劇場公開日 2025年4月4日

「隅々まで瑞々しさが行き届く」Love Letter La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)

隅々まで瑞々しさが行き届く

2025年4月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 まだ54歳の若さで先だって亡くなった中山美穂さん追悼なのか、公開から30周年の記念なのか、岩井俊二監督のデビュー作にして、日本のみならずアジアの国々で広く支持された本作が劇場リバイバル上映です。本作は、やはり劇場で観なくてはと思う人が多いのか、客席は予想を超える入りでした。中高年の人が多かったのは少し残念ですが。

 パラレルワールドやタイムリープで話を無理にこしらえずとも、主人公が不治の病に罹患せずとも、こんなにも繊細で瑞々しい物語を紡ぎ出す事ができるのだと改めて感じ入りました。中山美穂さんが素晴らしかったのは勿論ですが、まだ十代の酒井美紀さんの若い輝きにドキドキしたなぁ。 鈴木蘭々さんのぶっ飛び具合も、今は亡き范文雀の姿もみんなみんな懐かしかったです。そして何より、岩井俊二監督の細かな点にまで気を配った物語と映像が素晴らしい。物語にドキドキしながらも、「うまいなぁ」と呟きそうになりました。そして、 本作を観終えた還暦過ぎの我が家の老夫婦は期せずして「お元気ですかぁ~」と声を掛け合ってしまったのでした。

 それにしても現在ならば、手紙は eメールになっているし、名前が分かればSNSを駆使して本人が突き止められるし、住所が分かればGoogle で家の外観まで分かってしまうし、図書カードはバーコードになり・・と本作は成立し得ません。便利になったけど不自由になったんだな。

La Strada
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