「兄弟の心の変遷の描き方が秀逸」レインマン 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)
兄弟の心の変遷の描き方が秀逸
最初は自閉症の兄レイモンドを疎ましく思い、彼の行動にイライラしていた弟のチャールズ。しかし兄の天才的な記憶力に助けられたり、幼い頃の思い出を知ったりするのに連れて、徐々にチャールズに対する見方が変わっていく。最終的には、会話は成り立ちづらくとも心でつながっている兄弟愛が芽生える。そのような心の変遷の描き方が丁寧で秀逸な映画。
終盤で火災報知器をレイモンドが鳴らしてパニックになるシーンでは、もはやチャールズは兄のことを純粋に心配するだけだった。以前のように彼に対してイライラすることは無かった。それが行動によって示されているのが良い。
作中では自閉症の兄と行動を共にする大変さが十分に描かれている。だからこそ、最終的にはチャールズが兄と一緒に暮らしたいと願うようになる思いの強さが伝わってくるし、ヒューマンドラマとしての魅力が際立ってくる。
主演のトム・クルーズとダスティン・ホフマンの熱演も魅力的だった。2人の演技力が、この作品にリアリティをもたらしていた。
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