「You will be OK in here. リュック・ベッソンが才能に溢れていた頃の名作」レオン 完全版 アキ爺さんの映画レビュー(感想・評価)
You will be OK in here. リュック・ベッソンが才能に溢れていた頃の名作
自分の中では完璧と言っても過言ではない作品です。観る度心臓をぐっと捕まれ深い所まで潜っていくような感覚に陥ります。劇場公開版と完全版とあるのですが、監督のリュック・ベッソンとしては完全版で公開したかったらしいです。でも、試写会で少女がセックスの話をする事に関して批判が大きく、仕方なくカットして公開したとの事。それと同時にマチルダがレオンのプレゼントの洋服を着るシーンもなくなってしまうという・・・惜しい事を!!
この映画はフランスの映画監督リュック・ベッソンの映画人としての才能が溢れていた頃の名作です。レオンはハリウッドに出てからの第一作ですが、これ以降ハリウッドに毒されてしまったのか今一つパッとしない印象があります。しかしながらこの映画を撮っていた頃は神がかっています。映画のワンシーン、ワンシーンどこを切り取っても絵になる作品は稀有でしょう。
ナタリー・ポートマン、ジャン・レノ、ゲイリー・オールドマン、この3人の誰が欠けてもこの映画は成立しなかったのではないかと感じます。個人的にはリュック・ベッソンの映画人としての功績の一つにナタリー・ポートマンを見出した事が入ると思っています。今では「ブラック・スワン」でアカデミー女優にまで上り詰めたナタリー、この映画と時にはまだ12歳。本当に幼いのですが、とても印象に残ります。純粋な殺し屋を演じたジャン・レノ。劇中で映画を観ているシーンの楽しそうにしている表情で殺し屋をやっていても純粋な魂を持っている事が感じられます。そしてゲイリー・オールドマン。この作品以降しばらく悪役しかオファーがなくなったという逸話も納得のキレ具合。観る人に強烈な印象を残します。
また光の使い方も絶妙です。最初の家族が襲われたシーン、マチルダがレオンにドアを開けてくれるように懇願し、レオンがドアを開けるとマチルダに光が差します。対して最後のホテル襲撃シーン。傷ついたレオンが外の光に向かって歩みを進める中、後ろから撃たれます。打たれる瞬間をあえて描写はせず、レオン目線から出口が光ってそのまま倒れていく事で見せる表現。もう最高ですね。
親子とも恋人とも違う、それでも愛でつながっているレオンとマチルダ。別れのシーンは胸が苦しくなりました。そして最後にレオンが大切にしていた植木を植えて「あなたはもう大丈夫よ」の一言と共にStingのShape of my heartで迎えるエンディング。完璧です。
ハッピーエンドではないので自分に余裕がない時にはちょっと観るのがしんどいですが、自分の中では生涯のベスト5に残る名作です。
みつまるさんコメントありがとうございました。この作品を撮ったリュック・ベッソンはそれだけでも生涯に残る良い仕事をしたと思えます。
ご紹介頂いた「蜘蛛女」なのですが、気になって映画.comの作品紹介を見てみたら最後までがっつりネタバレしていました(><)