劇場公開日 1977年4月16日

「映画の神様が宿った作品とは本作のことだと思います」ロッキー あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0映画の神様が宿った作品とは本作のことだと思います

2025年2月5日
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ロッキー
1976年米国映画
超久々に観た
やっぱり面白い
少し見始めると最後まであっという間

無名の監督
無名の主演男優に無名の俳優ばかり
脚本もその主演男優が書いて持ち込んだ素人のもの
何かショッキングなシーンがあるとかするわけでもない
そんな映画が当たるなんて誰も思わない
それが世界中で大ヒットしてしまう
それどころか映画史に残るような金字塔になってしまう
映画の不思議
映画に関わる誰もが夢に見る成功物語
そんなことある訳がない
プロの世界は厳しい
ましてハリウッドだ
そんな企画だれも見向きもしない
撮ることすら無理だ
でも、それを本当に実現したのが本作
まるで劇中のロッキーが世界選手権に挑むことと二重写しだ
本作はボクシングの映画と思われている、しかしそれは違う
だってクライマックスのボクシングの試合は、上映時間119分のラスト15分からはじまる分量しかない、トレーニングのシーンもあるが超絶特訓的なことは生卵を飲み干すシーンくらい
日本人にとってはなんてことのないシーンだが海外では食中り間違い無しの行為で目をひくくらいのもの
それまでは、ほとんどが主人公と恋人エイドリアンの下町の片隅の恋愛物語だ
ラスト3分はこれ以上ない涙があふれてしまうような甘いラブシーンだ

1976年はアメリカ建国200年祭で大変に盛り上がっていた、劇中でチャンピオンのアポロがワシントンの扮装で登場するのはそれ
舞台がフィラデルフィアというのもそう
建国の街だから
その200年祭の始まりの正月だからこのストーリーが成り立つ
そこを見事に押さえてヒットする下地を捉えた脚本
シンプルで真っ直ぐな脚本
ややこしいひねりなんかいらない
市井の下層の男女が片寄せあって生きて行こうとする物語
街金の集金係のゴロツキで終わる人生から抜け出したい
彼女にその証明を見せたい
だだそれだけ
そこには勝手な思想や信条なぞどこにもない
万人が共感できる物語だけがあるのみ
エイドリアンが次第に美しくなっていく演出は改めてみてなかなかに上手い

そしてテーマ曲!
このテーマ曲でなければ本作もこれほどまでの大ヒットしなかったかもしれないほどの高揚感溢れる名曲
21世紀生まれの方でもどこかで必ず聞いて知っているはずの楽曲
作曲家は一応名前はみたことのあるていどの人、巨匠とか大ヒットメーカーとかなんて人ではない
昨今横行している有名タレントとのタイアップ曲なんてこれほどの力を持つ事は有り得ないと一発で理解できる力を持っています
映画の神様が宿った作品とは本作のこどだと思います

MAGA
Make America Great Again
最近こんな言葉を良くニュースで目にします

その是非はともかく
ロッキーの頃の米国はまだ平和だった
麻薬にもそんなに蝕まれていない
アメリカって本当はこんな国だったんだ
この頃に戻りたいという米国人の心の叫びなのだろうなと思いました

あき240