Love Letterのレビュー・感想・評価
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岩井俊二監督の長編デビュー作
公開30周年&中山美穂さんの追悼興行という事で行ってきました。
何度も観た作品ではあるが、こうして大きなスクリーンで観るとまた違っていいものである。
この物語は婚約者を冬山の遭難事故で亡くした主人公「渡辺博子」と、二人の「藤井樹」が織りなす不思議な物語である。
当時大人気であった中山美穂の一人二役という事で、よくある興行成績を伸ばすための人気歌手起用だと、当時は斜に構えていたところがあった。
しかし世間の評判は上々。諸外国でもヒットを飛ばしたのは皆様も知る通り。
とにかくこの映画はそれぞれの出演者の魅力あふれる作品になっている。
若かりし中山さんの美貌はもちろんですが、性格の異なる二人の女性を演じ分け、「女優・中山美穂」の魅力がふんだんに出されているなと感じられるのである。
昨今の邦画と言えばアイドルや芸人などを多数起用し、出演者人気を頼りに興行収入を得ようとする動きが多い。
この作品も当時はそう思われていたことと思うが、その評判を払しょくするほどの上質の映画となったのは、良く練られた脚本と劇場初挑戦ながら手腕を発揮した岩井俊二さんの力に他ならないだろう。
最近はビデオオンデマンドが盛んで、映画など配信されてから見れば十分という人が増えているようだ。確かにそれも良いだろう。
しかし午前10時の映画祭もそうだが、こういった懐かしくも上質な作品を劇場で見ることの良さ、複数の人間と同じ空間を共有するという事、大画面で見ることの意味というのを改めて感じられたし、これらはテレビやスマホ、言ってみれば家庭用プロジェクターで見るのとも異なる感動があると改めて感じたし、映画産業がこれからも発展していって欲しいと切に願うのだった。
おまけですが、本編最後に英文で追悼メッセージが流れました。
多分作風的に英文が良いのだろうと判断したのでしょうが、字幕もでなかったので解らない人も居たのではないでしょうか。
追悼文は日本語との併記で良かったんじゃないかと思いました…。
前略、雪の上より
今更ながら、リバイバルにて初鑑賞。
オープニングクレジットのためだけの無意味な、でも綺麗で印象的な長回しから始まる本作。
長編デビュー作でも、もう既に岩井俊二だなぁ。
しかし、導入部では背景や人物の相関などがビミョーに分かりづらく、少々眠気が…
中山美穂の二役も混乱の原因になりそうだが、意外とそこはそうでもない。
髪型や服装だけでなく、博子の方が声が細いなど“そっくりな別人”として上手く描き分けてたと思う。
ハッキリ言うと雰囲気映画ではある。
あれだけ手紙でやり取りするくらいなら、直接小樽に行って話を聞いたり思い出の場所を案内してもらえよ。
同姓同名を3年連続で同じクラスにするか?
追悼登山はいいが、山に登る服装じゃないし、せめて雪が解けてからにしなさい。
…などといった、脚本や画作りのための作為は感じる。
卒アルから博子が拾った住所が女性の方の樹のものというのも、後になって気付いたが説明不足にも思う。
博子と樹の個別エピソードが有機的に絡んではいない。
それでも「お元気ですか」のシーンをはじめとして、本当に雰囲気がいいのだから参ってしまう。
博子の話だと思っていたら着地は樹(女)だし、総合的に見たら樹(男)の話だったような。
というか、オチがアレな上に樹(男)から博子への愛情を感じる話が無いので、ちょっとモヤる。
秋葉との関係など、余白はもう少し埋めてほしかった。
そして中学のクラスメイトたちは普通にクズ。
他にも思うところはあれど、何故かいい映画を観た気分になれてしまうし、中山美穂が本当に可愛くて綺麗でした。
ちょいちょい笑えるシーンはあったが、個人的に終盤の花瓶さんの「解せぬ…」がツボ。
みずみずしく透明
中山美穂さんの透明感に見入ってしまった。もちろんストーリーも素晴らしく、その謎に引き込まれた。ラブレター、スマホ頼みの現在ではなかなか実際に書く人はいないかもしれない。その手紙を書くという行為が、そのまま相手への想いの強さだろう。
タイトルの「Love Letter」この世とあの世をつなぐ手紙、今と今をつなぐ手紙、見知らぬ人と私をつなぐ手紙、そして最後は過去と今とをつなぐ手紙であった。
出てくる人みんなが善い人。雪のように真っ白な純粋さ。それだけにそれぞれの抱える苦しみがきわだつ。
隅々まで瑞々しさが行き届く
まだ54歳の若さで先だって亡くなった中山美穂さん追悼なのか、公開から30周年の記念なのか、岩井俊二監督のデビュー作にして、日本のみならずアジアの国々で広く支持された本作が劇場リバイバル上映です。本作は、やはり劇場で観なくてはと思う人が多いのか、客席は予想を超える入りでした。中高年の人が多かったのは少し残念ですが。
パラレルワールドやタイムリープで話を無理にこしらえずとも、主人公が不治の病に罹患せずとも、こんなにも繊細で瑞々しい物語を紡ぎ出す事ができるのだと改めて感じ入りました。中山美穂さんが素晴らしかったのは勿論ですが、まだ十代の酒井美紀さんの若い輝きにドキドキしたなぁ。 鈴木蘭々さんのぶっ飛び具合も、今は亡き范文雀の姿もみんなみんな懐かしかったです。そして何より、岩井俊二監督の細かな点にまで気を配った物語と映像が素晴らしい。物語にドキドキしながらも、「うまいなぁ」と呟きそうになりました。そして、 本作を観終えた還暦過ぎの我が家の老夫婦は期せずして「お元気ですかぁ~」と声を掛け合ってしまったのでした。
それにしても現在ならば、手紙は eメールになっているし、名前が分かればSNSを駆使して本人が突き止められるし、住所が分かればGoogle で家の外観まで分かってしまうし、図書カードはバーコードになり・・と本作は成立し得ません。便利になったけど不自由になったんだな。
30年ぶりで歳とってからみると食らう
ある映画を観て、観たいと思っていたI had seen a certain movie before and had always wanted to watch it properly
台湾と日本の合同の映画
「青春18×2 君へと続く道」の劇中で
主人公の二人が観ていて、
いつか観たいなと思っていた。
そんな中、劇場での4K公開があって
願ってもないということで観てきた。
監督が撮りたい画と
当時の機材の限界が随所に見えて
ところどころで酔いそうになった。
メールもSNSもスマホも
携帯電話ですら普及していなかった時代。
全てがゆっくりで、
返事を待つ間のドラマが成立していた。
日本の映画の画作りが
この映画を起点にガラリと変わったんだなと
改めて感じた。
中山美穂さんが限りなく美しかった。
映画館で観ることができて
本当に良かった。
It’s a Taiwanese-Japanese co-produced film called ‘My Missing Valentine’ (Seishun 18×2: The Road to You), and in the story, the two main characters watch this film. That made me want to see it someday.
Then, there was a special 4K screening at a theater—an opportunity I couldn’t pass up, so I went to see it.
You could clearly see both the shots the director wanted to capture and the limitations of the equipment at the time, and some scenes even made me feel a bit dizzy.
It was an era when email, social media, smartphones, and even mobile phones weren’t widely used. Everything moved slowly, and stories unfolded during the time spent waiting for a reply.
I realized again how this film marked a turning point in Japanese cinematography and changed how films were visually crafted.
Miho Nakayama was indescribably beautiful.
I’m truly glad I got to see it in a movie theater.
30年ぶり
30年目のラブレター
最近はかつての人気歌手のコンサートにも良く行く。中山美穂も25年5月の千葉のコンサートを申し込んでいたが、当選発表前に訃報が届いてしまった。合掌。これがきっかけではないだろうが、このタイミングでの4kリマスター劇場公開は、再鑑賞したかったオイラには渡りに船だ。
大まかなスジは覚えていたがディテールは失念しており、初見に近い静かな感動を得られた。冒頭の長回しやロングの自転車入れ替わりとか、逆光を上手に使ったシーンなど、岩井俊二は最初から映画がうまい。
ラストシーン、やっぱり男樹が渡辺博子に声を掛けたのは女樹が忘れられなかったんだろうな、という一面幸福で一面悲しくもある回収でした。
あと、音楽のレメディオスがREIMYの事だとは当時は知りませんでした。とてもよかったです。
「お元気ですか。私は元気です」と呼びかける印象的なシーンは様々な思い出も重なって、胸が熱くなりますね。
岩井俊二監督長編第1作『Love Letter』が公開30周年を記念、4Kリマスターで鮮やかに蘇り、4月4日から全国の劇場でリバイバル上映中。
昨年12月急逝された中山美穂氏への哀悼の意を込めてテアトル新宿さんにて30年ぶりの鑑賞。
『Love Letter』(1995/117分)
本作が公開された1995年はリュック・ベッソン、クエンティン・タランティーノ、ウォン・カーウァイなど新進気鋭のクリエイターが台頭、ミニシアターブームも重なって新風が吹くなか、国内ではテレビドラマ『FRIED DRAGON FISH』(1993)、『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』(1993)や『undo』(1994)で旧来のドラマや邦画とは全く異なる、スタイリッシュな映像美を織り成す岩井俊二監督の登場は衝撃で、長編映画デビューは日本映画も遂にターニングポイントになるかと期待に胸を膨らませて劇場に足を運んだ思い出があります。
岩井俊二監督と撮影監督の篠田昇氏、照明の中村裕樹氏の織り成す、暖かな自然光はじめ明々したストーブやガラス溶融炉、照明の逆光を活用した柔らかな光とそよ風の優しい世界観や空気感は4Kリマスター化でさらに美しさを増しています。
改めて観なおしてみると一つひとつの小道具も細部に渡るまでアンティークのように洗練されていてお洒落。ワンシーン、ワンカットが絵画や絵はがきのような芸術性高いですね。
そして本作のもうひとつの魅力は渡辺博子と藤井樹の一人二役を演じた中山美穂氏。
『ビー・バップ・ハイスクール』『毎度おさわがせします』『ママはアイドル』での圧倒的人気の国民的アイドルでしたが、本作でお淑やかな渡辺博子と少し勝気な藤井樹の一人二役を大げさな演じ分けでなく、見事繊細に演じ切ることで本格的な女優として大きく飛躍、岩井監督の映像美も相まって、どのカットも実に神々しく、個人的に彼女の代表作ですね。
また樹の(少年・少女時代)を演じた柏原崇氏、酒井美紀氏、そして豊川悦司氏も瑞々しい演技も良いですね。
ラスト。
樹が遭難した山に向かい「お元気ですか。私は元気です」と呼びかける印象的なシーンは急逝した中山美穂氏本人との様々な思い出も重なって、胸が熱くなりますね。
中山美穂さん、お元気ですか
ミポリンファン必見!
「ビーバップハイスクール」以来のミポリンファンですが、本作は初見。一人二役で、アップシーンが多く、ミポリンファンとしては良い眼の保養です。映像占有率はかなりの高さでは。
トヨエツの登場シーンはトヨエツには見えませんでした。だんだん何時ものトヨエツ風貌になるのも見もの。映像も凝っていて、飽きません。これが初長編とは思えぬ手練れの技を感じます。最後の字幕は今回の再公開時に付けられたものでしょうか。私もミポリンに「お元気ですか〜」と叫びたいです🥲。因みに岩井監督さんと私は同じ学生寮の出身です。尤も私の退寮後に岩井さんが入寮するというすれ違いでした。岩井さんも早くに退寮されたようです。岩井さんの作品から感じられるナイーブさは、あの学生寮のガサツさには馴染めなかったのでしょう。
優しい記憶に映画が寄り添う喜びを感じられる作品
岩井俊二監督の1995年長編デビュー作、中山美穂を主演に2つの恋を描いたドラマ。4Kリマスター版リバイバル上映を鑑賞。
映画は、亡き恋人「樹」に対し、時間が止まってしまった一人の女性の手紙から始まる。帰ってこないとは知りつつも、止まってしまった時間に想いを届けたい一心で。そして、初恋の淡い記憶に登場する亡き恋人を知っているもう一人の「樹」。前半のミステリー要素から後半の初恋話を加速度的にテンポが上げていくところはまさに見事だ。
30年ぶりの鑑賞だが、映画同様、朧気だった記憶が少しずつ、そして一気に当時の記憶と映画の内容を思い出させてくれた。図書室の窓から入る柔らかいそよ風の中に溶け込む「樹」。優しい記憶とはこういうものではないだろうか。
1995年に十代二十代だった観客の方も結構いらっしゃるだろう。また新たにこの映画をご覧になられ、若い感性でとらえている今の十代二十代の方もいるだろう。映画同様、これまでも、これからも優しい記憶は私たちのそばにいる。そんな優しい記憶に映画が寄り添う喜びを感じられる作品だ。
いい思い出いっぱいもらった。こんな美しいフィルムまで。
「物語」としての純度の高さに感動する
何度もリバイバル上映されてきた作品であるが何故このタイミングでと考えてしまう。
もちろん封切りから30年の節目であり主演女優が亡くなったばかりということはあるが、フジテレビジョンの危機的状況の中で、TVコマーシャルをバンバン打っての再登場は、いかにもといった感じはする。常に他人のため、会社のために利用されてきた主演女優の短い人生を思うと亡くなってもなお、との感慨を抱かざるを得ない。
さて作品。一人二役が物語のベースになっている。普通、一人二役だと2人が出会ってしまったり、すれ違ったりするところがクライマックスシーンになることが多いが、この作品では小樽でのそのシーンは中盤に置かれている。
クライマックスに向かう後半部分は、博子からみた樹(M)への思いと、樹(F)からみた樹(M)の思い出が交互に現れ物語は進む。「思い」と「思い出」とわざわざ書いたとおり、この二筋のエピソード群は非対称である。博子のエピソードには樹(M)の実像は全く登場しない。片や、樹(F)のエピソードは中学校時代の樹(M)の記憶のシーンだけで構成される。
実は、博子は樹(F)が中学校時代、美少女であったことを卒業アルバムで見てしまっている。そして自分に似た彼女が樹(M)の初恋の相手ではないか、自分は彼女の代役ではないかという疑念を持っている。だから二人の藤井樹がとのような関係だったのかを事細かく知りたい。(おそらくは本人もあまり意識はしていないが)一方、樹(F)がまず思い出すのは同姓同名で迷惑を受けたこと、男の子らしく徹頭徹尾、無愛想な彼の姿だけである。
ところが、博子に請われて手紙を書くにつれ記憶が掘り起こされてくる。そして、映画のクライマックスの一つである貸出カードの裏に藤井(M)が描いた絵が発見されて届けられるシーンに行き着く。(本自体、マルセル・プルーストの「失われた時を求めて」であるところが印象的)
タイトルの「Love letter」は直接的には、最初に博子から樹に書いた「お元気ですか」の手紙を意味しているが、樹(M)が樹(F)の姿を描いたこのカードもラブレターであると思う。非対称のエピソードはここで見事に交差している。
長々と書いてしまったが、要するにこの作品の脚本は恐ろしいほどに技巧的である。ただ完成した映画作品が作り物の印象を全く受けないのは、もちろん手紙の交換というゆったりした設定であること、そして抑制的な演出のおかげであると思う。そして、出演者たちが脚本の意味合いや演出プランをよく理解し全力を尽くして表現を行ったからだろう。引き出されたのは人が人を想うときの精神的な純度の高さであり、それが純度の高い美しい物語に紡がれて今も我々の心に迫るのである。
岩井俊二は長篇デビュー作から岩井ワールド全開だった そしてそこには中山美穂
表現者の中には、自分の個人的な署名のようなものをその作品に滑り込ませるのに長けている人たちがいます。ポール•マッカートニーや吉田拓郎のつくった曲を聴いたオールド•ファンは、たとえ別の歌手が歌っていても「あ、これ、ポールだな」「あ、これ、拓郎だな」と懐かしさにも似た気持ちを抱きながら、たちどころにその個人的な署名に気づきます。雪の中を立ち上がった中山美穂は黒いコートについた雪をはらい、一面に降り積もった雪の中、丘を下ってゆきます。白の中、遠ざかってゆく黒ーーそんな、スクリーンで展開されるタイトルバックを見て、公開30周年記念再上映に詰めかけたオールド•ファンのあなたは長い息を吐きながら(ひょっとしたら目を潤ませながら)、思うのです。「あ、これ、岩井俊二だな」
物語は雪の中で行われた三回忌法要のシーンから始まります。かつてのフィアンセの墓の前で手を合わせる中山美穂が美しい。ここであなたは参列者の多くが関西アクセントで話しているのに気づきます。そこでふるまわれる甘酒。法要後の酒宴を嫌って仮病で抜け出した、(義母になるはずだった)加賀まりこを中山美穂が車で送ります。車には神戸ナンバー。「そうだ、神戸だったな」とあなたは思い出します。家に着くと、雛壇飾りが雛人形を並べていない状態で放置されています。加賀まりこの言い訳や先ほどの甘酒であなたは今日が雛祭りの日であることに気づきます。え、三月三日に三回忌。そんな日に神戸に降った珍しい雪。山で亡くなったフィアンセの卒業アルバムを開けば、そこにあるのは、神戸よりはるかに雪に縁があると思われる小樽という地名、そして、冬山の雪の中、すっくと立つ木々を思わせる「樹」という名。ここであなたは思わず呟いてしまうかもしれません。「あ、やっぱり、岩井俊二……」
そして物語は進み、あなたは技巧を凝らした美しい手品のような岩井マジックの世界に酔いしれてゆきます。思わず「私は元気です」とひとりごちて、こうして健康で映画館に通えることに感謝したりもします。
やがて、あなたに舞い降りていた映画の天使は翼を広げ、帰り支度を始めます。そして、あなたはちょっぴり潤んだ目を閉じ、序盤の法要のシーンであの人が亡きフィアンセに向かってそうしていたように、エンドロールの流れるスクリーンに向かって、両の手を胸の前でそっと合わせるのです。
合掌。
公開当時20歳くらいだったのだが観に行くタイミングを失い、リバイバ...
哀しきリバイバル
公開から三十年記念の公開とは言え、ファンからしたら舞台挨拶でまた素敵な姿を拝めるならまだしも、スクリーンの中でしか会えないなんて。
映画のラストでもう会えない人が自分を好きだったと知り、泣いているのか笑っているのかまさに絶妙な表情で見せるシーン。何度見ても泣いてしまうし、そこにかぶさるモノローグも最高。
素敵過ぎて、言葉にならない
第69回キネマ旬報日本映画ベスト・テン第3位。
Netflixで鑑賞。
言葉にならないくらい素敵な映画だ。珠玉の名作と云う言葉は本作のためにあるのだろうなと、誇張無しでそう思う。監督の瑞々しい感性に溢れた映像美が、人の繊細な想いを切り取って心を揺さぶる。ウォン・カーウァイ監督の映画に似ているなと思った。少なからず影響を受けているのかもしれない。
中山美穂の美しさに心を奪われた。昨年鬼籍に入られたことが信じられず、また残念でならないと改めて感じた。雪景色の中に立つ姿がなんとも儚げで、思わず守ってあげたいと云う衝動に駆られる。中山美穂のプロモーションビデオのようだ。
中山美穂が二役である必要があるのかとはじめは疑問に思っていたが、そのことが伏線として効いて来る展開が見事でハッとさせられた。答えがはっきり描かれないので想像力を掻き立てられ、様々な解釈を促すのがニクい。そして、切ない。
取り敢えず、小樽に行きたくなった。
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