列車に乗った男のレビュー・感想・評価
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ルコント監督が好きになった
フランス語の詩を教えているマネスキエ。アンティークな古びた館でひっそりと一人暮らしをして、たまに来る人とおしゃべりしたくてしょうがない。この町に列車から降り立った男ミラン。謎めいたアウトローの雰囲気を漂わせ、拳銃を持っている。老人は狭心症の持病のため、土曜日には手術を受ける予定で、一方の男は土曜日に仲間と銀行強盗する計画なのだ。
今までの平凡で堅実な生活に疲れ、何もやり残せなかった人生を悔やんでいるところへ、ワイアット・アープに憧れを抱いた少年時代を思い起こさせるワイルドな男の登場である。ミランが銀行強盗を計画していることを知ったマネスキエであったが、計画を止めようとするのではなく、自ら第二の人生を切り開くきっかけになると思い、参加させてくれと頼んでしまう。この少年のような目の輝きがたまらないほど素敵なおじいさん。友情という言葉では片付けられないほどミランに憧憬を抱くのだ。一方のミランも自分の計画性の薄い性格を変えてみたくなり、次第にマネスキエの生活をうらやましく思うようになる。まるで血液型のAとBの対比のようだ。
パン屋の店員や、1日の内午前10時にしか口を聞かない不気味な男といったサイドストーリーが冴えています。もちろん、おしゃべり好きな老人のコミカルな台詞にもやられました。ハードボイルドとコミカルな部分の融合というのは、どうしてこうも面白いのだろうか。字幕から目が離せないくらいにひきつけられてしまいました。
邦題の意味を考えたため、ラストには予想を裏切られ、ファンタジー色の強い内容となりました。死の直前のほんの一瞬の出来事・・・もっと人間臭いドラマだと思っていたのに、釈然としませんでした(途中までは満点評価)。
【2004年9月映画館にて】
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