劇場公開日 1999年4月17日

「【”人生の一番の思い出の選択”】」ワンダフルライフ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【”人生の一番の思い出の選択”】

2020年8月26日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

泣ける

知的

幸せ

ー何気ない出来事、記憶が意外と一番の思い出なのかもしれないなあ・・-

■死者を”あちら”に送るために、一番の思い出を聞き出し、映像化する5人
 1.ナカムラ(谷敬)

 2.しおり(小田エリカ:18歳の少女)

 3.スギエ(内藤剛士:おばあさんの記憶を優しく引き出す)

 4.カワシマ(寺島進:5歳の娘を残している・・)

 5.モチヅキ(ARATA:見た目は20歳代だが、実際は70代)

 -彼らは、実は一番の思い出を見い出せずにこちらに残っている事が、途中で明かされる。しおりはモチヅキの事が気になっている・・。
 夫々、この世に未練があるようだが、詳細は語られない・・。-

■月曜日から一番の思い出を選択し、土曜日までに映像化してもらい日曜日にその映像を見て”あちら”に送られる人々
 1.ワタナベ:幸せな人生を送ってきたはずだが、ソコソコの人生だったと呟く。美しき妻京子との出会いから、最後に夫婦で映画に行こうかと話す公園のシーンを選択する。
ーその日々が、TVに映される・・。-

 2.庄田(由利徹):ちょっと、スケベなおじさん・・。けれど、一番の思い出に選んだのは・・

 3.年配の女性2人(一人はやや呆けた感じであるが、柔和な微笑みを湛えている。)

 4.中年の女性(白川和子:年齢を詐称する派手な女性を演じる)

 5.イセタニ:21才の若者。思いではないと言い続ける。(伊勢谷友介)

ー一番の思い出を聞き出す過程での双方の遣り取りが面白くも、哲学的な部分、多々あり。-

 <以下、ネタバレあり>
 ・そして、ワタナベの人生の思い出を聞き出していたモチヅキが、ワタナベの妻、京子(香川京子)の想い人だったことが分かり・・、自らの”一番の思い出”を選択するシーン。
 -ワタナベには、少し同情・・。-

 ・一番の思い出を映像化する場面は、まるで映画撮影のようで・・。

 ・イセタニは、あちらに行かず、映像化する側として此の世に残る・・。

<是枝監督初期作品であるが、物語の発想、構成、作品の不思議な世界観に引き込まれる。 敢えて近作で言うならば、黒沢清監督の「岸辺の旅」のテイストを少しだけ感じさせる作品。
 ー邦画感覚が希薄であるという事。舞台は日本のようだが・・。-

 現在の邦画を代表する俳優さんたちの若き姿も多数、観れます・・。>

NOBU