「これまでの印象と違ってびっくり」ロッキー 古泉智浩さんの映画レビュー(感想・評価)
これまでの印象と違ってびっくり
午前十時の映画祭で、初めてスクリーンで見ることができ、どれほど滂沱の涙が流れるのかと思ったら、自分の中でいろいろ思い込みがあったのかな、それほどではなかった。トレーニングの場面と試合の場面が意外なほどあっさりしていた。試合はアポロが3RでKOを宣言していたのにもかかわらず、3R以降最終ラウンドまで一気にダイジェストのように進んでいた。もっととんでもなく壮絶な印象だったのでびっくりした。
それに、デートでスケートに行く場面も何度もあったような印象だったが一回こっきりだった。亀ともっと会話していたと思ったのだが、それも一回だった。
低予算映画らしく路上の場面が多く、誰かの自宅や倉庫などお金のかからなそうなロケ地ばかりで、クライマックスの試合が短かったのも借りる予算の都合で仕方がないのかもしれない。
若いスタローンはイケメンで、体はランボー2ほどビルドアップされていなかった。道や部屋の中は本当に汚くて、スウェットが汚れたり濡れている感じが非常に生々しかった。
ミッキーやポーリーを一回突き放してその後仲間になる感じがすごくよかった。貸金の男もナイスガイだった。
上映期間中にもう一回見に行きたい。
(追記2015.01.06)
吹替えで見た。一番最初に見たのが、地上波吹替えだったので、吹替えもすごく馴染みがある。
ロッキーを中心に周囲の人々との関係と変化を濃厚に描いた映画であった。お正月にアポロとの試合があるので、お正月に見ると一年の気合が入っていいなと思った。
フィラデルフィアの町並みが特に汚いところを選んで撮っているのではないかと思われるのだが、その汚い感じもいちいち絵になっていてかっこよかった。
ドアを前後にドラマが展開する場面が多かった。ロッキーの自宅のドアではエイドリアンやミッキーが初めて足を踏み入れ、ポーリー家の裏口からは七面鳥を投げ捨てたり、そこから入ったせいで陰口を聴いてしまう。エイドリアンの部屋のドアから現れたエイドリアンはおめかしをしていた。ドア映画であり正月映画でもあると言っていいと思う。
ジョン・G・アビルドセン監督はなぜこれほどの名作をものにしていながら巨匠になっていないのだろう。