...
良い映画っていうより先に出てきたのが「好き」で
あ、これ好きだ
て
思った
20年くらい前の作品だから井浦新さん若いし小田エリカさんはタイプだし
うん
温度も湿度も最適で色彩も良かったんだなぁ
現実を切り取る。自然でありフィクションで変わっていて、
でもそれこそ人間らしさでもあるし社会でもあるんじゃないかなと思わせるような
僕は是枝さんのドキュメンタリータッチの
覗き方
切り取り方
捉え方が好きだなぁって思った
淡々と進む。
是枝さんの初期の作品。
まず脚本が素晴らしい。
人が死んだ時に一時的に入る施設。
そこで、自分が人生で印象に残ったシーンの再現をして、それを映像として見る。
その際に過去の記憶が戻れば、あの世に行く。
死人の面倒を見るのは、過去に印象に残ったシーンをえらべなかった人たち。
井浦新が演じる面接官?は来た死人の中に自分が過去に許嫁になっていた人の旦那を見かける。
井浦は戦争中になくなるもその時の恋人が自分の事を印象に残っていることに気付き彼もあの世に最後にはいく。
斬新な脚本、ただし淡々と進むので眠くなる。
ドキュメンタリータッチは『万引き家族』の安藤サクラの泣きのシーンで...
ドキュメンタリータッチは『万引き家族』の安藤サクラの泣きのシーンで観た!と思わず興奮させられる。是枝映画の一つのテーマであろう「死」を映像化させる場面は安っぽく見えこれで良いのかと思わず疑ってしまう。登場人物が多く一人一人の大切なエピソードが残らず印象が薄い。
少し退屈かも
死者が天国に行くために通る役所が舞台という設定は、伊坂幸太郎作品「死神の精度」に通ずるものがあり、映画序盤は引き込まれるものがありました。
登場人物たちがドキュメンタリータッチに自分の人生を語るところも、話し方やちょっとした仕草がリアルで個人的に好きな雰囲気です。
しかし展開はひたすら地味で、肝心の映像撮影のシーンはがっかり。セットがちゃちすぎるし、そんな映像を観て天国行けるほど感動するのかなと。地味な映像制作シーンはわざとの演出なのかもしれませんがガッツリ滑ってます。
死者の世界なのだから現実離れしたことが起こるに違いないという期待と、実際の地味な絵面のギャップがこのガッカリ感を招いているのではないでしょうか。
「薄味」な作品でした。
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