「似ていなさすぎる兄弟」レインマン Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
似ていなさすぎる兄弟
総合:65点
ストーリー: 60
キャスト: 85
演出: 70
ビジュアル: 70
音楽: 65
ダスティン・ホフマン演じる障害者の兄レイとトム・クルーズ演じる弟チャーリー。兄弟とは思えないほど全く似ていない二人。この顔で兄弟と言われても、画面からは違和感がありすぎです。しかしホフマンの演技力には本当に脱帽もの。一番の見所は彼の演技でした。
弟チャーリーから、ただの遺産を持っている金づるとしか思われていなかった兄レイ。レイは兄というよりも面倒ばかりかかる障害者であり、遺産のために我慢しているだけ。
しかし彼が実はチャーリーの幼年期に彼を慰めたレインマンであり、彼の安全のために施設に入れられたという事実を知る。この暖かい思い出と罪悪感が、チャーリーから見て金づるでしかなかったレイへの認識を少し変える。チャーリーにとってレイは突然現れた兄ではなく、過去への繋がりがあった。だがこの時点ではあくまで少しだけ。だがとどめに、サバン症候群と思われるレイの記憶と計算の才能と、その後のラスベガスでの成功がチャーリーを変える。それは現在時間を共に過ごす兄としての存在である。
障害者にもごく稀にレイのようなサバン症候群で特別な才能を持った人がいるのは確かである。それを知らせる意味でこの映画は価値があった。でも殆どの障害者はそうでないだろう。もしレイが才能もなくてカジノでお金も稼げず会社が潰れていたら、チャーリーは果たして兄に家族愛を感じるほどにまでなったかな。
この映画では実際そうなったのだから結果としていいんだけど、何かレイの特殊な才能とそれがもたらす金がチャーリーの会社を救ったことがきっかけとなったように感じてしまって、私には素直に感動できる話ではありませんでした。現実の殆どの障害者の家族はそんなの無しですから。ちょっとそんなひねくれた思いが心をよぎりました。