「アメリカン・ニューシネマの焼き直し。だがそれも良い」レオン 完全版 ふみくんさんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカン・ニューシネマの焼き直し。だがそれも良い
熱狂的な愛好家の多い作品だが、1950年代アメリカ映画の有名役者達をあからさまに意識させるなど、お遊びにしても歯の浮くような演出が多く、商業映画の域を出ない。せっかくのゲイリーオールドマンの怪演も、全体のバランスからか控え目に留まっているのが惜しい。少女と殺し屋との愛をテーマにするには、脚本の練りが浅過ぎ、12歳の少女としては恋人ごっこが出来たことによる成長が関の山という感じか。
ただ、90年代に入ってもなお、役所の取締局が悪役と見分けの付かないような描写が観れるのは比較的新鮮か。2000年代以降のアメリカ政府の凋落を知っていると、この映画の麻薬取締局の横暴な描写は、案外時代を先取りしていたのではないだろうか。ほとんどアメリカン・ニューシネマの焼き直しという感じだが、映像や音楽、全体的なバランスの良さで総合芸術としての価値を高めたニューシネマへのリスペクトを感じさせる。
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