劇場公開日 1996年10月5日

「少女の復讐心と生きるための出会いが、孤独を決めた殺し屋の男の人生のひとときを仄かに照らす」レオン 完全版 humさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5少女の復讐心と生きるための出会いが、孤独を決めた殺し屋の男の人生のひとときを仄かに照らす

2024年5月2日
iPhoneアプリから投稿

大人びたこどもならではのマチルダの言動にはらはらしたのは彼だけではない。
そして、レオンの見捨てない責任感、朴訥な優しさ、ヒットマンとしての頼もしさの魅力に惹かれていくのも彼女だけではない。

簡単にはいかない人生。
それを感じれば感じるほど、スティングの楽曲が二人に通じた特別な愛に寄り添うのだ。

静かな感情は音色とマーブリングしながら心を浸し、マチルダをそっと見守るレオンの不器用な笑顔を浮かばせ滲ませる。
この世で繰り返される偶然のようで必然の出会いだったのだろう。

彼がどこに住みかえても手放さなかった鉢の植物があの土地に根づく頃、護られた命が、その生き様を胸に刻みながら一つずつ成長していくことを祈った。

hum