「眩い映像、バカラックの音楽との組み合わせがもたらす新食感」明日に向って撃て! ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
眩い映像、バカラックの音楽との組み合わせがもたらす新食感
アメリカン・ニュー・シネマを語る上でも欠かすことのできない一作。今はじめてこの作品に触れる世代も、一見正統派の西部劇のように見えて実はとてつもない新しいことをやってのけている本作に驚きを隠せないはずだ。
「この物語はほぼ実話に基づく」という字幕からスタートする本作は、冒頭にモノクロ映像が続き、かと思えば眩いばかりの陽光で満たされた、まるで遅れてやってきた青春のような映像が挟み込まれたりもする。とりわけ自転車で野原を滑走するシーンは、バート・バカラックの楽曲とのマッチングも含めて、まさに「新食感」と呼ぶべき境地だ。
本作で欠かすことのできないのは、やはりラストの暗転部分。印象的な静止画で終わるこのやり方は、レッドフォード主演作「コンドル」でも踏襲されていて、この時代の名作群がいかに「結末」ではなく、いかに「一瞬」を切り取って提示しようとしたかが分かる。折を見て何度でも鑑賞したい名作だ。
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