「持たざる者が作った、持たざる者のための映画! エイドリア〜ン!!」ロッキー たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
持たざる者が作った、持たざる者のための映画! エイドリア〜ン!!
しがない3流ボクサーだったロッキーが、己の価値を証明するために、世界ヘビー級王者との闘いに挑むボクシング・ムービー。
主人公ロッキーを演じるのは『デス・レース2000年』の、名優シルヴェスター・スタローン。スタローン自らが脚本も担当している。
👑受賞歴👑
第49回 アカデミー賞…作品賞、編集賞、監督賞の三冠を達成‼️
第34回 ゴールデングローブ賞…作品賞(ドラマ部門)!
第2回 ロサンゼルス映画批評家協会賞…作品賞!
第1回 日本アカデミー賞…最優秀外国作品賞!
第20回 ブルーリボン賞…外国映画賞!
『クリード チャンプを継ぐ男』があまりに美しい映画だったので、改めて本作を見返したくなり、今回視聴しました。
勿論羽佐間道夫の吹き替え版での視聴です。
改めて見返してみると、この映画の巧さに驚きました。前半はロッキーの鬱屈した人生にリンクして、街の空は暗く曇り、BGMも少なく、使われる曲も悲しげなものばかりです。
その後、ビッグチャンスが巡ってきて、ロッキーが人生と真っ向勝負する覚悟を固めると、暗く曇っていた空は晴れ、BGMは同じ曲ではありながら明るいアレンジを施したものに変わっていきます。
極め付けはミッキーと和解し、ポーリーの行いを許し仲直りした直後にかかるあのロッキーのメインテーマ!燃える!
当時愛犬のエサ代にすら困っていた本物の持たざる者だったスライでなければ、ここまで哀愁ある映画を撮ることは出来なかったでしょう。
ロッキー、エイドリアン、ミッキー、ポーリー。彼ら主要人物は其々に哀しみを帯び、その姿は見る者の胸を締め付けます。彼等はロッキーの人生にそれぞれの人生を乗せ、ロッキーとともに高く舞い上がろうとします。
そんな彼らと同様に、全ての観客が映画を鑑賞しているうちに、ロッキーと共に戦う者へと変化しているはずです!
登場人物、観客、製作スタッフなど、すべての戦う者のための映画、それこそが『ロッキー』!!みんなで叫ぼう「エイドリア〜ン」!!
流石に76年制作ということもあり古さは感じてしまいますが、本当に観ている人間に勇気を与えてくれる素晴らしい映画です!