「フィリップ・マーロウの渋さが最高」ロング・グッドバイ 阿久津竜斗さんの映画レビュー(感想・評価)
フィリップ・マーロウの渋さが最高
レイモンド・チャンドラーの小説『長いお別れ』を、「ハリウッドの異端児」と呼ばれるロバート・アルトマン監督が大胆にアレンジして作った今作。ぶっちゃけ退屈してしまうところもありましたが、ラスト、マーロウがテリーに発砲するシーンを観て衝撃だったので、結果よかったです。
常に眩しそうな顔をしているフィリップ・マーロウがクールでかっこよくて、ついマネしたくなります。というか普段、この執筆者自身も眩しそうな不機嫌そうな顔をしながら日々を過ごしているので、別に今までと変わらんかもです。
で、見どころの一つとして、僕は若き頃のシュワちゃんを挙げたいのです。最後の方でギャングたちと一緒にいるチンピラなのですが、一言もしゃべらない。(まさに僕みたい)(そんなことはそうでもよろしい)特に何もせず出番おわるのかなーって見ていると、なにやらギャングの一人がいきなり「全員脱げ!」と言い出した。そしたらホントにみんなパンツ一丁になったのです。……これ、ハードボイルドだよね? と疑うほど絵面が面白くて、あらぬことかちょっと笑ってしまいました笑。
ギャングが揃ってパンツ一丁になる、面白いコメディ映画でした。(ウソです。ちゃんと素晴らしいハードボイルド映画です。)
……映画ではマーロウの名台詞がなかったので、原作小説での彼の名言を、今回は乗せようと思います。
「撃っていいのは、撃たれる覚悟のある奴だけだ」
──『大いなる眠り』より
「タフでなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格がない」
──『プレイバック』より
「さよならを言うのは、少しだけ死ぬことだ」
──『長いお別れ』より