「映像と音楽の美しさ、中山美穂の魅力」Love Letter TCさんの映画レビュー(感想・評価)
映像と音楽の美しさ、中山美穂の魅力
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中山美穂さんの一人二役、最初は困惑しましたが、理解した後はその演じ分けに感動すらしました。
育ちも方言も性格も異なる2人を見事に演じられていたと思います。手紙を読む時の声も、渡辺博子のときはおっとりした品のある声、藤井樹のときはサバサバした女性の声に感じられました。
4Kで映える30年前の中山美穂さんをスクリーンで観れるだけでも十分鑑賞価値がある映画でしたが、それに加えて、小樽•神戸のそれぞれの自然の美しさ(と時に厳しさ)が素晴らしい音楽で引き立てられており、岩井俊二さんの世界観にどっぷり浸り幸せな時間を過ごすことができました。
劇中、藤井少年は藤井少女に対して好意的な言葉を一言も発しませんが、藤井少女を泣かせた男子に激昂したり、二人の名前を書いた図書カードを多数の本に残したり、自転車の灯りのもとで二人で過ごす時間をできるだけ長引かせようとしたりと、不器用ながらも淡い恋心を感じさせるエピソードが多数あり、まさに青春という感じでした。
本人に一言も伝えられなかったからこそ、瓜二つの渡辺博子さんに会った時は、今度こそはと初対面で告白してしまったのかもしれませんね。それでもプロポーズの言葉を博子さんに言えなかったのは、やはり違う女性である博子さんに初恋の相手を重ねてしまうことに罪悪感や迷いを感じてしまっていたからではないでしょうか。
このように映画ならではの間接的な描写は様々な解釈をする余白を残しており、それもまた岩井俊二さんの作品の魅力かもしれませんね。
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